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いつも読んでいただきありがとうございます。次回は6/22(土)投稿予定です。
こうして、私とサディアは仲良くなっていった。
同じ価値観で話せる友達
自分より世界のことを知っている友達
毎日が楽しくてこのままずっと夏が終わらなければいい・・・なんて思えるほどに。
それだけ私は彼しか見えていなかった。思えば私は彼に異性として惹かれていたんだと思う。
だから彼の言葉に喜び、彼の別荘に招待された時は困惑もあったが同時に嬉しかった、彼に自分が受け入れてもらえているようで・・・本当に、あの時の私は浮かれていたんだ。
だから、忘れていた。
世の中には相手の地位が低い事で蔑む人も少なからず存在することをーーー。
「お母さん、これで大丈夫かなぁ?変じゃない?」
ティティルリアは立ち鏡の前で何度も何度も薄いピンク色のワンピース姿を確認しながら後ろで薬草の仕分けをしている母に確認する。
「大丈夫よ、ティティ。すごく可愛いしおかしくないわ。そんなに何回も聞いてくるけど、お母さんの答えは変わらないわよ。」
「だって・・・緊張するもん。友達に家に呼ばれるのは初めてだし。それにお貴族様だし。」
「まぁ、ティティったら、お屋敷に呼ばれることなんてちょくちょくあるじゃない?」
「あれはお祖父様のお屋敷だからだよ。それとこれとは別だよ。」
父の生家を思い出しながらティティルリアはそう答える。
そう返すと母は手を止めティティルリアの前でしゃがみ彼女の髪の毛を整える。
「ティティはお義父様のお屋敷で貴族のマナーもしっかり習ったしきちんとできていたでしょ?」
「うん・・・。」
「なら大丈夫よ。だから気にせず楽しんでいらっしゃい。それに、その子にプレゼントあげるんでしょ?」
そう言われて、ちょこんと机の上に置いているラッピングされた箱へ視線を送る。
彼が私の魔力が心地良いって言ってくれたので、それならと宝石を使って魔法石へと加工したペンダントを用意した。
氷属性の魔力に浸透しやすいアイオライトを使い自分の魔力を送り込んだそのペンダントは、シンプルながらも自分から見ても上手く出来た代物だった。
これを彼が身につければ、彼が発熱で具合が悪くなる時に私の魔力が反応して彼を冷ましてくれる、少しでも和らげてくれるはずだ。
宝石の純度の高いものを父に無理を言って譲ってくれたお陰で、そのペンダントは1年半は効果を持つ。
来年彼がここに来た時にまた魔力が補充できるように、それまで持つように彼が辛く無いようにと祈りながら作った物。
「渡しにいく。だって友達だもん。」
「それならいいわ。はい、髪の毛も綺麗に出来たわ。」
「おーい、準備はできた?」
父の声に反応しティティルリアは顔を上げる。
「お父さん出来たー!今行く!」
そう言ってティティルリアは元気よく返事をし、プレゼントを大事そうに紙袋に入れて部屋を飛び出した。
いつも読んでいただきありがとうございます。