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いつも読んでいただきありがとうございます。次回は6/29(土)投稿予定です。



「じゃぁ、お父さんは配達してくるけど・・・本当に一緒に挨拶しなくても大丈夫かい?」

「え?いいよお父さん、配達に遅れちゃったらまずいんじゃない?」


父が扱う馬車に乗り込み、目的地の近くで止めた父にティティルリアは口を尖らせた。


「いや、あそこの家とは僕の家と友好関係だけどさ会った事ないし、でも確かあそこは今一人息子しかいないって聞いているし。気になるっていうか心配・・・まさかティルちゃんの事奪おうを思ってる?」

「?どうしたのお父さん、ぶつぶつ何言ってるの?」


自分には聞こえない程度に独り言を呟く父にティティルリアは首を傾げたが、ハッとした顔で父はなんでもないと首を横に振った。‘

「じゃぁここでティルちゃん降ろすけどいいね?」

「うん、ありがとうお父さん。お父さんもお仕事がんばってね。」

「ありがとう!お父さんも仕事終わらせたらティルちゃん迎えに行くから!」


そう言って父とは別れ、ティティルリアは最後裾など服が汚れていないか確認して歩き出す。

きちんとした装いは貴族とまではいかないが商人の娘としては恥ずかしくない装いだ。


お母さんに感謝しないと。後でお父さんにお願いして、お母さんに美味しいお菓子買って帰ろうっと。


と、持っていた紙袋の擦る音にティティルリアはそっと綺麗にラッピングしメッセージカードを添えたプレゼントを見て、ティティルリアは頬を赤らめて微笑む。


サディア、喜んでくれるかな・・・。


「!・・・・お。」

と、聞いていた住所の建物が見えてティティルリアは思わず足を止める。

別荘と聞いていたが、まるで本邸の屋敷のような大きい門がデンっと立っておりティティルリアは思わず見上げた。

大っきい・・・やっぱり公爵家だから他の別荘よりも大きいし広い・・・。


重厚な門に思わず怯みそうになるがきちんと招待を受けたんだと自分にいい聞かせる。

お祖父ちゃんの屋敷で作法は教わったし・・・大丈夫。ちゃんとできる・・・でも変だな。


いざ中へとと思って門の近くを見渡すがティティルリアは首を傾げる。

お祖父ちゃんの屋敷の門でも、大概警部兵が立っているんだけど・・・居ない?でもどうやってサディアと連絡取ればいいんだろう。無闇に魔法でメッセージ飛ばすわけにもいかないし・・・。


祖父の家に普段であれば警備兵に言えば中を通してもらっていたティティルリアが途方に暮れていると、備え付けてある使用人用の扉が開き誰かが出てきたのでティティルリアはホッとし駆け寄った。


「あの」

「はい!・・・なんでございましょう?」


振り返ったのは中年くらいの女性で、最初は朗らかに返事をして振り返ったがティティルリアの姿を一瞥した途端態度が急に冷たいものになった事で、ティティルリアは少しだけ萎縮する。


「・・・早く、おっしゃってもらえますか?」

「あの・・・その、私ティティルリアって言います、あのサディア様との約束で参りました。」

「約束?貴女と?嘘おっしゃい。」


ピシャリと言い返されたティティルリアは固まる。

「どこの子か知らないけど、貴女のような子がおぼっちゃまと約束されるわけないでしょう。ここは公爵家、由緒ある血筋のお家柄ですよ。」

「え?でも私、サディアに招待「まぁ!!」」


急に大声を上げたその女性は目を釣り上げてティティルリアに詰め寄る。

それに驚いたティリエスは後ろへとよろけ尻餅をつく。

プレゼントも地面へと転がり、ティリエスはそのプレゼントを見てショックを受ける。

「ぼっちゃまの事を呼び捨てなんて!貴女無礼にも程がありますよ!」

「!」

「全く・・・それにぼっちゃまは本日ご令嬢の方との約束があります。旦那様と奥様も首を長くして待っていらっしゃるんですから、こんな事で予定を遅らせるわけにはいかないのに。」


サディア、友達いたの?私だけじゃなかったの?


「本当に、貴女のような見窄らしい子など。」

吐き捨てるように言われた言葉に、母が私のためにと服の手入れをしてくれた姿を思い出し思わず涙目になる。


「どうかしたんですか?」

「っあ!君待って!」

後ろからやってきた兵を見て、ティティルリアはプレゼントを置いたまま走り出した。

また何か言われることに恐れたティティルリアは兵士の制止を振り切りその場から逃げた。



いつも読んでいただきありがとうございます。

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