国王がご乱心しました。
とても大切なお願いがあります!
どうか、あとがきまでご覧くださいませ!
「「「「「…………………………」」」」」
こんばんは、ハロルドです。
祝賀会の会場に入った途端、僕達は参加している貴族達から、メッチャ注目を浴びているよ。
「え、ええと……これはどういうことですかね……」
「おそらく、ハル様と私が、皆様と違う服装をしているからかと」
「ああー……」
確かに僕達は、この世界の常識からはかけ離れた服装をしているからね。
こんな奇異な視線を向けられるのも、しょうがないか。
「他の方々がどのように思われようと、どうでもよろしいではありませんか。私は、そ、その……ハル様のそのお姿は、ここにいる誰よりも……いえ、世界中の誰よりも、素敵だと思っております」
「あはは、ありがとうございます。もちろんサンドラも、そ、その……ものすごく綺麗ですよ? それこそ、世界一どころか、女神さえもかすんでしまうほどに」
「ふあ!?」
うんうん、最推しの婚約者の可愛い声を聞けて大満足ですとも。
ただ、今日はいつもよりも大胆な服装をしているので、男連中の視線からしっかり守らないとね。
すると。
「やあ、ハロルド。今日の服装は、素晴らしいじゃないか。どのデザイナーに仕立ててもらったのか、教えてくれないか?」
ラファエルがグラスを片手に、にこやかに話しかけてきた。
「これは大通りにある、セルウェイ夫人の仕立て屋で作ってもらいました。ただ……」
「……へえ。なら、ますます興味が湧いたよ」
僕が仕立て屋でマーガレットと遭遇したことを耳打ちすると、ラファエルが仄暗い笑みを浮かべた。
マーガレットに恨みを持つ彼なら、あの女を陥れるネタを探すため、きっとすぐにでも仕立て屋に向かうに違いない。
なんでそう思うかって? マーガレットという女はプライドが高く、自分のドレスのためとはいえ、わざわざ王宮の外へ自分で足を運ぶような真似はしない。
なら、あの女には何か目的があったんだろう。
「兄上が喜びそうな情報を、僕が見つけられればよかったんですけどね」
「言うじゃないか。だけど……そうか、お前も僕と同じだったんだな」
ラファエルの視線が、今までの好奇の視線から、生温かいものに変わった。
どうやら彼の中で、僕は同志扱いに変わったっぽい。
もはやあの女に未練がないのは間違いないけど、別にラファエルみたいに積極的にざまぁしたいわけじゃないんだけどね。
とはいえ、サンドラに対して危害を加えるというのなら、たとえ実の母親であっても、全力で戦うけど。
「いやあ、今日の祝賀会は、久々に楽しめそうだよ」
そう言うと、ラファエルはご機嫌な様子でこの場から離れた。
◇
「国王陛下並びに、第一王妃殿下、第二王妃殿下のご入場です!」
今日の祝賀会の進行役を務める文官の声が、会場内に響きわたる。
ようやく、新年祝賀会の開催だ……って!?
「皆の者、待たせたな」
「ウフフ……」
いやいや、本気なの?
どうしてエイバル王の隣にいるのが、王の愛人でありウィルフレッドの母親の、サマンサ=オールポートなんだよ……。
「……国王陛下は、何をお考えなのでしょうか」
「まったくですね……」
サンドラの呟きに、僕は同意して頷く。
少なくとも僕の……ハロルドの記憶の中では、サマンサが王室の行事に参加したことは一度もなかった。
当然だ。ただの愛人に過ぎないあの女が、そのような場にいる資格などないのだから。
だけど、エイバル王は二人の王妃を差し置いて、サマンサを隣に侍らせている。王妃達にとって、これほどの屈辱はないだろう。
その証拠に、マーガレットはいつも以上にこめかみに青筋が立っているように見えるし、第二王妃のローズマリーも呆れてものが言えないって顔をしている。
いや、それ以上に。
「…………………………」
この場で一番険しい表情をしているのは、ラファエルだったよ。
UR級の圧倒的マザコンである彼からすれば、愛する母親をここまで虚仮にされたんだ。恨みもひとしおだろうね。
「さて……今日の祝賀会を始めるに当たって、皆に伝えることがある」
サマンサの登場によってざわついている会場が、エイバル王のその一言でさらに騒がしくなる。
というか、嫌な予感しかしないんだけど。
「あ、あははー……まさかね……」
僕の脳裏によぎったのは、あの『エンハザ』において乱心したエイバル王が放った、あの一言。
『世界一の婚約者を連れてきた者を、次の王とする』
まだ本編が始まるまでに一年三か月あるし、僕もウィルフレッドも成人すら迎えていないこの状況で、さすがにそれはないと思いたい。
僕は不安に駆られ、ついサンドラの手を強く握りしめてしまう。
「ハル様……大丈夫、大丈夫です……」
そんな僕の心の内を知ってか、サンドラは強く握り返してくれた。
それだけで、心が少し軽くなったよ。
そして。
「ここにいるサマンサ=オールポートを、余の第三王妃とする!」
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