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妻が新ヒロイン(の胸)に嫉妬しました。

『無能の悪童王子は生き残りたい』の第1巻が7月14日に発売です!!

詳しくは、あとがきをご覧くださいませ!!!


また、新作短編『スカーレット・ドレス』を投稿しました!

こちらもよろしくお願いします!!!

「は……は……はわわわわわわわわわわ!?」


 クッションだと思っていたものは、フロレンシアのお胸様だったよ。

 ああ、なるほど。確かにこれだけ大きな胸だったら、『無能の悪童王子』よろしく貧弱な僕を受け止めるくらい、余裕だよな……って、そんなわけあるかあああああああ!


「すす、すまない! 決して悪気はないんだ! 本当だ!」


 フロレンシアから一気に飛び退くと、それはもう綺麗な土下座を敢行する僕。

 テミスもよく土下座をするけど、僕ほど土下座が似合う男は他にいないと自負している。何せこの土下座は、フロレンシアとサンドラ二人へのものだからね。


 だが。


「っ!?」

「はわわわわわわわわわわ……っ! 酷いのです! 酷いのです!」


 地面が突然沼に変わり、土下座スタイルの僕を飲み込んでいく。

 こ、これは……フロレンシアのスキル!?


「乙女のおっぱいに触れたのです! 汚物は消毒なのです!」

「ちょっ!?」


 さらには紫色の炎を右手に纏わせ、ゆっくりと近づいてくるフロレンシア。

 リゼの【獄炎】に近いような気がするけど……はは、まさか僕を燃やすつもりじゃないよね? お願いだから違うと言ってくれ。


「瘴気の炎に焼かれるといいです! 【毒焔】!」

「ぬああああああああああああッッッ!?」


 紫の炎が僕の身体目がけて放たれ、それを避けるために沼の中に潜る。


 だが。


「がは!? ごぼごぼ……っ」


 こ、この沼、浮き上がれない……っ。


「無駄なのです! 【ボトムレススワンプ】に沈んでしまったら、二度と浮き上がることはできないのです!」


 なんだよそのスキル!? 怖いんだけど!?

 そう叫びたいところだけど、既に頭の先まで沼の中に沈んでいるため、声にならない。


 ま、まさか『エンハザ』の破滅フラグを全て回避したと思っていた僕に、こんなトラップが仕掛けられていたなんて……。

 ああ……やっぱりハロルドは、噛ませ犬としてこんな訳の分からない死に方をするのか……っ!?


 ――ザパアッ!


