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王都散策に出かけたら、暗殺者に狙われました。

とても……とても大切なお願いがあります!

どうか、あとがきまでご覧くださいませ!

「うわあああ……! すごく賑やかだね!」


 王都カディットの中央広場にやって来ると、早速ユリが感嘆の声を漏らした。

 まあ、来た時以外はずっと王立学院から出ることができなかったから、彼にとっては実質これが初めての王都と言っても過言じゃないからね。


「ユリ! あっちの屋台の肉串が、最高に美味いんだぜ!」

「肉! 肉って言った!」


 せっかくユリにいいところを見せようとしたロイドを台無しにするかのように、リリアナが肉に反応して屋台へと猛ダッシュする。

 い、一応、今日の代金は僕が払うことにしてあるから大丈夫だと思うけど、そのー……やり過ぎないでね。


「ま、まあ、サン=ジュヌには負けますけど、ここも悪くはないかしらね」


 ドリルヘアーを手で払い、リゼが負け惜しみに近いことを呟いた。

 でも、僕からすれば、カペティエン王国の王都のほうが、歴史的な建物も多くて、好きだけどね……って。


「そ、そうでしょう? ハル、よく分かってるじゃない」


 あ、やべ。また僕、考えてたことを呟いていたみたい。

 だけど、その前の『ドリルヘアー』の部分は口にしてはいないようで、何よりだよ。


「それにしても……今さらですが、本当に聖王国に帰らなくてよかったのですか?」

「はい。デハウバルズ支部で『生誕祭』に祈りを捧げると伝えましたら、教皇猊下(げいか)もお許しくださいました」


 なるほどー……つまり、本当は駄目だけど、仕方なく教皇が折れたってことでいいのかな。

 後ろからジト目でクリスティアを見つめるカルラの表情が、全てを物語っているよ。


 まあ、でも。


「サンドラ、楽しいですね!」

「ふふ……はい!」


 僕達だって、こうやって王都の街を歩くのは初めてなんだ。今日は目一杯、楽しむ所存。


 すると。


「あ、あれは」


 中央広場の噴水のところに、ピエロの格好をした大道芸人が芸を披露している。

 へえー……上手いものだなあ。


「……ハロルド殿下。あの程度でよろしければ、このモニカがいつでも披露いたしますが」

「別に対抗意識燃やす必要なくない?」


 本当にもう……僕の専属侍女は、すぐに嫉妬するから困ったものだよ。


「さあさあお立合い! これから、私の相棒達(・・・)の登場だ!」


 大道芸人がそう叫ぶと、帽子の中から二羽の黒いカラスが現れた。

 ふうん……前世で観た、マジシャンみたいだな。だけど……って。


「ハル……あの鳥、魔獣(・・)だよ。ボクのことにも、気づいてるみたい」


 肩の上に乗るキャスが、眉根を寄せて耳打ちする。


「うん。僕も気づいているよ」

「えへへ、さすがはハル」


 僕はキャスの目の前に拳を出すと、コツン、と前脚を合わせた。


 さて……王都に魔獣を持ち込むのは、さすがにいただけない。

 いや、僕とキャスみたいに心を通わせた関係であることも否定できない……っていうか、そうであることは間違いない(・・・・・)んだけど、いずれにせよ邪魔な存在だね。


「サンドラ、モニカ」

「はい」

「かしこまりました」


 僕が声をかけただけで、サンドラとモニカは瞬時に理解して僕の両脇に立って構える。

 さすがは僕の婚約者と専属侍女、メッチャ頼りになるよ。


 というか。


「へえ……アイツ、何かあるのよね?」

「うふふ。一体誰を狙っているのでしょうか」

「お任せを。この剣の錆にしてみせましょう」


 いつの間にか三人も、僕の後ろで構えているし。

 しかもカルラが手にかけている腰の得物、彼女専用のUR武器の『滅竜剣アスカロン』じゃない? これじゃ完全にオーバーキルだよ。


 なお、あの大道芸人は『エンゲージ・ハザード』のメインシナリオにある、『カーディスとの確執』において登場するイベントボス、“影の道化師キラークラウン”。

 固有スキル【テイミング】によってあの男の飼う一対の魔獣“フギン”と“ムニン”を操り、主人公の暗殺を企てるんだ。


 この世界では、どうやら僕が狙い(・・・・)みたいだけどね。


「相棒達の競演、どうぞご覧くださいませ!」


 (うやうや)しく一礼する、キラークラウン。

 それと同時に、二羽の魔獣が空高く舞い上がる。


 そして。


「っ! 来ます!」


 高高度から、僕達目がけて猛スピードで襲いかかってきた。


「ふうん……ボクとハルのコンビに、勝てると思ってるのかな?」

「そうじゃない? 身の程知らずもいいとこだけど」

「言えてる」

「「ッ!?」」


 瞬く間に『漆黒盾キャスパリーグ』に変身したキャスを構え、ムニンとフギンの突撃を防ぐ。

 確かにかなりのスピードではあるけれど、軌道は一直線だったし、防御は簡単だったよ。


「それで……覚悟はできているんだよね? オマエも、オマエの(・・・・)主人(・・)も」

「っ!? おやおや、これはこれは……」


 嘲笑(あざわら)う僕の言葉に、キラークラウンはおどけてみせた。

お読みいただき、ありがとうございました!

皆様から『無能の悪童王子』へたくさんの応援をいただき、ありがとうございます!


おかげさまで、ハイファンタジー日間表紙に返り咲くことができました!

本当に、ありがとうございます!


引き続き日間表紙を維持するため、どうか皆様のお力をお貸しいただけないでしょうか!


もしお力をお貸しいただけるのであれば、

『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると幸いです!


この作品を継続するためにも、なにとぞ……なにとぞ、よろしくお願いいたします!!!

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【余命一年の公爵子息は、旅をしたい】
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