うちのアイテムと新ヒロインの相性はよろしくないようでした。
『無能の悪童王子は生き残りたい』の第1巻が7月14日に発売です!!
詳しくは、あとがきをご覧くださいませ!!!
「うふふ、ハロルドさんに頼っていただけるなんて、嬉しいですね」
「フフ、仕方ないから手伝ってあげるわ」
僕の頼もしい『大切なもの』の二人……『聖女』クリスティアと『悪女』リゼにも協力してもらうことにしたよ。
それに邪属性と対極にある聖属性魔法の使い手であるクリスティアは、ルシオとの相性は抜群。火属性と闇属性の両方が使えるリゼも、きっと活躍してくれることだろう。
「それにしても、邪属性ですか……その存在は知っておりましたが、まさか王立学院にその使い手がいるとは思いもよりませんでした」
そう言うと、クリスティアの目が鋭くなる。
ひょっとして、邪属性について思うところがあるのだろうか……。
「まあいいじゃない。それで、そのフロレンシアだったかしら? 彼女を呪い殺そうとしている愚か者を焼き殺せばいいのよね?」
リゼは『悪女』らしく、ニタア、と口の端を吊り上げる。
思うに『エンハザ』のヒロイン達は、こういうことに躊躇がないな。
「いやいや、フロレンシアさんを狙った者は生かしたまま捕らえて、イスタニア王国に突き出さないと」
テミス曰く、フロレンシアルートのクリアはイベントボスを倒しイスタニア王国に連行することで、ソル家そのものが取り潰されて以後フロレンシアが狙われなくなるとのこと。
逆に言えば、このとおりに事を運ばなければ、再びフロレンシアが狙われる可能性があるってことだ。
「そういうわけだから、瀕死程度に留めて正式にイスタニア王国に突き出すとしよう」
「分かりました」
「そういうことなら仕方ないわね」
クリスティアもリゼも、僕の言葉に頷いてくれた。
本当に分かっているのか不安ではあるものの、とりあえず二人を信じることにしよう。
「それじゃ、護衛対象であるフロレンシアさんのところに行こうか」
「はい。……ですが、サンドラさんやモニカさんがご一緒でなくてよろしいんですか?」
クリスティアが僕の顔を覗き込み、おずおずと尋ねる。
いいか悪いかで言えば悪いに決まっているけど、今回に限っては二人を連れて行くわけにはいかない。
何せ敵の攻撃は、サンドラやモニカの喉笛に届き得るのだから。
「……今回ばかりは、僕の盾じゃ防げないんだ。対抗できるのは、君達をおいて他にいない」
「責任、重大ね……」
僕の手を取り、リゼがぽつり、と呟く。
本当は二人も危険な目に遭わせたくないし、できれば頼まずに済ませたかった。
『大切なもの』を守るために手に入れた力なのに、何の役にも立てないのが歯がゆいな……って。
「クリスティアさん? リゼ?」
「そのような顔をなさらないでください。ハロルドさんは、いつだって私達を守ってくれていますよ?」
「フフ、そうね。私達は、あなたに救われてここにいるってことを、忘れないでちょうだい」
クリスティアとリゼが、そう言って苦笑する。
どうやら慰めてくれているみたいなので、甘んじて受けるとしよう。
「そうだね。でも、呪い以外の攻撃なら、今までどおり僕が全て守ってみせるから」
「はい」
「期待しているわ」
そうして僕達は、フロレンシアのいる教室へと向かった。
◇
「はわわわわわわわわわわわわわわわわわわわ!?」
「逃がしません」
……どうしてフロレンシアとライラは鬼ごっこをしているのだろうか。
いや、彼女が狙われても対処できるようにと、ライラには僕達が到着するまで護衛しておくようにと頼んだんだよ?
だというのに、これじゃフロレンシアを狙っているのはライラじゃないか。
「ライラ」
「マスター、お待ちしておりました」
声をかけるなり、フロレンシアなんて眼中にないとばかりに追いかけっこをやめて僕の前へやって来ると、恭しくカーテシーをした。
「それで、何をしているんだ?」
「あのダークエルフにマスターの偉大さを語ろうとしたのですが、何故か逃げ出しましたので追いかけておりました」
「そ、そう……」
ライラのことだから、きっと強制的に話を聞かせようとしたに違いない。それこそ物理に訴えることも辞さないほどに。
彼女も僕のことを主人として慕ってくれるのはいいけど、相変わらずネジが一本……いや、三本ほどぶっ飛んでいるなあ。
一方のフロレンシアといえば、相変わらずキョドっているし。こういうところ、前世で陰キャボッチだった僕と通じるところがある。
いきなりこんなグイグイ来る女の子が絡んできたら、恐怖で仕方ないだろうし。
何より。
「……その様子だと、肝心なことはまだ伝えていないみたいだね」
「申し訳ありません」
平身低頭で謝罪するライラに、僕は思わずこめかみを押さえた。
「まあまあ。それより、彼女を紹介してください」
「そ、そうだったね」
ということで、とにかくフロレンシアを落ち着かせて三人を紹介し、今の置かれている現状について説明すると。
「はわ……ソル家がそんなことをなのですか……」
「うん。だからこの問題が解決するまで、ライラに君の護衛を務めてもらうよ」
そう告げた瞬間、心底嫌そうな顔をするフロレンシア。だけど、身の安全を確保するためにも、強制的に従ってもらう。
「すぐにケリをつけたいから、フロレンシアさんも協力してほしい。特にルシオ=プジョル=ソルについて知っていることを全部教えてほしいんだ」
「わ、分かりましたです」
そうしてフロレンシアは、ルシオというイベントボスについて話してくれた。
お読みいただき、ありがとうございました!
書籍発売記念として、完結後の続きをこれから毎日投稿しますので、どうぞお楽しみに!
『無能の悪童王子は生き残りたい』の書籍は、GA文庫様から7月14日(日)に発売です!
書店様によっては、それより早く並ぶ場合も!
ハロルドのキャラ設定などを含め、かなり改稿していますので、web版をお読みいただいた皆様もきっと楽しんでいただけると思います!
また、
・アニメイト様、ゲーマーズ様、メロンブックス様、BOOK★WALKER様では特典SS
・メロンブックス様では有償特典としてYuzuki先生描き下ろしB2タペストリー
・ゲーマーズ様では有償特典としてアクリルチャーム
・Amazon様では1巻・2巻連動SS
があります!
さらにさらに! 書籍帯裏には、web版では絶対に読めない特別SSのQRコードが!
『エンゲージ・ハザード』の本来のシナリオでは、サンドラがどんな末路をたどったのか、必見です!
しつこいようですが、『無能の悪童王子は生き残りたい』第1巻は7月14日発売!
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どうか……どうか、お買い上げくださいませ!!!
何卒よろしくお願いしまああああああす!!!!!




