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いつも読んでいただきありがとうございます。次回は7/6(土)投稿予定です。
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「・・・うーわ、最悪・・・。」
ズキズキと頭痛を感じながら起きた最悪の朝にティティルリアは喉やけした掠れた声で呟く。
昨日は随分深酒をしたなと痛みで反省しながら、用意していた二日酔いに効く薬を飲み干しティティルリアはゆっくりとダイニングの椅子に座った。
昨日は久しぶりの友人と昔話に華が咲いてつい飲み過ぎてしまった。
だからだろうか・・・もう何年も前の記憶が夢に出て来たのは。
「あー・・・そういえばそのまま寝たんだっけ?あー・・・面倒臭いけど、ベタつくし・・・。ていうかよく帰って来れたな私。」
最後の方の記憶はあまりないが昨日の着の身着のままの状態を見てティティルリアは悪態を吐きながら浴室へと向かった。
服を雑に脱ぎ捨て浴室へ入った後、とりあえずスッキリしたかったティティルリアは頭から冷たいシャワーを浴びながら、あの時のことを思い出す。
あからさまに敵意を持って言われ何も考えられないところで、彼は別の女の子と会う約束をしていた事実に自分はショックを受けたあの日、彼の別荘に居た大人に問いただすように言われた私はプレゼントをそのままにその場から逃げるように走り去った。
大人になっていくにつれて自分の気持ちが嫌でも分かってくる。
あの時の私は無意識にそうではないと、そうあってはならないと、彼の友人だと自分に言い聞かせていた。
でも結局そんな事を思っていても彼に惹かれ、彼の事を異性として好きになりかけていたのだ。
だからあの女性に見透かされた物言いに違うと否定の言葉の何も言い返せなかった、図星だったからだ。
加えて私は、心の何処かで彼の特別だとそう思っている節さえあった。だから友人がいないと言っていた彼の言葉とは違い、友人、特に他の女の子の存在を知った時は大きなショックを覚え、そんな自分に私はあの時恥じた。
彼は実際、そんな事はなかったのだ。
彼はあんな事を言ってはいたがきっと貴族の友人も居て、自分よりも親しい子がいたのだ。
だって彼は誰からみても優しくそして尊敬できる男の子なのだから居ない方が可笑しい。どうしてその事に気がつくがなったんだろう。
今思えば口では親しげにしていたけど実際は鬱陶しいと思われていたのかもしれないなと、あの時のことを振り返る。
だって、そうでなければ私が別荘に来るという主人の予定を知っているであろう使用人が私の存在を見て目くじらを立てて問い詰めようとはしないだろう。
純粋に思ってはいけなかったのだ、彼は貴族で腹の内を見せる事はない階級の人間。
それを幼い私が知らなかっただけだ。
今となってはあの時どう思っていたのか確かめる術も何も無いし、貴族の伝手を使って彼にもう一度逢おうとも思わない。もう終わった事だ。
だから、もう彼の事は過去でしかない・・・それなのに。
「・・・時々思い出すのは今の自分の姿を見るせいからかなぁ。」
原因は分からない。ただあの日家に帰るなり私は倒れ込み数日間高熱にうなされた。最初はただの過剰なストレスによる体調不良と言われていたので誰も自分でさえ気にもとめていなかった。
だがあの日から1年2年と年を重ね、他の同い年の子が成長していく姿を見て、自分のカラダがおかしいことに気がついた。
今鏡に映る自分の姿。
私はあの日の姿から私の身体はずっと子供の姿のまま成長しなかった。
呪いなのか、それとも身体の異変なのか。
調べたが、私の身体からそんな類のものは見つけられなかったのだ。
いつも読んでいただきありがとうございます。