やっぱり王妃も悪だくみに加担していました。
とても大切なお願いがあります!
どうか、あとがきまでご覧くださいませ!
「静粛に! これより、国王陛下毒殺未遂事件についての裁判を行う!」
僕がサロモン王に先の事件の犯人の名を告げてから、今日で三日。
騎士達はリゼットを容疑者として捕らえ、異例の速さで裁判が行われることとなった。
この三日間、リゼットに対する取り調べや状況調査など、この裁判に向けて王国騎士団達は慌ただしく動いていた。
もちろん、騎士団長だけでなく、ポーラ王妃の周辺でも。
なお、僕はといえば告発者の席に独りぼっちで座っております。
残念ながら、サンドラやモニカの同席は認められなかったよ。
そして、反対側には視線だけで僕を殺してしまいそうなほど睨んでいる、今回の事件の容疑者であるリゼットが座っている。
いやあ、今回のことでは、色々と恨まれてしまったよ。
特にエリーヌときたら、『人でなし』だの『裏切り者』だの。挙げ句には『『無能の悪童王子』を信じた私が馬鹿だった』と、散々な言われようだ。
だけど、残念だったね。
裁判が始まってしまった以上、真犯人が現れない限りは、このままだとリゼットが犯人になることは確定だ。
その様子を、玉座に座るサロモン王はヴェールで顔を隠してこちらの様子を見守っているけど、おそらくは苦々しげに見つめていることだろうね。
隣のポーラ王妃は、どこか楽しそうにしているというのに。
ちなみに、この裁判に限っては、ジャンも謹慎が解かれて同じく傍聴しているよ。
謹慎処分となってしまった元凶の裁判なのだから、あの男がここにいないというのは、それはそれでおかしいからね。
「では、告発人ハロルド=ウェル=デハウバルズ殿下。今回の告発に至った経緯、そして、その理由の説明を」
「はい」
僕は証言台に立つと、裁判官にリゼットがいかに犯人であるかを、詳細に語った。
ありがたいことに、彼女の犯人となる証拠は、騎士団がバッチリ揃えてくれたよ。全部でっちあげだけど。
「……次に、被告人リゼット=ジョセフィーヌ=ド=カペティエン殿下。今のハロルド殿下の証言に、反論はありますか?」
「ええ、大ありですわ」
当然ながら、黙って冤罪を受け入れるはずがないよね。
そんなことをしたら、たとえ第一王女とはいえ処刑は免れないのだから。
「そもそも、ハロルド殿下が……いえ、『無能の悪童王子』が宣ったことは、全てデタラメですわ。この私がそのようなことをして、一体どのようなメリットがおありで?」
「リゼット殿下、それでは無実の証明にはなりません。具体的な証拠を……」
「証拠なら……いえ、証人なら私がおります! 私はずっと、お姉様の傍におりました!」
「静粛に!」
あの引っ込み思案のエリーヌが、傍聴席から必死の形相で声を張り上げる。
とはいえ、さすがにこれは裁判官に止められてしまった。
それよりも、エリーヌの行動に驚いているのが、サロモン王の隣で裁判を見守っているポーラ王妃だ。
まさか自分の娘が、憎々しい女の娘であるリゼットを庇うとは、思いもよらなかったんだろうね。
だけど、裁判の邪魔をするのはエリーヌだけじゃないんだよ。
「お待ちください。リゼット殿下が犯人でないことは、このアレクサンドラ=オブ=シュヴァリエも証言いたします。また、証拠……いえ、証人を用意しております」
「グッ!?」
甲冑を身に纏い、シュヴァリエ家に代々伝わる宝剣『バルムンク』を携えて現れたのは、僕の最推しの婚約者であるサンドラ。
その隣には、縄で縛られた侍従を引きずるモニカがいた。
「先程、私の婚約者であらせられるハル様が証言なさった中で、『リゼット殿下の室内で使用された毒薬が発見された』とありました」
「う、うむ……」
「この者は、その毒薬をリゼット殿下の部屋に勝手に侵入し、引き出しに忍ばせた男です。そうですよね?」
「ヒ、ヒイッ!?」
ニタア、と口の端を吊り上げるサンドラを見つめ、侍従の男は顔を引きつらせる。
どうやらここに来るまでの間に、トラウマ級の酷いことをされたっぽい。
「早く答えなさい」
「は、はい! 私はあろうことか、リゼット殿下の部屋に忍び込み、証拠となる毒薬を置いておきました!」
明らかに脅されて証言していることは丸わかりだけど、この異様な状況に誰も声を発することができない。
ただ、固唾を呑んで見守るのみ。
「次に、毒薬をリゼット殿下の部屋に忍ばせたのは、あなたの単独犯行ということですか?」
「ちち、違います! 私は命令を受けて、そのようなことをいたしました!」
侍従は、それはもう泣きそうな表情で熱弁する。
さて……これを見て、あの侍従の飼い主であるポーラ王妃は、どんな表情をしているかな?
「…………………………」
……へえ、涼しい顔をしているじゃないか。
別にあの男が何を言ったところで、切り捨てればいいとでも思っているんだろう。
まあ、サンドラに向けた鋭い視線は、隠し切れていないようだけど。
だけど、内心では驚いているだろうなあ。
だって、ポーラ王妃は僕の部屋に毒を忍ばせるように指示したはずなのに、リゼットの部屋に忍ばせたと従者が証言したんだから。
「ところでサンドラ、その男は一体何者なんですか?」
「ふふ……ポーラ王妃の侍従です」
「「「「「っ!?」」」」」
「…………………………」
クスクスと嗤いながらサンドラが告げた瞬間、ここにいる全員が、ポーラ王妃へと視線を向けた。
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