表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
315/333

イベントボスが勝利しました。

『無能の悪童王子は生き残りたい』第2巻は、いよいよ明日発売!

首都圏では、既に店頭に並んでいる書店様も!


お見かけの際は、どうぞお手に取ってくださいませ!

あとがきもぜひご覧ください!!!

「フン……言ってくれるッッッ!」

「っ!?」


 デスピナが鼻で笑ったかと思うと、次の瞬間には魔獣の肩へと駆け上がり、剣を甲冑の隙間に突き立てていた。


「ぐおおおおおお……っ。いてえ……いてえよお……っ」


 悲鳴を上げ、(たま)らずデスピナを振り払う魔獣。

 勢い余って、被っていた兜までも弾き飛ばしてしまった。


「「「「「っ!?」」」」」


 露わになった魔獣の素顔を見て、観客達は一斉に息を呑む。

 それもそのはず。現れたのは人間ではなく、魔獣だったのだから。


 もちろん最初から正体が魔獣だと分かっていた僕はそのことについては驚いていないが、それでも別の意味で(・・・・・)驚いたことは間違いない。


 何故なら。


「……あんな魔獣、『エンハザ』で一度も見たことがない」


 キャスもそうだが、この世界に転生して遭遇した魔獣は全て『エンゲージ・ハザード』に登場したものだった。

 だというのに、よりによって人間しかいないはずのこのコロッセウムで、どうして本編未登場の魔獣に遭遇するんだよ。テミスがこの場にいたら、絶対に問い(ただ)しているところだ。


