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いつも読んでいただきありがとうございます。次回は7/24(土)投稿予定です。
・・・なんか変だ、ここ騎士団だよね。
中へ案内されてから数分、ティティルリアは案内役の黒い騎士服を着ている騎士の背中を見ながらどこか違和感を感じとっていた。
地方とはいえ騎士団といえば厳格かつ厳密な場所でもあるとタルネから話しを以前酒の席で聞いていた手前、門番に自分の名前と彼女の名前を言えばあっさり通してくれた事にも首を傾げる。
しかも、騎士達とすれ違う度に何故か挨拶されるし、誰もが気持ち悪いほど友好的だ。
ここの騎士団だけなのか、それともタルネが以前所属していた正騎士団がもっとここより厳格なのだろうか?
確か就任したての頃同じ騎士だけど怖いと酒の席でグズっていたのに・・・。
それに何だか視線をもろに感じるんだよなぁ・・・。
「あぁ、すみません。ここですね。」
前を歩く騎士がくるりと踵を返しにこやかにティティルリアに声をかける。
金の装飾が施された白い扉の前で止まった騎士は金のドアノブを掴み開けた。
中へ促され恐る恐る中へ入っていくと、見るからに高級そうなソファや白いテーブル、そして執務用の机が置かれていた。
ここがタルネの職場なの?・・・・それにしては高級なものが置かれているし、使い込んでいるし・・・。
ティティルリアの背からでも見える立てかけて置かれている万年筆のブランド名と年季の入っている色褪せた箇所を見てこれは流石にタルネの物ではないだろうとティティルリアは理解する。
「あの・・・本当にタルネ卿の待ち合わせはここなんですか?」
「えぇ。間違いありませんよ。今から呼んできますからこちらのソファでお待ちください。」
爽やかに微笑んでい言う騎士にソファまでエスコートされ、ティティルリアは戸惑いながらも座る。
座った感触でもはっきり分かる。やっぱりこれ高級な革ソファだ・・・。
頭の中でソファの金額を考えていると空のティーカップが前に置かれ、銀の色のポットからお茶が注がれる。
「お茶はすみませんが、ポット式で失礼しますね。」
「いえ、お構いなく・・・珍しいポットですね?」
「えぇ、最新の魔道具なんですよ、長時間温度がキープ出来るので重宝されているんですよ。」
そう言ってお茶の入ったカップを前に差し出される。そのままだと失礼なのでティティルリアは手にとって一口口にする。思わず目が輝くのが分かった。
「お口にあったみたいですね。お菓子もどうぞ食べてお待ち下さい。」
ティティルリアの反応に満足したのか騎士は部屋をあとにする。ティティルリアはそれを見送った後どういう事だと首をひねる。
おかしい・・・タルネに頼まれただけなのに何でこんなに待遇が良いの?
お茶も一級品、このお菓子の出来具合から見て一目で美味しいというのがわかるほどだ。
「もしかして私、大変な頼み事されたのか?」
嫌な予感もするし・・・やっぱ帰ろうかな?
断ろうかなと今になって思い始めたティティルリアが立ち上がろうとしたが、先に扉が開いてティティルリアはそちらを見た。
「何で・・・。」
思わず言葉が漏れる。
アイスブルーの髪に金色の瞳を持つ男性。
大人になった彼がそこにいた。
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