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僕は『大切なもの』達を、誰よりも頼りにしておりました。

『無能の悪童王子は生き残りたい』の発売まで、あと三日!

詳しくは、あとがきをご覧くださいませ!!!

「こういうことなら、別に私達が一緒でなくてもよかったんじゃなくて?」


 フロレンシアと別れ、学院の中庭のテラスにやって来ると、リゼがそんなことを尋ねてきた。


「いや、君達が一緒であることは大事だよ。これで連中は、明確に僕達のことを認識しただろうから」

「というと?」

「フロレンシアの説明を踏まえると、呪術は遠隔地から攻撃をすることが可能。だけど、そのためには身体の一部を入手しなければいけない」

「え、ええ、そうね」

「じゃあ僕達を攻撃するためには、髪の毛や爪を入手するために近づいてくるはずなんだ。ルシオの手の者が」


 『エンハザセカンド』のフロレンシアルートに突入してしまっている以上、ルシオは既に王国内に潜伏していると考えて間違いないだろう。

 そうじゃないと、シナリオが進まないし。


 そして彼女が呪いによって襲われた現場にいた僕、さらにはその後、こうやって接触してみせた上に護衛としてライラをつけた。

 これで僕達が敵だと間違いなく認識したはずだから。


「僕はともかく、クリスティアさんは聖属性魔法の使い手。呪いに最も対抗できるのは君だ。火属性と闇属性の両方を使えるリズにも、たしか浄化系の魔法があったよね?」

「あら、よく知ってるわね……」


 僕は『エンハザ』のヘビーユーザーなんだ。もちろん知っているとも。

 リゼには石化を除く全てのデバフを解除できる、【四諦(したい)】というスキルがある。

 かなりのSPを消費するけれども、パーティー全員に効果を発揮する優れたものだ。


 クリスティアに関してはもはや説明不要。むしろ彼女に解除できないデバフなんて、この『エンハザ』の世界には存在しない。


「……本当に、こんなことに巻き込んでごめん」

「うふふ、謝ったりしないでください。私達はハロルドさんに助けられて、今こうしているんですよ?」

「そうですわ。それに私達は、一緒にあのテミスを倒した仲でしょ」

「二人共……」


 僕のせいで余計な面倒事に巻き込まれ、命の危険だってるというのに、クリスティアもリゼも、なんでもないとばかりに手を貸してくれる。

 この借りは、いつかきっと返さないとね。


「ところで……私達はいいけど、あれはどうするのかしら?」

「へ……?」


 そう尋ねるリゼの視線の先を見ると…………………………あ。


 瞳を血塗られた赤に染めるサンドラと、これでもかと不機嫌に眉根を寄せるモニカが、校舎の陰から恨めしそうにこちらを睨んでいた。


 ◇


「そ、その、そういうことでして……」


 クリスティアとリゼと別れた後、速攻でサンドラとモニカに拉致られた僕。

 今はサンドラの部屋で、二人に冷たい視線を向けられながら正座しております。


 今回は二人にとって分が悪いこと、ルシオに敵であると認識されないようにあえて距離を置いたことを説明したものの、全く、これっぽっちも納得してはくれなかったよ。


「『呪術師』だかなんだか知りませんが、私に呪いをかける前に瞬殺してみせますが」

「そもそも、私の身体の一部が奪われることなんてあり得ませんし、髪の毛一本残さず掃除してみせますが」

「そ、そうですよねー……」


 これ以上責められたくない僕は、壊れた人形のように相槌を打つ。

 今はただ、この状況を乗り切ることだけを考えるんだ、僕。


「プークスクス。妻だ専属侍女だと言っていますが、所詮はマスターの唯一無二の道具(・・)である私にも及ばないということですね」

「いい度胸です。今すぐ表に出なさい」

「このモニカ、粗大ごみの処分には慣れております」

「ちょ!?」


 僕は慌てて二人とライラの間に割って入る。

 よりにもよってライラの奴、二人を煽るなんて……お願いだからやめてくれ。


「ぼ、僕がライラに頼んだのは、まさしく彼女が道具扱いであり、呪いの対象にはならないと思ったから。クリスティアやリゼにしても、呪いをかけられてもそれを解除できる手段がある。でも」

「……分かっております」

「姿さえ分かれば私達が後れを取ることは絶対にありませんが、私達の刃をそのルシオという者に届かせることができません」


 そう言うと、サンドラとモニカが悔しそうに唇を噛む。

 でも。


「「あ……」」

「それでも、ルシオとの戦いに終止符を打つ役割は、君達だと思っている。だから……力を貸してほしい」


 二人の手を取り、僕は訴える

 そうだ。あくまでもルシオからの予期しない攻撃を防ぐためにこんなやり方を取っているけど、直接対峙した時に勝負を決めるのは、サンドラとモニカしかいない。


「もちろんです。いついかなる時でも、私はハル様とともに」

「このモニカ=アシュトン、常に我が主とともに」


 二人の瞳からわだかまりが消え、受け入れてくれた。

 ふう、よかった……って。


「ハルゥ……ボクは?」

「もちろん頼りにしてるぞ、相棒」


 不安そうに見つめるキャスを抱きかかえ、僕は笑顔で答えた。

お読みいただき、ありがとうございました!

書籍発売記念として、完結後の続きをこれから毎日投稿しますので、どうぞお楽しみに!


『無能の悪童王子は生き残りたい』の書籍は、GA文庫様から7月14日(日)に発売です!

書店様によっては、早ければ金曜日の夜には並ぶ場合も!


ハロルドのキャラ設定などを含め、かなり改稿していますので、web版をお読みいただいた皆様もきっと楽しんでいただけると思います!


また、

・アニメイト様、ゲーマーズ様、メロンブックス様、BOOK★WALKER様では特典SS

・メロンブックス様では有償特典としてYuzuki先生描き下ろしB2タペストリー

・ゲーマーズ様では有償特典としてアクリルチャーム

・Amazon様では1巻・2巻連動SS

があります!


さらにさらに! 書籍帯裏には、web版では絶対に読めない特別SSのQRコードが!

『エンゲージ・ハザード』の本来のシナリオでは、サンドラがどんな末路をたどったのか、必見です!


しつこいようですが、『無能の悪童王子は生き残りたい』第1巻は7月14日発売!

下のリンクからAmazon様のページに移動できます!


どうか……どうか、お買い上げくださいませ!!!

何卒よろしくお願いしまああああああす!!!!!

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▼8/19に書籍第1巻が発売します! よろしくお願いします!▼

【余命一年の公爵子息は、旅をしたい】
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