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いつも読んでいただきありがとうございます。次回は7/20(土)投稿予定です。
化粧に髪。女性特有の時間のかかる事は一切しないティティルリアは最低限の身支度を終え家を後にした。
パンを齧りながら慣れた道を歩く。
こう無作法を堂々としても誰にも変な顔をされないのは子供の姿の特権だなとティティルリアは早々にパンを食べ終えながら目的地へと向かっていく。
首都ではないものの、多種族の交通ルートとして便利に整備されたおかげで商業区の街だと1、2争う。その為この街は、商会の屋敷は勿論上流階級の屋敷も多く点在している。それにより市民もまた教養の高いものがここへ集う。何より働き口の多いこの街は他の街から見れば裕福層が厚いため、街の警護を担当しているのは村々で活躍している市民警邏隊ではなく騎士団が担っている。
自分の友人であるタルネもその騎士団に所属している。彼女は自分が貴族の学校で知り合った友人の1人で、寄宿時代何かと世話を焼いてくれた1人だった。
あの頃の思えばよく、彼女との縁が持てたなとティティルリアは思い返す。
当時学生だった頃、貴族の学校に通うつもりはなく最初は普通の市民学校より上の教養を教えてくれる学校に通っていたのだが、2年に進級したある日、当時の先生に私の学力の高さから貴族の最も偏差値の高いグラディウス学園に通わないかと推薦されたのだ。
勿論、その時はすぐに断った。あの頃は貴族の人間とは関わりたくなかったし別に教養を高めて王都で働くつもりも毛頭なかったからだ。
母のように薬師や錬金術師として働くつもりで今の学校が一番自由に学べて満足もしていたし、何より自宅から通学できる距離にあったのも魅力的だった。
6年学校に行きながら、母から薬学関係とか高度な錬金術を教えてもらうつもりだったからだ。
それに推薦されたあそこは通常の座学カリキュラムに加え魔法か剣術でも教わるカリキュラムも含まれる為、帰省できる日もごく僅かで遊びにもいけず貴族の学校のエリート中のエリートが行く学校として最もハードだと風の噂で昔聞いて知っていた。
絶対そんな雁字搦めの学校に行きたくない。
それにそんな学校だとどれだけの学費がかかるのか、ティリエスは想像したく無かった。
だが、そんな心情とは裏腹に先生はそれから推薦を度々行うようになった。
学園の勉強内容だの、いろんな採取した植物や鉱石の標本の数ーーー。
そして極めつめはどういうわけか、昨年までなかったはずの奨学金制度も出来たという話し。
そうこうしている間に先生の話しを聞きつけたのか周りの友人達もこんなチャンスはないと度々説得されていくようになり、ついには両親にまで勧められたことで私はキレた。母も私に学園に行くよう説得されたのが決定打だった。
私は今でも十分満足しているのに、誰もその事を理解してくれない。
もういい加減、その頃にはうんざりしていた。
イライラいた私は、学園のカリキュラム内容と特定の条件さえ揃えば飛び級できる事を知り、じゃぁそんなに言うなら行きましょう。だけど飛び級してさっさと卒業してやる。
そんな気持ちで編入を決意し、ティリエスは2年の夏から編入した私は、子供姿の編入生に興味な目で見てくる視線を不快に感じながら、グラディウス学園の門を潜った。
当然、その頃私はやさぐれていたので勉学だけに勤しみ全くと言っていいほど交友をしなかった。
誰もが最初興味を持ってもそんな態度の私から離れる中、タルネだけは私にずっと話しかけていた。
ーーーー、そこからだんだん絆され今に至るわけだが、思えばこんなに長い付き合いになるとは思っていなかったな。まぁ、それでも飛び級は2回したけど。タルネに4年に進級した時に飛び級したら長い時間一緒に居られないと泣かれてそれからしなくなったけど。
そんな事を思っていると目的地である騎士団所属の建物についたティティルリアは足を止めた。
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