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【コミックス1巻発売記念】超絶有能美少女メイドは主君を守る

【コミックス第1巻が2月28日発売!】

『無能の悪童王子は生き残りたい』

のコミックスが、いよいよ明日発売です!


どうかあとがきまでご覧くださいませ!!!

◼️モニカ=アシュトン視点


「さて……行きましょうか」


 朝の四時。まだ夜が明けておらず暗い外を窓越しに見つめ、軽く伸びをします。

 本当はお肌のためにもっとゆっくり眠りたいところですが、ハロルド殿下をお守りするためなので仕方ありません。


 何せあの御方は、この超絶有能美少女メイドであるこの私がいなければ、自らを守ることができませんから。


 え? 一体何から守るのか、ですか?

 そうですね……確かにハロルド殿下は、他者では及びもつかないような、突拍子もないものを武器とされております。


 しかも第四王子のあの()……もといウィルフレッドをも圧倒し、今や王国内でも指折りの盾使いと言っても過言ではありません。

 事実、あのお嬢様の攻撃ですらそのほとんどを防ぎ切ってみせるのですから。


 ですが。


「あの御方は、『大切なもの』を守ることしか考えておられませんからね」


 この私を含め、ハロルド殿下は『大切なもの』達を守るためなら己が傷つくことも(いと)わない。そのため、私達が傍にいると実力以上の力を発揮する一方で、その身をより危険に晒すところがあります。


 そもそも、ハロルド殿下にもしものことがあった場合、一体誰がこの私のお給金を支払ってくれるというのですか。


 そういうことですので、私は(もっぱ)らハロルド殿下をお守りすべく、誰にも知られることなく敵を排除してきました。

 あの()……ウィルフレッドが放ったであろう刺客はもちろんのこと、ハロルド殿下をまるで蛇のように執着して監視する輩など、その数は両手どころか足の指を合わせても足りません。


 ですが、この私が最も頭を悩ませる御方がおります。

 あの御方は私の全力をもってしても、例えるなら雨のように降り注ぐ矢の中をまるで無人の野を歩くかのごとく進み、全てを無に帰してしまうのです。


 これまでは何とか水際で防ぐことができましたが、最近はあと一歩のところまで迫られることも多く、一瞬たりとも気が抜けません。

 ある意味そこまで執着するあの御方に感心してしまいますが、正直厳しいです。誰か何とかしてください。


 ……いけませんね。超絶優秀美少女メイドたるこの私が、弱気になってしまいました。

 これからもハロルド殿下からたくさんのお給金をいただくためにも、今日も死ぬ気で頑張るといたしましょう。


 ということで。


「……来ましたか」


 王宮の外壁に仕掛けておいた侵入者を知らせる鈴の音を聞き、私は部屋を飛び出してその場所へと向かいます。

 といっても、既に多くの仕掛けが突破されていることでしょうから、私はあの御方が辿るであろうルートを予測し、待ち構えるだけですが。


「昨日は離れの庭園を狙われましたから、今日は意表を突いてこの正面の通りから来るでしょうね」


 最も衛兵が配置されている正面の通りから来るなど愚の骨頂ですが、あの御方なら下手な罠を突破するよりも容易いでしょう。

 何せ、あの御方に敵う者などこの世界にいるかどうかすら怪しいですから。


 ほら。噂をすれば、衛兵達が次々と宙を舞っているではありませんか。


 ですが。


「ここは絶対にお通ししませんよ。お嬢様・・・


 そう……ハロルド殿下にお仕えして二年、私は毎日のようにお嬢様の侵略を阻止してきました。

 圧倒的な武力で私の罠すらも食い破り、ただ婚約者にいかがわしいことをすることを目的に猛り狂うバーサーカー。


 もしお嬢様を通してしまったら、ハロルド殿下はたくさんのものを失うことでしょう。貞操も、尊厳も、魂ですらも。


 ……さすがにそれは考えすぎではないか、ですか?

 皆様はご存知ないのです。お嬢様がどれほどハロルド殿下に執着し、求めてやまないのかを。


 ハロルド殿下のお部屋にあるゴミ箱のごみを漁る程度は可愛いもの。その気になれば、お嬢様自身が率先してハロルド殿下のごみをたくさん生み出すことでしょう。

 ハロルド殿下秘蔵の薄い本に載っているような、あんなことやこんなことなどをして。


 いくら超絶有能美少女メイドのこの私でも……いえ、超絶有能美少女メイドの私であるからこそ、皆様が私に抱いている清楚なイメージを崩すわけにはいかないのです。


「……やはり今日も、あなたが私の邪魔をするのですね」

「もちろんです。ハロルド殿下の貞操をお守りするのは、この専属メイドであるこの私の役目ですので」


 真紅の瞳を爛々(らんらん)と輝かせて尋ねるお嬢様に、私は抑揚のない声で答える。

 さあ……始めましょうか。


 我が主君を……私の『大切なもの』を守るための戦いを。


 ◇


「ふわあああ……あれ? モニカ、なんだか疲れてない?」

「おかしなことをおっしゃいますね。私はいつもと変わりませんが?」


 朝日が窓から差し込み、起床して欠伸(あくび)をされたハロルド殿下がおもむろに尋ねます。

 確かにお嬢様の相手は骨が折れますが、この超絶有能美少女メイドであるこの私が、ハロルド殿下に対して疲れた素振りを見せるなどあり得ません。


 ええ。ハロルド殿下がいつ、どのような時に私を見ても幻滅されないように、完璧に振る舞っておりますので。


 ……ただ、そうですね。


「本音を申し上げますと、今朝は少々疲れました……」

「ちょ!?」


 私はベッドに腰かけると、ここぞとばかりにハロルド殿下の胸にしなだれかかりました。

 顔を真っ赤にして慌てておられますが、頑張ったのですから少しくらい主からご褒美をいただきませんと。


 そうですよね、ハル様?

お読みいただき、ありがとうございます!


前書きでもお知らせしましたが、『無能の悪童王子は生き残りたい』のコミックス第1巻は明日発売!


首都圏の一部の店舗では、既に発売しているところも!


また、各店舗では、以下の特典もございます!!

・ゲーマーズ様  :描き下ろしブロマイド

・メロンブックス様:描き下ろしイラストカード

・ComicZin 様  :描き下ろしイラストカード


がうがうアプリでも話題の『無能の悪童王子は生き残りたい』を書店でお見かけの際は、どうかお手に取ってご覧くださいませ!!!


詳しくは下記まで!!!

双葉社様HP:https://gaugau.futabanet.jp/list/work/a0lRM6mDslxLvMiyjjeyBKYBU/comics/1


さらにさらに、小説版『無能の悪童王子は生き残りたい』の3巻も発売決定!

web版とはまた違う完全書き下ろしです!

どうぞお楽しみに!!!

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▼8/19に書籍第1巻が発売します! よろしくお願いします!▼

【余命一年の公爵子息は、旅をしたい】
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