「ハル様! しっかりしてください!」

「あ……サ、サンドラ……」


 沼に沈んでいた僕を強引に引き上げ、助けてくれたサンドラ。

 どうやらこの沼も、【竜の寵愛】の能力には敵わないみたいだ。


 その証拠に。


「う、嘘なのです……うちの【ボトムレススワンプ】は、脱出不可能のはずなのです。なのに強引に引き上げるなんて、おかしいのです……」

「あなた……私のハル様にこのような真似をして、ただで済むと思わないことですね」

「ひいっ!?」


 血塗られた赤の瞳に相反するような絶対零度の視線と強烈な殺気を向けられ、フロレンシアは悲鳴を上げ慄く。

 視線をフロレンシアから外すことなく僕を抱えて沼から脱出すると、サンドラは『バルムンク』を抜いた。


「さあ……絶望なさい。その駄肉ともども、この墓地の堆肥にして差し上げるわ」

「あ……あああ……っ」


 フロレンシアは尻もちをつき、身体を震わせて後退る。

 やっぱり僕の奥さん、最強過ぎる。


「サ、サンドラ、さすがに人殺しをしたら駄目だよ」

「先にハル様を亡き者にしようとしたのはこの女です。情けは無用かと」

「それでもだよ。それに、悪いのは僕だから」


 一歩、また一歩とフロレンシアに近づくサンドラに抱き着き、必死に止める僕。

 彼女にひきずられる様は、(はた)から見たら滑稽だろうなあ。


「……ハル様に感謝するのですね」

「あ……あああああ……っ」


 ようやく剣を納めてくれたサンドラだけど、時すでに遅し。

 フロレンシアは恐怖のあまり、股から黄金の水を排出してしまっていた。


 ◇


「「誠に申し訳ございませんでした」」


 僕、そしてようやく落ち着きを取り戻したフロレンシアは、何故かお互いに見合ったまま土下座をしていた。ふむ……彼女の土下座もなかなか……。


「まま、まさかあの(・・)ハロルド殿下だとは知らず、大変失礼しましたです……」

「い、いや、こちらこそ。その……胸を触ってしまって申し訳ない……」


 彼女の言う『あの』とはどのことを言っているのかは知らないが、きっとよからぬ噂だったりするんだろうな。

 クーデターの立役者となり、このデハウバルズ王国を立て直したことで『無能の悪童王子』と呼ばれなくなった僕だけど、学院の生徒達の間ではこれまでのこともあって未だに腫れ物扱いをされているし。


「とにかく、頭を上げてもらえますですか?」

「いやいや、そちらから先に……」

「いやいやいや、ハロルド殿下が……」

「いやいやいやいや、フロレンシアさんから……」

「二人共、いつまで続けるおつもりなのですか?」


 そんな僕達の様子を見かねたサンドラが、ジト目で睨む。

 ただ、サンドラからは個人的な恨みのようなものが垣間見える。そんなに巨乳が憎いのか。


「と、ところで、フロレンシアさんはどうして墓地なんかに? それに、その耳と肌の色は……」

「はわ!? そ、そうでした!」


 このいたたまれない空気を変えるためにそんなことを尋ねると、フロレンシアは真っ青になった。

 元々その黒い肌や耳を隠していた彼女だから、僕達に正体を見られたことで絶望しているのかもしれない。


「おおお、お願いしますです! どうかこのことは内緒にしてほしいのです!」

「わわっ!?」


 いきなり僕の胸に飛びつき、涙目で懇願するフロレンシア。

 角度的に、彼女の胸の谷間が僕の視界に飛び込んできて色々と大変なことになりそうだ。主に下半身が。


「……分かりました。これ以上心配しなくても済むように、あなたの存在を消して差し上げますよ」

「ヒイイイイイイイイ!?」


 おもむろに『バルムンク』を抜くサンドラに、フロレンシアはまたもや絶叫した。

お読みいただき、ありがとうございました!

書籍発売記念として、完結後の続きをこれから毎日投稿しますので、どうぞお楽しみに!


『無能の悪童王子は生き残りたい』の書籍は、GA文庫様から7月14日(日)に発売です!

書店様によっては、それより早く並ぶ場合も!


ハロルドのキャラ設定などを含め、かなり改稿していますので、web版をお読みいただいた皆様もきっと楽しんでいただけると思います!


また、

・アニメイト様、ゲーマーズ様、メロンブックス様、BOOK★WALKER様では特典SS

・メロンブックス様では有償特典としてYuzuki先生描き下ろしB2タペストリー

・ゲーマーズ様では有償特典としてアクリルチャーム

・Amazon様では1巻・2巻連動SS

があります!


さらにさらに! 書籍帯裏には、web版では絶対に読めない特別SSのQRコードが!

『エンゲージ・ハザード』の本来のシナリオでは、サンドラがどんな末路をたどったのか、必見です!


しつこいようですが、『無能の悪童王子は生き残りたい』第1巻は7月14日発売!

下のリンクからAmazon様のページに移動できます!


どうか……どうか、お買い上げくださいませ!!!

何卒よろしくお願いしまああああああす!!!!!

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▼8/19に書籍第1巻が発売します! よろしくお願いします!▼

【余命一年の公爵子息は、旅をしたい】
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