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いつも読んでいただきありがとうございます。次回は8/10(土)投稿予定です。


こんなとても採取が難しい植物、私には無理だ。

流石に言い伝えの植物なんて自分でも何年かかるか、国家問題になるだろ。今は目の前に人間とか気にしてる場合じゃないわ。

一先ず自分の気持ちは考えず、今は目の前の依頼の事について真剣になる。


「正直言いますけど、この植物を期限までに採取出来るか難しいですよ?私でも採取出来るか不明です。しかも王女の輿入れの為に持参されるなら私よりもっと上の植物博士に命じた方がまだ採取率は高くなると思いますよ?」


私にわざわざ頼んできても無駄足だとここははっきり言いたいが我慢する。別に喧嘩をしたい訳では無いし。


「いえ、貴殿の力が必要なんだ。」

「それはどういう事です。」

「それこそ貴殿の言う王宮に居る植物博士が貴殿を推薦したのだ。」

「はぁ?!」


サディアの言葉に思わずあり得ないと声を上げると目の前にペラリと紙を見せられる。

上等な紙に書かれていたのは現在自分の上の人間の名前の署名とそこには私の名前が書かれており、内容は私が最も今回の任務をやり遂げられる唯一の植物博士だと書かれている。

つまり任命するにあたっての書簡だった。


「そんな馬鹿な!何かの間違いじゃないんですか?」

何度も読んでみるが名前は自分の名前が書いてある。サディアは持っていた書簡を大事に丸めて傍に居た部下に渡した。

「間違いでは無いよ。現地に行って採取出来る人は限られる。その中で植物博士を称号に持ち危険エリアに行っても自分で採取出来る人間は貴殿ぐらいだ。しかも専門だからこそ最良の採取を心得ている。だから、貴殿の名前がそこにある。」


サディアにそう言われてティティルリアは押し黙る。

確かに思い当たる節はある。手紙で自分の代わりに採取して欲しいという依頼は自分と同じ学問に精通した者ばかりだからだ。

他国の人から手紙やら実際に家にまで来てまでお願いされたりと皆忙しいんだなと思っていたのだがただ単に自分で採取しにいけないのだとしたら、彼らの言う事は本当なんだろう。

「後、王都からも貴殿に研究所に来てほしいと言う誘いもあったはずだが?」


そういえばそんな手紙ももらってったっけ?いや、そんな個人情報なんで知っているんだよ。


「確かに、そういうお誘いも貰いましたが私は色んな国に行きたいのでお断りしました。」

何度も手紙を寄越してくるので今はもうなんでも置いている机の上に積み上げられているはずだ。

いい加減に諦めてくれれはいいのに、そして思い出させないで欲しいんだけど。


「話を戻しますけど、仮に私が受けたところでこの花はすぐには見つかりませんよ?」

「それなら、データとして専門家からこの時期咲いていそうな範囲を絞ってくれたものを預かっているからそれを照らし合わせてなんとかならないか?」

そうか、と言うことは群生地の予想も出来ているのか・・・最高峰の研究所で割り出したデータならひょっとすると可能かもしれない。

可能性が出てきたティティルリアは少しだけ気分が上がる。まだ手にとったことのないものを採取できる絶好の機会でもあるからだ。

「わかりました、引き受けます。確認ですけど今回の目的はその植物を採取する依頼でよろしいですか?」


大体の事は聞いたんだしそろそろお暇したいと思ったティティルリアは締めくくろうと言葉を切り出す。

植物さえ持ってくればいいだけだし、目の前の彼とももう会うこともないだろう。

「あぁ、引き受けてもらえるならこちらの署名はいる。何せ国家機密なので。」

サディアはそう言ってどこからともなく契約書を出してきた。確かに国家機密内容でもあるかと特に警戒することも無く書類にティティルリアは署名する。もうすぐここから出られると思うといつもなら重く感じるはずの署名する為の大人用の万年筆が軽く感じた。さらさらと書き終え彼らに手渡すとサディアは異様に素早く受け取ったので違和感を感じたがティティルリアは帰りたかったので腰を上げた。


「では、データをもらえますか?家で調べながらしたいので。」

「あぁ、よろしく頼む。それでは後日、今回の件により編成した我々の隊と日時などの情報のすり合わせを行うとしようか。」

思いがけない言葉にティティルリアは固まる。

「・・・は?え?貴方方も一緒に来るんですか?」

「あぁ、署名の内容にもそう書いてあるが?」


冷たく言われたサディアの言葉にティティルリアは一気に胃が重くなるのを感じた。


いつも読んでいただきありがとうございます。

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