イベントボスも奴隷でした。
『無能の悪童王子は生き残りたい』第2巻は、本日発売!
お見かけの際は、どうぞお手に取ってくださいませ!
あとがきもぜひご覧ください!!!
「よしっ!」
いよいよデスピナとの試合の日の朝。
僕は気合いを入れるため、両頬を叩いた。
彼女の試合を観て対策を練り、僕自身も昨日までの試合で技術を磨き上げた。
あとはもう、やるだけだ。
「ハルゥ、勝てそう?」
「どうだろ。少なくとも、僕が負けることだけはないけど」
攻撃がモブ以下であるハロルドだから、デスピナを倒すなんてことは絶対に無理だろう。
それでも、盾による防御術だけはこの世界の誰にも負けるつもりはない。
なら、僕が負ける要素なんてないんだよ。(強がり)
「よう、調子はどうだ」
いつものように朝食を持ってきたオブルが、笑顔で尋ねる。
今日はデスピナとの試合だから、きっと気を利かせていつもどおり振る舞っているのだろう。
このヒャッハーな男との付き合いも一か月半になるから、どんな性格なのか大体分かった。
こいつ、意外にもいい奴だ。今後は見た目だけで判断するのはやめるようにしよう。
「おかげさまで最高の気分だよ。今の僕なら、デスピナにかすらせることすらさせないね」
「言うじゃねえか。まあ、そうじゃねえとお前が死んじまうんだけどな」
「縁起でもないことを言うのはやめろ」
実際、雷属性のスキルを使われたらコロッセウムから支給された盾じゃ防げないんだ。かすらせた瞬間終わるのは、重々承知しているさ。
「それよりオブルは、どうしてここで働いてるんだ? 見た目からして、どちらかというと剣闘士として闘う側ではあるけど……」
「お前が言ったとおりだよ。俺は元々、ここで剣闘士をしていたんだ。ただ、試合中に目をやられちまってな。それからはここで働かせてもらってるんだよ」
そう言うと、オブルはニカッと笑った。
思ったとおりの経歴ではあるものの、ここの一職員としてずっと働き続けるつもりなのかな。
「そうだ。もし僕がここを出ることができたら、オブルを雇ってやるよ」
「俺を雇うだって? ぶわっははははは! 冗談も休み休み言え! そもそもお前がここから出るなんてことは、絶対に無理なんだからよ!」
本気にしないオブルが、腹を抱えて笑い転げる。
ちょっと腹立つが、ここでの僕の身分からすればそう考えるのも仕方ないか。
とはいえ。
「じゃあ聞くが、今日のデスピナ戦に勝利したら、さすがに解放されたりするんじゃないのか? きっと僕の報酬は破格だろうから」
きっと剣闘士の立場っていうのは、いわゆる古代ローマと同じだと考えている。
となると、僕は勝利を重ねることで報酬を得て、自分を買い戻すってことなんだろう。
それならここの看板選手であるデスピナに勝利すれば、全部ではないものの買い戻すのに必要なお金の何割かは稼げるんじゃないだろうか。
「ははははは……ハア、無理だな」
「どうして?」
「対戦相手が誰だろうと、お前はここから出られねえ。何せお前を連れてきた女から、『絶対にお前を解放するな』って条件で引き取ったんだからよ」
「ええー……」
そんな条件を付ける女もどうかと思うが、それを受け入れたここの運営者もどうなんだよ。
「どうせ僕は安値で買い取ったんだろ? なら、その女の約束なんて反故にしてもいいんじゃ……」
「駄目だ。契約した以上、破るわけにはいかねえ」
急に真剣な表情でそう告げるオブル。
ただの平の職員のくせに、こういうとことは無駄に律儀だな。
「なんだよ、ケチくさいな」
「そう言うな。……とはいえ、お前がデスピナに勝利したのなら、その時は上に掛け合って今より待遇をよくしてやるからよ」
「はいはい」
いずれにせよ、ここから出るにはこの首輪をなんとかして、自力で脱走するしかないな……って。
「そ、そういえば!」
「何だ?」
「今日の試合は、さすがにこの首輪を外してくれるんだよな? だってデスピナは、祝福を使ってるんだから」
試合を観た時もデスピナには首輪がなかったし、普通に【ペンタグラム・ライトニング】を使用した。なら僕も首輪を外さないと不公平だからな。
「悪いが外せねえな。それに……デスピナも、お前と同じ条件だ」
「それはつまり、今日の試合では祝福を使えないように、デスピナにも首輪をはめるってことか?」
「そうじゃねえ。そもそもあいつは、最初からその首輪と同じ効果を持つ腕輪をつけてるんだよ」
「っ!?」
じゃ、じゃあデスピナは、SPを抑えられているにもかかわらずスキルを使用したってことなのか!?
「そんなのあり……?」
「こればっかりは何とも言えねえ。いずれにせよ、条件は同じなんだ。お前が文句を言うのは筋違いってもんだろ」
「うぐう……」
でも、SPに関しては僕が『エンハザ』登場キャラの中で最も高い。というかカンストしているんだ。
それなのにSPを使えない僕と、僕よりもSPが低いデスピナが使えてるの、どういうことなんだよ。
だけど。
「ということは、彼女も僕と同じく奴隷の立場なのか?」
「そうだぜ。ここに来てかれこれ十年になるが、看板選手になった今も自分を買い戻すには全然足らねえ。この意味、分かるだろ?」
「…………………………」
オブルの言葉に、僕は押し黙った。
お読みいただき、ありがとうございました!
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