ラッキースケベは二度訪れました。
『無能の悪童王子は生き残りたい』の発売まで、あと二日!
首都圏では既に店頭に並んでいる書店様もあります!
詳しくは、あとがきをご覧くださいませ!!!
「はわわわわ……っ」
やあ、ハロルドだよ。
放課後になり、僕はフロレンシアを誘って王都の大通りに出かけたんだけど、早速やらかしてしまったみたいだ。
何をかって? 今のこの状況……彼女の巨大な胸に挟まれている僕の顔を見ればすぐに理解できるんじゃないかな。
つまり。
「うふふ……ハル様、さすがにそれははしたないのでは?」
「ええ、そんなに鼻の下を伸ばして、みっともないったらないわね」
僕達と一緒に来ているクリスティアとリゼが、これでもかというほど蔑んだ瞳を向けているんだけど。
だけど、僕にも言わせてほしい。これは不可抗力なのだと。
いや、だってさあ……まさか今日が大通りでイベントが催されているとは思ってもみなくて、とんでもない人混みなんだよ。
それで僕は押されまくった挙げ句、弾き飛ばされて地面に倒れたところにフロレンシアが覆いかぶさってきたんだから。
「さあ、フロレンシアさんも早くハル様からおどきください」
「はわ!?」
クリスティアに強引に引き上げられ、フロレンシアが驚きの声を上げる。いや、僕も驚いた。
まさか聖女なのに、いくら女の子とはいえ片手で簡単に持ち上げてしまうんだから。パワー聖女ここに爆誕……ってえ!?
「キャッ!?」
「ふがっ!?」
フロレンシアと入れ替わるように、今度はリゼが負けないほど大きな胸を僕の顔に押し付けてきたんだが。押し付けてきたんだが。
「ちょ、ちょっとハル! 動かないでくださいまし!」
「む、むぐ……っ」
そ、そんなことを言われても、このままだと窒息しそうなんだよ。
「……まさかリゼさんが、そんなあざとい真似をするとは思いませんでしたよ。ええ、それはもう」
「「っ!?」」
口の端を吊り上げ、仄暗い笑みを浮かべるクリスティア。
彼女の表情を見て、僕とリゼは息を呑んだ。
「ななな、何を言ってるのかしら? 私は後ろを押されてしまって、仕方なくこうなってしまっただけ……」
「嘘ですよね? 私、見ていましたから」
お互いの鼻が触れてしまいそうになるほど顔を寄せ、クリスティアが告げる。
その表情を見て、何故かサンドラが脳裏によぎった……って、ハッ!?
「「「…………………………」」」
僕は慌てて周囲を見回すと、やはりサンドラ達は物陰に隠れてこちらを凝視していた。
サンドラはその瞳を赤く染め、モニカやカルラもクリスティアに負けず劣らず冷たい視線を放っている。怖い。メッチャ怖い。
「ささ、さあ! いつまでもこうしてはいられない! 暗くなる前に、早く見て回ろう!」
「うふふ、そうですね。この私と一緒に見て回りましょう」
まるで当てつけるかのように、肩を寄せて来るクリスティア。
向こうからサンドラ達が見ていることをそっと伝えるも、聞く耳を持ってくれない。あれかな? 寮に帰ったら、僕に死ねってことかな? 呪いの数千倍怖い。
そう、思っていたのだけど。
「「「「っ!?」」」」
突然、僕達の足元が沼に変わる。
間違いない。これは邪属性スキル【ボトムレススワンプ】だ。
「クリスティアさん!」
「はい! 【アイギスの盾】!」
クリスティアが唱えた瞬間、頭上に大きな光の盾が浮かび上がり、足元の沼が掻き消えた。
これこそ彼女だけが持つスキル、【アイギスの盾】。物理と魔法のダメージを軽減し、全ての状態異常を無効化する。しかも、その効果は戦闘終了まで永続だ。
だけど思ったとおり、この【ボトムレススワンプ】は状態異常系のスキルだったな。そのことは、前回沼に沈められた時に分かった。
「さて……今回はフロレンシアを狙ったというより、ターゲットは僕達だよね。つまり」
「フフ、この近くに術者がいるってことですわね」
フロレンシアを除き、僕達三人は口の端を持ち上げる。
イベントボスであるルシオと直接対峙する舞台……テミスの話から、ルシオが王立学院の生徒でないことは分かっている。
なら、こちらがその舞台を用意してやれば、きっと手を出してくると思っていたよ。
そのために、僕達四人で大通りへやって来たのだから。
「さあ、いい加減姿を見せたらどうなんだ? しかもデハウバルズ王国の王都で、第三王子である僕にこんな真似をしでかしたんだ。最悪イスタニアと戦になることも覚悟しておくんだな」
誰かに向けるでもなく、僕はそんなことを言い放つ。
王子の僕に手を出し、しかも王都のど真ん中でやらかしたんだから、『イスタニア王国に敵意あり』として、追い込むに決まってるだろ。
ただ、まさかそんなことを言い出すとは思っていなかったフロレンシアは、顔を真っ青にしている。
アルバレス家とソル家のいざこざが、国際問題に発展してしまったのだから。
フロレンシアはさておき、こうなるとソル家にできることは二つ。
今回の件を素直にイスタニア王に報告することで、当主のみの責任に留める……つまりルシオの首だけで済むように腐心するか、あるいはこの場で全員を始末して全てなかったことにするか。
まあ、後者は普通に考えたらそんな上手くいくわけがないんだけど、それでも手を出してきたんだからルシオが焦っていることは間違いない。
ただ、こんな大勢の人がいる街中で手を出してしまうほど、一体何に焦っているのかは分からないが。
すると。
「へえ……」
人混みの中から、ローブを身に纏った怪しい連中が次々と僕達の前に姿を現した。
お読みいただき、ありがとうございました!
書籍発売記念として、完結後の続きをこれから毎日投稿しますので、どうぞお楽しみに!
『無能の悪童王子は生き残りたい』の書籍は、GA文庫様から7月14日(日)に発売です!
首都圏では既に店頭に並んでいる書店様もあります!
ハロルドのキャラ設定などを含め、かなり改稿していますので、web版をお読みいただいた皆様もきっと楽しんでいただけると思います!
また、
・アニメイト様、ゲーマーズ様、メロンブックス様、BOOK★WALKER様では特典SS
・メロンブックス様では有償特典としてYuzuki先生描き下ろしB2タペストリー
・ゲーマーズ様では有償特典としてアクリルチャーム
・Amazon様では1巻・2巻連動SS
があります!
さらにさらに! 書籍帯裏には、web版では絶対に読めない特別SSのQRコードが!
『エンゲージ・ハザード』の本来のシナリオでは、サンドラがどんな末路をたどったのか、必見です!
しつこいようですが、『無能の悪童王子は生き残りたい』第1巻は7月14日発売!
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どうか……どうか、お買い上げくださいませ!!!
何卒よろしくお願いしまああああああす!!!!!




