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いざ魔塔へと向かいました。

「うおお……さすがはハロルド兄貴(・・)、全員で来てくれるなんて思いもよらなかったぜ……!」


 魔塔へと出発する王都の朝。

 王宮に集合した僕達を見て、オーウェンが感嘆(かんたん)の声を上げた。


 というか、いつから僕はオマエの兄貴(・・)になったんだよ……って、そういえば僕はアイツの兄だったよ。


 それにしても。


「…………………………」


 僕達を見ても、表情一つ変えずにオーウェンの後ろに(たたず)むマリオン。

 その手には、『戦斧スカイドライヴ』も携えている。


 どうやらオーウェンが言っていたとおり、本当にアイツの専属侍女になったみたいだ。


「オーウェン」

「何だい兄貴」

「……前に忠告したとおり、マリオンへの警戒を(おこた)っていないだろうな」


 オーウェンの奴を手招きし、そんなことを耳打ちした。

 もし僕がユリやエイバル王なら、きっと『エンハザ』の主人公として噛ませ犬の僕と競わせるようなことをするはずだからね。


「大丈夫っす。マリオンに兄貴達にも同行してもらうことを伝えても、特に反応もなかったっすからね」


 ちょっと今までとは違うオーウェンの態度に違和感を覚えつつも、とりあえずはあまりマリオンとコミュニケーションが取れていないようで何よりだ。

 そういえば、リリアナともまともに会話もできないせいで、ほぼストーカーまがいのことをしてたな。


 これなら普段からマリオンと会話する機会も少なそうだし、そう簡単に騙されない……いやいや、逆に女性に対して免疫がなさそうなオーウェンだ。色仕掛けで簡単に籠絡(ろうらく)されるという未来がないわけでもない。


 いずれにせよ、引き続き目を光らせつつ、オーウェンには事あるごとに注意を促したほうがよさそうだ。


「それじゃ行くぜ! 目指すはマニン島にある魔塔だ!」


 威勢よくかけ声をかけるオーウェンだけど、僕達はおろか専属侍女のマリオンすらそれに応えようとしない。

 これ、一人だけノリノリなのに周囲のテンションとかけ離れ過ぎて、言った本人がメッチャつらいパターンだ。


 おかげで見てよ。オーウェンの奴、涙目になってるよ。


「お、おー!」


 仕方なく僕は、今さらだとは思うけど合いの手を入れてあげたよ。

 するとどうだい。オーウェンはまるで少年のように灰色の瞳をキラキラとさせているじゃないか。なんて不憫な主人公なんだ。


 そうして僕達を乗せた馬車は、一路マニン島へと出立した。


 ◇


「それで……ハル様がオーウェン殿下に協力した、真の目的(・・・・)は何ですか?」


 マニン島へと向かう馬車の中、サンドラが尋ねる。

 さすがは僕の奥さん。僕の考えていることなんてお見通しだったか。


「もちろん、エイバル王の思惑を潰すためだよ」

「というと?」

「忘れたかな? エイバル王は、オーウェンを次の王にしたがっているんだ」


 そう……ウィルフレッドとのことを考えても、エイバル王は『エンハザ』の主人公を仕立て上げたいんだ。

 それはユリも一緒で、むしろ僕に『主人公にならないか』と勧誘してきたくらいだし。


 なら、この『魔塔に潜む壊れた愛玩人形』のシナリオ攻略を指示したエイバル王は、そんな思惑があることは間違いない。


「ただ、エイバル王にとって誤算だったのは、僕達とオーウェンの間に接点ができてしまい、こうして一緒に行動することになったことだね」

「それは間違いありませんね」


 僕とサンドラは、クスリ、と微笑み合う。


 今回は人数も多いので別々の馬車に乗り込んでおり、こちらには僕とサンドラ、モニカ、それにキャスと、いつものメンバーしかいない。

 なので、こんな会話をしても全く問題ないし、もし王国の者がこの馬車に忍んでいても、すぐにモニカが見抜いてしまうからね。


「とにかく、魔塔に到着したら注意すべきことは三つ。一つ目は、魔塔から提供される水や食料には、一切手を付けないこと」


 『魔塔に潜む壊れた愛玩人形』のシナリオの中でも、ヒロイン達の一部が睡眠薬入りの食事に手を付けたことによって(さら)われてしまい、戦闘において数的不利に陥るという展開がある。

 もちろんこれは強制シナリオではあるけれど、ピンチになることが分かっているのに易々と受け入れるわけがないよね。


「二つ目は、『四極』と呼ばれる魔塔主の四人の部下だ」


 これもシナリオの中で登場するイベントボス達で、魔塔の真相に近づけばきっと牙を()いてくる。

 その時に備えて、常に警戒を怠っていなければ問題なく対処できる。何と言っても、所詮はイベントボスだから。


「そして、最後に三つ目」


 二人と一匹を見つめ、僕はすう、と息を吸うと。


「魔塔の最上階にある人形(・・)には、決して近づいてはいけない」

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