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いつも読んでいただきありがとうございます。次回は6/15(土)投稿予定です。
「そうだ。」
と、急に何かを閃いたのかサディアが声をあげたのでティティルリアはサディアをみる。
見れば彼は上機嫌な顔で肌についている乳白色の鱗をキラキラとさせてこちらを見下ろしていた。
「ねぇ、ティティ。3週間後に僕の別荘に来ない?そこでお茶会をしよう。」
「え?!」
思いがけない提案にティティルリアは驚く。
それもそうだ、公爵家の子息と商人の娘では格差がある。サディアが私の誘いに乗るのはご両親の了承があれば問題はないだろう。だが、逆に自分がサディアの家の敷居を跨ぐのは格上の家柄の作法を全く知らないティティルリアにとってそれは難しい事である。
それに、ここの村の娘というだけの素性を知らない子が息子の家へ遊びに来れば良い顔はしないだろう。
どうしよう・・・なんて言って断ろう・・・。
彼を傷つけずにどう断ろうかと考えていると、彼は急に私の体をヒョイっと持ち上げ向かい合わせにして彼は自分の太ももの上に私を下す。本はティティルリアが両手で抱えていたので落とす事なくホッと息を吐いたが、彼の上に乗せられ落ち着かないでいると、サディアは私の頭を撫でた。
「もしかして、貴族の作法とか気にしてるの?それなら心配ないよ。僕と君だけのお茶会だし、父上や母上だって本当は君が来てくれるのを楽しみにしているんだ。」
「え?ご両親に話したの?」
思わず聞き返したのでサディアは不思議そうな顔をした。
「なんでそんな事を聞くの?」
「や、だって。前にここにくるのはお忍びって言ってたじゃん。だから、平民の私とは会っちゃダメだからこっそりここに来ているのかなって。」
「そうじゃないよ。僕の護衛がいちいち煩いからここにはこっそり来ているだけ。両親にはちゃんと言ってきているし、何よりティティは僕の恩人なんだから、そんな事を思うわけないじゃないか。」
キッパリとそう返してくれたサディアの彼の両親に嫌な顔をされていないという事実を聞いたティティルリアは、ホッとする。
「大丈夫だから、ね?来て欲しいんだ。お願い。」
「えっと・・・どうしてそんなに来て欲しいの?」
「そうだね・・・あぁ、自分からこれを言うのは恥ずかしいんだけどね。実は僕誕生日がもうすぐなんだ、そのお茶会で僕の誕生日祝って欲しくて・・・。」
照れた様子で理由を話すサディアにティティルリアは口をポカンと開けた。
「え?!なんで早く言ってくれないの!」
「えぇ?」
今度はサディアが驚く番だった。
「だって、知っていたら私がちゃんとお祝いパーティー・・・まぁ庶民版だけど!ちゃんと計画したのに!」
「え?パーティってしてくれるの?僕が主催なのに?」
ティティルリアは首を縦に勢いよく振る。
「へぇ、貴族は誕生日パーティーは当事者の家でするからなんだか新鮮だね。」
「勿論友達全員じゃないけど、親しい友人とかそういう事はするよ。相手を祝いたいから皆で考えて、サプライズパーティーみたいな事をするんだ。」
「そっか・・・なんか嬉しいな。貴族はそんな事をしないから。貴族の同年代で友人と呼べる子はいないしね。」
「サディア・・・。」
少しだけ寂しそうにした彼を心配したが、サディアはすぐに微笑んだ。
「なら、今回は僕の別荘でお茶会で、来年はそのパーティーをお願いしてもいい?」
「来年?」
「うん、僕も学園に入るから忙しくなるけど休みは絶対ここにくるから。だから約束してもイイ?」
「勿論だよ!私、今から考えておくから!来年楽しみにしてて!」
そう言ってサディアが差し出した小指に自分の小指を絡ませた。
「うん、今から楽しみにしておくよ。」
サディアもティティルリアの言葉に笑みを浮かべた。
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