イベントボス対魔獣の試合が始まりました。
『無能の悪童王子は生き残りたい』第2巻発売まで、あと3日!
あとがきもぜひご覧くださいませ!!!
「そこまで! 時間だ!」
「あああああ! チクショオオオオオオッッッ!」
デスピナとの試合を明後日に控え、僕は今日も対戦相手の攻撃をシャットアウトした。
防御のその先に至るためのあの感覚をつかんでから、少なくとも並の剣闘士相手ならほぼ一〇〇パーセントの確率でできるようになった。
後は、デスピナ相手に通用するかどうか、だけど……。
「なあオブル。デスピナとの試合に向けて、今日と明日の彼女の試合を見学することはできないか?」
牢屋に帰るなり、僕はそんなことを相談してみる。
実際に闘ってみないと本当に使えるかどうかは分からないが、それでもデスピナのことを知るのは無駄になったりはしないはずだ。
「んー……お前の言い分も分かるけどよ、こればっかりは俺だけの判断じゃ済まねえ。ちょっと上に掛け合ってみるわ」
「ああ、頼む」
オブルは手をひらひらとさせて牢屋を出て行く。
望んだ結果になればいいけど、こればかりは信じて待つしかない。
「ふああ……オブルが戻ってくるまで、一寝入りするかな」
「そうだね」
ごろん、と床に寝転がると、キャスが僕のお腹の上に乗った。
寝る時のキャスは、いつもこのポジションなのだ。
「それにしても……」
サンドラ達は、元気にしているだろうか。
きっと今頃、僕のことを血眼になって探しているとは思うけど、それでも、まさかロマニア帝国のコロッセウムに連れ去られたなんて思いもよらないだろうし、きっと心配しているよなあ……。
でも、それもデスピナに勝利し、この首輪を外す方法を見つけるまでだ。
こんなものさえなければ、僕とキャスならここから脱出することだって難しくない。
ただ、最初の難関であるデスピナ戦が問題なんだけど。
もちろん実力的にはサンドラのほうが何倍も上だし、僕なら多分防御できるとは思ってるんだけど、それでも確証は欲しい。
加えて、僕をここに連れてきた女の正体がつかめない以上、油断はできない。
とにかく、今できることをするだけだ。
それに……きっと僕は、デスピナ戦を終える頃にはもっと強くなっていると思うから。
天井を見つめそんなことを考えていると、いつの間にか僕は微睡みの中へ落ちて行った。
◇
「おい、起きろ」
「んう……」
誰だよ一体、人が気持ちよく寝ている時に……って。
「うおっ!?」
目の前に現れた、いかついヒャッハーなおっさんの顔。
見慣れたオブルの顔ではあるが、いきなりだとびびってしまうのも仕方がない。というかコイツに起こされるとか寝覚めが最悪なんだけど。
「せっかく起こしてやったってのに失礼な奴だな。それより、早く寝ぼけた頭をしゃきっとさせろ」
「へ……?」
「忘れたのか? お前がデスピナの試合を観たいって言ったんだろうが」
「あ」
そうだった。オブルに今日と明日の彼女の試合を観戦させてもらうよう頼んだんだった。
「上のほうは嫌がってたけどよ、頼み込んだら渋々許可してくれたぜ」
「ほ、本当か!」
「おうよ!」
オブルがいい笑顔でサムズアップする。
見た目はヒャッハーなくせに、いい仕事するじゃないか。
「つーわけで、もうすぐデスピナの試合が始まる。急ぎやがれ」
「あ、ああ!」
僕はキャスを懐に忍ばせ、オブルと一緒に観客席に向かった。
すると、闘技場にはデスピナと対戦相手が向き合っており、間もなく試合が始まろうとしていた。
でも……彼女の対戦相手、明らかに体格が違い過ぎないか? 何というかこう……人間じゃないような……。
「おいおい……さすがにあれはやべえんじゃねえか……?」
「おう……まさかあんなバケモノが、コロッセウムに現れるたあなあ……」
どうやらそう考えていたのは僕だけではないようで、観客達が口々に噂をしている。
とはいえ、デスピナ自身もイベントボスなので、仮に対戦相手が人間じゃなかったとしても、『エンハザ』上では能力値的には変わらない……のか?
「ハルゥ……どうして魔獣がこんなところにいるの?」
おっと、キャスが答え合わせをしてしまったぞ。
やはりあの剣闘士、人間じゃなかった。
「分からないが、仮にデスピナが敗北した場合、明後日の僕の対戦相手はあれになるんだろうな」
「え!? そ、それって大丈夫なの!?」
懐から顔を覗かせ、キャスが心配そうに尋ねる。
「大丈夫だ。たとえどっちが相手だろうと、僕は負けるつもりはないよ」
などと強がってはみたものの、正直不安で仕方がない。
いずれにせよ、この試合から少しでも僕にとって有利となる情報を手に入れないと。
そして。
「はじめ!」
デスピナと謎の魔獣による試合が開始された。
お読みいただき、ありがとうございました!
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