「ぐおおおお……っ! おで、ぜったいにゆるさないどッッッ!」

「フン、知るか」


 怒りに任せて戦槌を振り回す魔獣。デスピナはそれを難なく(かわ)し……いや、違うな。彼女もまた、思った以上に余裕がないみたいだ。

 だけど、『エンハザ』でも最速を誇るイベントボスのデスピナを相手に、互角以上の闘いを繰り広げるあの魔獣……少なくともイベントボス以上の実力ということになる。


 そんな存在を、コロッセウムの人間はどこから連れてきたんだろうか。


「ごのおおおおおおおおおおおおおおッッッ!」


 魔獣は戦槌をまるでもぐら叩きのように何度も振り下ろした。

 それをデスピナは(かわ)す、(かわ)す、(かわ)す。


「あの魔獣、スタミナは無尽蔵か?」


 試合開始からそれこそ無駄撃ちを繰り返しているというのに、その動きに陰りが見えない。

 このまま長期戦となれば、先にデスピナのスタミナが奪われ、いずれ戦槌の餌食になるだろう……って。


「はは、それはないか」


 彼女は『エンゲージ・ハザード』のイベントボス。どれだけターン数が経過したとしても、一ターンあたりの攻撃回数に変化はなかった。

 つまり、彼女もまた無類のスタミナを誇るということにほかならない。


 ならきっと、先に根負けするのは魔獣のほうだ。


「このっ! このっ! おとなしくしろ!」

「あたしを止めたいなら、その自慢のハンマーを当ててごらんよ」

「なにおおおおおおおおおッッッ!」


 デスピナに(あお)られて怒り心頭の魔獣は、戦槌の遠心力を利用して独楽(こま)のように回転した。


「ぐふ、ぐふ、このままぐちゃぐちゃにしてやるど」


 高速回転する魔獣は、徐々にデスピナを闘技場の隅へと追い込んでいく。

 このままいけば、彼女は横っ腹を叩き潰されてしまうだろう。


 ただし。


「貴様の攻撃なんて、このあたしが受けるはずがないけどね」

「っ!?」


 デスピナは背後の壁に向かって跳躍すると、そのまま垂直に駆ける。

 まさかそんな脱出方法があるとは思わなかったのだろう。呆気に取られてしまった魔獣は、戦槌の回転を緩めてしまった。


 それが、敗北につながるとも知らずに。


「油断したね」

「あで!? あががががががががががッッッ!?」


 一気に跳躍したデスピナが回転の中央……魔獣へと飛び乗ると、両肩の甲冑の隙間に剣を差し込むと、魔獣は絶叫した。


「これで満足に振り回せないだろ?」

「あ……あが……」


 既に回転は止まり、魔獣はだらり、と両腕を下ろしている。

 おそらく、さっき肩に剣を突き刺された時に、腱を切られてしまったんだろう。


「その自慢の甲冑が守ってくれるといいな。そうじゃなきゃ貴様、細切れにされるだけだから」

「あ……あ、ああ……」


 にたあ、と口の端を吊り上げるデスピナと、恐怖で顔を引きつらせ、一歩ずつ後退る魔獣。

 もう、勝負は決した。


「じゃあ、頑張って耐えなよ。【ヘキサグラム・ライトニング】」


 彼女がそう告げた瞬間、光の筋が闘技場を駆け巡る。

 まるで、六芒星を描くように。


「ぎゃ!? あぎ!? ぐぼ!?」


 光の筋が……デスピナが通過するたびに、魔獣が悲鳴を上げる。

 ただ、光の筋のあまりの速さに、魔獣の悲鳴が彼女の攻撃に追いついておらず、遅れて聞こえてくるが。


 そう……あれこそがイベントボスであるデスピナの得意とする雷属性スキル、【ヘキサグラム・ライトニング】。

 画面に六芒星のエフェクトが現れると同時に、六回の全体攻撃を仕掛けるというもの。しかも高確率で麻痺の状態異常を付与するというおまけつきだ。


 『エンハザ』だとそんな演出や状態異常付与だけと言ってしまえばそれだけだが、ここはゲームの世界であってもゲームそのものじゃない。

 金属の甲冑を(まと)っているあの魔獣にとって、雷属性の攻撃を受けたら大ダメージ必至だ。


 その証拠に。


「ぐ……ぐ……が……」


 彼女の【ヘキサグラム・ライトニング】をまともに食らい、魔獣は斬り刻まれた箇所を含め、全身黒焦げの状態になっている。


 そして。


「そ、それまで! 勝者、デスピナ!」


 魔獣が文字通り身体を崩れさせて地面に沈むと、審判は勝ち名乗りを上げた。

お読みいただき、ありがとうございました!

第2巻発売記念として、完結後の続きを今日から毎日更新していきます!


先月に第1巻が発売されたばかりの、

『無能の悪童王子は生き残りたい』第2巻が、GA文庫様から明日発売!

既に一部の書店様では店頭に並んでおりますので、どうぞお買い求めくださいませ!


また、第1巻をまだお買い上げでない読者様も、2冊合わせて一気読みのチャンスです!

こちらも一緒にご購入いただけますと、作者が泣いて喜びます!


2巻ではいよいよウィルフレッドとの直接対決!

キャスと手にする『称号』イベントやリゼットルートなども、大幅改稿して読み応え充分!

web版をお読みいただいた皆様もきっと楽しんでいただけると思います!


また、

・アニメイト様、メロンブックス様では特典SS

・メロンブックス様では有償特典としてYuzuki先生のB2タペストリー

・Amazon様では1巻・2巻連動SS

があります!


さらにさらに! 書籍帯裏には、web版では絶対に読めない特別SS後編のQRコードが!

『エンゲージ・ハザード』の本来のシナリオでは、サンドラがどんな末路をたどったのか、必見です!


しつこいようですが、『無能の悪童王子は生き残りたい』第2巻は明日発売!

下のリンクからAmazon様のページに移動できます!


皆様の応援により、本作の続巻が決まります!!!

どうか……どうか、お買い上げくださいませ!!!


何卒よろしくお願いします!!! お願いします!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
▼8/19に書籍第1巻が発売します! よろしくお願いします!▼

【余命一年の公爵子息は、旅をしたい】
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