久しぶりに親友と再会しました。
『無能の悪童王子は生き残りたい』は絶賛発売中!
最初の一週間の売上で三巻以降が出せるかどうか決まります!
応援をどうぞよろしくお願いいたします。
あとがきもぜひご覧くださいませ!!!
「ルシオ。どうしてオマエがアジ・ダハーカを召喚できた。そもそも、あの珠は何だったんだ?」
「…………………………」
問い詰める僕から顔を逸らし、ルシオが無言を貫く。
というかこの展開、これまでのことを考えるとユリの奴がアイテムを渡したというのが定番なんだけど……はは、まさかね……って!?
「酷いなあ。私はそんなことしてないよ」
「っ!?」
突然周囲からみんなが消え、目の前に親友のユリ……ユリシーズ=ハーザクヌート=ストーンが眉根を寄せて現れた。
「やあ、久しぶりだな。というか、世界を旅してたんじゃなかったのか?」
「今もしてるよ。でも、ちょっとよくない感じがしたから、飛んできたんだ」
「よくない感じ?」
なんだろう、嫌な予感しかしない。
「君も薄々感じてるんじゃない? まるで私の真似でもするかのように、あのルシオって男にアイテムを渡しているみたいだし」
「…………………………」
既にこの世界……『エンゲージ・ハザード』の物語は破綻し、今は別の物語へと移行した。
でも、『エンゲージ・ハザード・セカンド』は、むしろこれから始まろうとしているんだ。
「……お前やテミスみたいな存在が、他にいても不思議じゃないってことか」
「そうだね。もちろん私も確証はないし、これから調べようと思っているけど」
そう言うと、ユリは肩を竦める。
テミスを倒すまでは思いきり引っ掻き回してくれたユリだが、味方になると頼もしいな。
「頼りにしているよ、ユリ」
「えへへ、当然。私は君のためなら、何だってしてあげるんだから」
「お、おう……」
その綺麗な顔を近づけ、はにかむユリ。
そっちの趣味は一切ないが、いつか間違いを起こしてしまうんじゃないかと気が気じゃない。
「おっと、それじゃ私はもう行くね」
「ああ……そ、その、いつこっちに帰ってくるんだ?」
「んー……まだ分からないな。でも、一年後には必ず帰るから」
「そうか」
ユリの言う一年後は、『エンハザセカンド』の本編が開始される時。
未知の連中と戦う上で、これほど頼もしい存在はいない。
「じゃあね。君に逢えて嬉しかった」
「ちょ!?」
いきなり抱きつかれ、僕は思わずしどろもどろになる。
こ、こいつ……まさか狙ってやってるんじゃないだろうな?
「い、言っておくけど、僕は女性にしか興味はないし、サンドラっていう妻がいるんだからな!」
「へえー……ひょっとしてこれ、脈ありってことなのかな?」
「なんでだよ!」
「アハハ! じゃあね!」
揶揄い気味に笑うユリの姿を最後に、僕はみんなのいる元の世界へと戻った。
◇
「……以上、ご報告となります」
全てを伝え終えると、モニカが恭しく一礼する。
内容はもちろん、今回の事件の顛末について。
まず、デハウバルズ王国の第三王子が狙われたことを重く受け止めた王国は、イスタニア王国に対し一連の出来事について詳細に記した書状とともに全軍を総動員して攻め入ると通達。
それに呼応し、カペティエ王国も軍を派遣することとなった。
寝耳に水の事態にイスタニア王国は情報収集を行うとともに、当面を凌ぐためにバルティアン聖王国に仲裁してもらおうとするが、軽くあしらわれるばかりか聖女クリスティアにも危害が及ぶところだったとして、逆にイスタニアは破門を言い渡されてしまう。
つまりイスタニアは、西方諸国で完全に立場を失うこととなったのだ。
イスタニアによる調査の結果、第三王子暗殺未遂はソル家当主ルシオ=プジョル=ソルの単独での犯行であること、また、アルバレス家令嬢フロレンシア=デ=ラ=アルバレスも加担していることを突き止める。
ソル家及びアルバレス家の者を召喚して追求するも、両家ともこのことを知らなかったようで、ただ平伏すばかり。
とはいえ、このままではイスタニアは大きな被害を受けることとなってしまう。
そこでイスタニアは使節団を派遣し、デハウバルズとの交渉に臨んだ。
その結果、今回の件はあくまでもルシオ及びフロレンシアの単独での犯行であることを強調した上で、迷惑料としてデハウバルズ、カペティエン、聖王国に対して多額の賠償金を支払うことを約束。
ルシオとフロレンシアの処遇についてもデハウバルズに一任することとし、ソル家とアルバレス家は取り潰しの上、一族郎党を全て処刑することを提示した。
デハウバルズ、カペティエン、聖王国はこの提案を了承。
とりあえず、この件については決着することとなった。
「それで、ソル家とアルバレス家は……?」
「約定どおり、全員の処刑が執り行われたそうです」
「そうか……」
一人の当主の暴走、そして幼馴染を救おうと間違った選択をしたヒロインの結果がこれか。
でも僕は、これをやり過ぎだとは思わないよ。甘い処分を下していたら、逆に恨みを買って僕の『大切なもの』が傷つけられるかもしれないのだから。
「ふう……じゃあ、行こうか」
「「はい」」
キャスを肩に乗せて立ち上がると、僕はサンドラとモニカを連れて王宮の地下へと向かった。
そこには。
「やあ」
「「…………………………」」
厳しい取り調べを受け、傷ついたルシオとフロレンシアがいた。
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