僕の相棒が、第二王女に見つかってしまいました。
とても大切なお願いがあります!
どうか、あとがきまでご覧くださいませ!
「ハロルド殿下、お疲れさまでした」
サロモン王との会談を終えて謁見の間から出ると、待ち構えていたモニカが迎えてくれた。
「ふう……サロモン陛下との話し合いの結果、リゼット殿下は僕達と一緒にデハウバルズ王国に連れて行くことになったよ」
「それは……」
「まあ、王立学院に留学するという名目で。それまでは、我が国に慣れていただくということだ」
深く息を吐き、僕はモニカに会談の内容を説明する。
これから、国賓として彼女を預かることになるのだから、僕の専属侍女であるモニカに迷惑をかけることになるかもしれないからね。
「それで、君のほうはどうだった?」
「はい。ハロルド殿下のお見込みどおり、ジャン殿下と騎士団長が接触しました」
「やっぱり……」
僕は今朝からモニカには別行動を取ってもらい、ジャンの動向を探ってもらっていた。
もちろん、昨夜の一件でジャンの仲間が接触すると考えたからだ。
その結果、怪しいと思っていた騎士団長が、案の定繋がっていたことが確認できて満足だよ。
「そうすると、ジャンは騎士団長に今後のことを託した可能性が高い。おそらくは、クーデターに向けて動き出すだろうね」
これ以上ジャンが疑われることは避けたいはずだから、見張っていても接触する者は現れないだろう。
それよりも、騎士団長に張りついたほうが、今後の動きを把握できる。
「モニカには、面倒なことばかり頼んでばかりで、申し訳……っ!?」
「そのようなことをおっしゃらないでください。それに、頑張った分は給金を弾んでいただきますので」
人差し指で僕の口を塞ぎ、あまり表情を変えることのないモニカは、ニコリ、と微笑んだ。
うーん……やっぱり彼女も、『エンハザ』のヒロインよりも断然可愛いと思うんだよね。これでモブですらないんだから、このゲームは色々とバグってると思う。
「それでは、私はこれで失礼します」
「うん、よろしくね」
モニカは恭しく一礼し、音もなくこの場から離れた。
「さて……二人も心配しているだろうから、僕も庭園に戻ろう」
僕は独り言ちると、サンドラ達の待つ庭園へと向かう。
その途中。
「あ……」
リゼットの妹で、第二王女のエリーヌとばったり会ってしまった。
たしか『エンハザ』においては、悪女のリゼットにいじめられる可哀想な妹という設定だけあったな。
つまりヒロインでもない、ただのモブってことなんだけど……なるほど、サロモン王の話を聞いた後だと、どことなく同じ面影はあるものの、リゼットと彼女はあまり似ていないね。
これも、母親が違うからなんだろうなあ。
「これはこれはエリーヌ殿下、こんにちは」
「ひ、ひゃう……っ」
え、ええー……軽く挨拶しただけなのに、軽く悲鳴を上げられてしまったよ。
というか、明らかに僕に怯えているよね。いくら僕が小悪党面だからって、ちょっとショック。
「あ、あははー……し、失礼します」
これ以上ここにいたら、リゼットではなく僕が彼女をいじめていると思われてしまう。
ただでさえ世間の評判は『無能の悪童王子』だし、そのことはカペティエン王国でも知られているだろうし。
ということで、僕は被害に遭う前にそそくさとこの場を離れ……たんだけど……。
「…………………………」
ええー……どうして彼女、僕の後を尾けてくるの?
あまりにも行動が謎すぎて、僕はどうしていいか分からず思わず首を傾げる。
声をかけたらさっきみたいに怯えられるだろうし、かといってこのまま無視していても、引き続き尾行してくるだろうし。
とにかく、彼女の目的が何なのか知りたいものの、これではお手上げだよ。
などと考えている中、面倒事というのは重ねてやってくるもので。
「あ! ハル!」
「なあああああああッッッ!?」
ど、どうしてキャスが、こんなところにいるんだよ!?
しかも、エリーヌがいるっていうのに、人の言葉までしゃべってるし!?
僕は慌ててダッシュすると、キャスを捕まえてすぐに口を塞いだ。
「モゴ!?」
「ば、馬鹿! ここはデハウバルズの王宮じゃないんだぞ!? というか、どうしてここにいるんだよ!?」
この時の僕、メッチャ焦っていたんだよ。
キャスの口を塞ぐことに意識が集中しすぎて、そんなことを問い詰めてしまったんだ。
だからさあ……。
「そ、その猫さんは、お話しができるのですか?」
……エリーヌが僕達の目の前に駆け寄ってきて、瞳をキラキラさせて尋ねてくるんですけど。
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