表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
321/333

イベントボスに勝利しました。

『無能の悪童王子は生き残りたい』第2巻は絶賛発売中!

お見かけの際は、どうぞお手に取ってくださいませ!


あとがきもぜひご覧ください!!!

「ほらほらどうした! そんなものか!」

「うるさい!」


 試合開始から既に三十分が経過するも、デスピナの攻撃は未だに僕の身体に触れることができていない。

 それにしてもデスピナめ、すごいスタミナだな。この三十分の間休むことなく攻撃をし続けているぞ。


 僕? 僕は【千里眼(クレアボヤンス)】のおかげで最小限の動きで(かわ)し続けているから、疲労なんてないよ。


 だけど、このスキルはとんでもないな。

 単に動体視力が上がったというだけでなく、この闘技場全体を俯瞰(ふかん)して視ることができるし、特筆すべきは攻撃を予測……いや、これから起こり得る僅か数秒の未来(・・)を視られるのだから。


 そう……相手の攻撃が予め分かるんだ。(かわ)せない道理はない。


「デスピナ。言っておくが、このまま続けたところで結果は変わらない。今さら出し惜しみなんかするな」

「っ!?」


 僕の言葉に、デスピナが動きを止めた。

 ああ、知っているとも。お前には【ヘキサグラム・ライトニング】なんか足元にも及ばない、『エンゲージ・ハザード』最速のスキルを持っていることを。


「……手加減できなくなるから、使いたくなかったんだけどな」

「言うじゃないか。この状況で、まだ僕を心配する余裕があるなんて」

「当たり前だろ。あたしだって別に、好き好んで人殺しをしたいわけじゃない」


 彼女の言葉に嘘偽りはないんだろう。

 その証拠に、デスピナは今のままじゃ手の打ちようがないにもかかわらず、躊躇(ちゅうちょ)するような表情を見せている。


「対戦相手を気遣ってる余裕なんてないだろ。僕もお前も、ここではただの奴隷に過ぎないんだから」

「…………………………っ」


 そう告げると、デスピナは悔しそうに唇を噛む。

 そうだよ。奴隷が負けたら、明日はないんだ。


 だから、たとえ泥をすすってでも勝つしかない。

 それは十年もの間奴隷を続けているお前なら、嫌というほど分かっているだろ。


 大体イベントボスのくせに、対戦相手を気遣い過ぎなんだよ。

 もっと容赦なく攻撃しろ。


 ……だけどまあ、そういうのは嫌いじゃないけどな。


「分かった。後悔しても知らないからな」


 意を決し、デスピナは剣を口に(くわ)えると、四つん這いになって低く構える。

 その姿は、まさしく肉食獣そのものだった。


 僕と彼女との間に流れる異様な空気を感じ取ったんだろう。

 審判も、観客も、誰一人として声を発する者はなく、固唾を呑んで見守っている。


 ただ僕の勝利を信じて疑わない、サンドラを除いて。


「さあ……来い!」

「行くよ! 【超電磁砲(レールガン)】ッッッ!」


 雷属性の利点を最大限発揮した、デスピナ最速の必殺スキル【超電磁砲(レールガン)】。

 フィールド全体に地場を発生させ、亜音速を越える超絶スピードから放たれる一撃は、どんなものも貫く、まさに(いかづち)の槍。


 『エンゲージ・ハザード』では命中率一〇〇パーセント、バフ効果などによる防御無視の貫通能力、さらには雷属性による麻痺効果付与と、多くのプレイヤーを泣かせた最悪のスキル。


 それを今、僕は。


「そん、な……」


 いとも簡単に、(かわ)してみせた。


「分かっただろう? 今の僕に、お前の攻撃の全ては通用しない」


 最速のスキルである【超電磁砲(レールガン)】も、あの魔獣を仕留めた【ヘキサグラム・ライトニング】も、僕の【千里眼(クレアボヤンス)】にかかれば予備動作ありのテレフォン攻撃に過ぎない。

 そのことはデスピナも理解したようで、次の攻撃に移ることもなく、ただ膝をついて項垂(うなだ)れた。


 そんな中、闘いを見守っていたサンドラは真紅の瞳を爛々(らんらん)と輝かせている。

 これは後で絶対に手合わせをさせられそう。つらい。


「どうする? まだ続けるか?」


 この後も(かわ)し続ける自信はあるけど、万が一ってこともある。

 だからどうか、ここで終わりにしてください。お願いします。


 そして。


「……この勝負、あたしの負けだ」


 デスピナの小さな口から悔しそうに発せられた、敗北宣言。

 僕は空を見上げ、大きく息を吸うと。


「サンドラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!」


 誰よりも愛しい最推しの妻の名を叫んだ。


 その瞬間。


 ――キインッッッ!


 僕のSPを封じ続けていた首輪が、甲高い金属音を立てて斬り落とされた。

 誰がやったのかって? それはもちろん。


「ハル様! ハル様!」


 こうして嬉しそうに抱きしめてくれている、サンドラに決まってるじゃないか。

お読みいただき、ありがとうございました!

第2巻発売記念として、完結後の続きを今日から毎日更新していきます!


先月に第1巻が発売されたばかりの、

『無能の悪童王子は生き残りたい』第2巻が、GA文庫様から絶賛発売中!

書店様でお見かけの際は、どうぞお買い求めくださいませ!


また、第1巻をまだお買い上げでない読者様も、2冊合わせて一気読みのチャンスです!

こちらも一緒にご購入いただけますと、作者が泣いて喜びます!


2巻ではいよいよウィルフレッドとの直接対決!

キャスと手にする『称号』イベントやリゼットルートなども、大幅改稿して読み応え充分!

web版をお読みいただいた皆様もきっと楽しんでいただけると思います!


また、

・アニメイト様、メロンブックス様では特典SS

・メロンブックス様では有償特典としてYuzuki先生のB2タペストリー

・Amazon様では1巻・2巻連動SS

があります!


さらにさらに! 書籍帯裏には、web版では絶対に読めない特別SS後編のQRコードが!

『エンゲージ・ハザード』の本来のシナリオでは、サンドラがどんな末路をたどったのか、必見です!


しつこいようですが、『無能の悪童王子は生き残りたい』第2巻は絶賛発売中!

下のリンクからAmazon様のページに移動できます!


皆様の応援により、本作の続巻が決まります!!!

どうか……どうか、お買い上げくださいませ!!!


何卒よろしくお願いします!!! お願いします!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
▼8/19に書籍第1巻が発売します! よろしくお願いします!▼

【余命一年の公爵子息は、旅をしたい】
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