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カジノのお誘は怪しさでいっぱいでした。

「うん……うん! バッチリだ!」

「マスターのお役に立てて、何よりです」


 例の魔道具を受け取って満足げに頷く僕を見て、表情は一切変えないものの、ライラはどこか嬉しそう……なような気がする。

 さすがに魔導人形は微妙な変化すら一切ないので、全く読めない。


「ではマスター。これであのゴミは用済みだと思いますが、どうなさいますか?」

「そうだね……」


 当初の予定どおり、絶望を味わわせてから処刑してもいいけど、念のためもう一つくらいこの魔道具のスペアを作らせてもいいかも。

 万が一に備えておくのに、やり過ぎってことはないからね。


「とりあえずは現状維持ってことにしておこう。ライラには悪いけど、引き続きマクラーレンの監視をよろしくね」

「お任せください」


 うんうん、ちゃんと僕の指示を忠実に聞き入れてくれて何よりだよ。

 マクラーレンがライラの主人だった時のように、暴走されたら(たま)ったものじゃないからね……って。


「あら……ガラクタがここに何の用ですか?」

「……敵戦力を確認。排除します」

「だから顔を合わせるたびに喧嘩をするのはやめてくれる!?」


 ハア……相変わらずこの二人、仲が悪いなあ……。

 そして、そんな二人の様子を面白がって眺めているモニカもどうかと思うよ。


「ハロルド殿下、ご安心ください。ライラの教育は、このモニカめがしっかりといたしますので」

「僕は不安を禁じ得ないよ」


 きっとモニカのことだから、ライラに余計なことを教えるに違いない。

 そうすると、どうなると思う? 僕が迷惑を(こうむ)るんだよ。


「ところで、サンドラはこんな時間に部屋を訪ねてきてどうしたの?」

「……妻である私が、夫の部屋を訪ねてはいけませんか?」


 おっと、サンドラにジト目で睨まれてしまったよ。


「いや、もちろん大歓迎だよ」

「よくお分かりですね。マスターはあなたがいるとゆっくり休めないそうです」

「ガラクタには聞いていませんが」

「だから喧嘩はやめてって言ったよね!?」


 ちょっと気を抜くと一触即発の状態になるから、僕はいつ爆発するか分からない爆弾を目の前にしている気分だよ。


「お嬢様とライラはさておき、ハロルド殿下にお手紙が届いております」

「僕に?」


 はて? 僕なんかに手紙を出す人なんていただろうか。

 僕はモニカから手紙を受け取り、封を開けてみると。


「ええー……」


 中に入っていたのは、王都カディットにできたばかりという、カジノの招待状だった。

 実は『エンハザ』においてもカジノは存在しており、スロットゲームでコインを稼げるのだ。


 ちなみにコイン三百枚で一回分のガチャが、三千枚で十連ガチャができる。


 なので無課金勢はカジノで必死にコインを集めようとするんだけど、残念ながらそんなに甘くない。

 ほとんどのユーザーは、稼ぐどころかコインをすっからかんにしていたよ。


 それもそのはず。大当たりの確率は〇.〇〇〇〇一と、とんでもなく低い設定になっているのだから。


 そのことに気づいたユーザーは『詐欺だ』と騒いで『エンハザ』から離れ、不人気でサービス終了となる遠因となった。というかこのゲーム、そんなトラブルばっかりだな。


「なるほど……カジノですか」

「ひょっとして、サンドラはカジノに興味があるんですか?」

「いえ。ただ、そういった夜の社交場に夫婦で参加するのも素敵かと思いまして」


 なるほど。つまりサンドラは、カジノデートがしたいと。

 僕が顔色を(うかが)うと、我が意を射たりとばかりにサファイアの瞳を輝かせている。


「……じゃあ、せっかく招待されたわけだし、行ってみようか」

「! は、はい!」

「カジノとなれば護衛なども必要となりますので、私がご一緒しないわけにはいきませんね」


 ああ、ハイハイ。モニカも行きたいんだね。


「マスター。私の持つ情報によると、カジノという場所は不正が横行しているとのこと。私であればその不正……(ただ)すことができます」


 まさかライラまで行きたがるとは思いもよらなかった。

 でも、不正を(ただ)すなんて言ってるけど、僕のために一番不正をしそうなんだけど。


「ねえねえハル、ボクはもちろん一緒だよね?」

「うんうん。当たり前じゃないか」


 キラキラと瞳を輝かせて興味津々のキャスに、僕は思わず頬を緩める。

 僕の相棒、やっぱりメッチャ可愛い。


「それじゃ、この際だからみんなで行こうか」

「はい」

「かしこまりました」

「やったー!」


 二人と一匹が大喜びをする中。


「……私とハル様のデートが……」


 ……ごめんねサンドラ。

 今度きっと穴埋めをするから。


 ということで、僕は(・・)乗り気じゃ(・・・・・)ないけれど(・・・・・)、みんなでカジノに行くことになったよ。


 とはいえ。


「さて……今度は、どんな思惑(・・)があるのかな」


 窓の外を眺め、僕はポツリ、と呟いた。

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