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愛と勇気だけが友達では頑張れ無いっス

6話目になります。

よろしくお願いします。

「やっぱ、アイツ等クソだわ。」


 分かってはいたが、マジでクソだな。

つか、前の勇者パーティーもキチンと育てて、武器や防具もちゃんとしたのを渡していたら、魔王に勝ってたんじゃねーの?

そしたら、俺もこんな世界に召喚なんてされずに、向こうで何時も通りに暮らせたんじゃないか?

はー、やってらんね。


「そういえば、勇者はなんであんな目に合ってるのに、こうして戦ってくれているんだ?」

 

 暗に嫌なら逃げ出しても良いぞ、と言わんばかりの目でクロードさんに聞かれた。


「あー、別に好きでやってるんじゃなくて、やらざるを得ないからやってるだけでス」


「? 王命だから仕方が無いとしても、待遇に関してはもう少し改善して貰っても罰は当たるまいよ。正直、前もそうだが勇者に対しての国の対応はあまりに酷過ぎる!」


 半ば憤り気味にフランツさんはそう言った。


「そうですね。僕としましても勇者様に対しての暴力は論外ですし、旅の寝床や食事、怪我の治療にもっと力を入れるべきです!」


 ケールさんもかなり感情的になってるな。

う~ん、こうやって俺の事を心配し、怒ってくれる仲間達が居てくれるなんて、俺は三国一の幸せ者だぜ~。


「いや、まぁ、その、異世界から召喚されてるから、逃げても結局行き場が無いんでスよね~、俺。それに勇者としての力を発揮できるのは対魔物限定で、人間相手にはとことん無力なんでスよ~」


 素直に自分の境遇を語ってみる。


「だから逃げた所で、野党とか悪党なんかに捕まったら一巻の終わり。魔物だらけで人間が足を踏み入れない魔境にでも逃げ込まない限り、人生詰みなんだよなー」


 ワンチャン、クロードさん達みたいな良い人達に恵まれれば良いけど、外部に素性がバレたら、絶対碌な事にならないだろうな。


 俺の告白に目を丸くする3人。


「異世界からの召喚だと……」


「まさか、この世界の外から喚ばれたなんて……」


「あ、因みに俺も別に召喚に応じた訳じゃなく、気付いたらこの世界にいた口でス。事前説明? そんなの一切無く、召喚早々世界の為に戦えって言われたくらいでスかね?」


「同意無しの強制召喚だと!? その上であの仕打ちかッ!」


 膝から崩れ落ちる3人。

口々に在り得ない、正気とは思えない、女神様は何故これを見過ごすのかと紛糾している。

そもそもこの世界の問題は、この世界に生きる自分達で解決するべき事である。

100歩譲って、異世界人に助けを求めるのなら、キチンと事情を説明し、同意を得て、出来る限りのサポートや報酬を約束した上で頼み込むのがスジだと3人は憤慨する。

全くその通りの話ですわ。


 平民の方が王侯貴族よりも良識があるとか、草すら生えんな。

その後、3人は身命を賭して、俺に仕えると言ってくれた。

いや、すっげー有難いけど、命大事にね?

それにあのクソ王子共に目を付けられるのは危ないよ?

と言っても、3人は『大丈夫だ。問題ない』と言って意に介さない。


 うーん、そこはかとなく不安を感じるけど、なんか、こう、嬉しいな。

正直この世界とかもうどうでも良いし、クソ王子共は死んでくれねーかなーと思ってるけど、この3人だけは守護らなければ!

勇者としてどうこうじゃなく、俺のために頑張ってくれる戦友の為にも頑張るぞ!

旅は終盤に近いけど、俺は改めて心に誓った。


 さて、いよいよ魔物の領域に入り、魔王の住処に近づいて来たんだけど……。

魔王が何処にいるか分からねぇ。

周り中が魔物だらけで、俺のチートタイムが常時発動しっ放しだ。

そのお陰で、周辺の魔物をあっさりと殲滅出来たけど。

それで中継基地みたいな物を作ることも出来た。

そこを中心に魔王の探索を行っている。


 魔王城とかそういう分かり易い目印が無いから気配を探りながら、探索してるけど、未だに見つからない。

クソ王子共は中継基地の建物に籠りっ放しだから、余計なちょっかいが無いのは良いけど、ちゃんと働いて欲しいわ。


 クロードさん達は俺のサポートをしてくれている。

勇者の俺、戦士のクロードさん、僧侶のケールさん、魔法使いのフランツさんで、なんだかRPGのパーティーみたいだ。

彼らの仕事は、魔王の気配を探す為に集中している俺の守りがメインだ。

流石に集中して気配を探している時は、無防備だからな。

魔物が襲ってきた際は、一瞬だがどうしても隙が出来る。

クロードさんはその一瞬の隙をカバーしてくれているのだ。


 何度目かの探索をした時に洞窟を発見し、その奥から禍々しい気配を感じ取ることが出来た。

今まで倒した魔物とは一線を画した気配……恐らく魔王だ。

漸く会える訳だな。


 そういう訳で、魔王らしき物を発見したと報告した俺は、単独で洞窟に乗り込む事になった。

クロードさん達は同行を願ったけど、流石に相手が悪いし、対魔物戦なら俺1人の方が寧ろ捗るので遠慮して貰った。

3人には必ず勝って帰ってくると言い、俺は魔王らしき魔物がいる洞窟へと向かった。


 思ったよりも大分広くて深い洞窟だった。

道中に魔物が居たが、そこはサックリ処理して先に進む。

ラストダンジョン……の割にはそこまで滅茶苦茶魔物が出てくるわけでは無いんだな。

まぁ、あんまり出てこられても面倒だし、これはこれで良いか。

そう思いながら先に進んでいくと、集中しなくても分かる程、気配が濃くなってきた。


 道中に折れた鉄の剣が転がっていた。

何でこんな所に? 実はラストダンジョンにある伝説の剣か何かか?

そう思ったけど、唯の折れた剣にしか見えない。

不思議に思ってたけど、ピンと来た。

これ、多分前勇者の使ってた剣じゃないかなと。


「名剣でも聖剣でも魔剣でもない、唯の鉄の剣か……こんな物で魔王を倒せとか無理ゲーじゃねーか? いや、俺も素手だけどさ」


 ちゃんとした伝説の装備があれば、此処で朽ち果てる事なんて無かったんだろうな。

俺は両手を合わせて、前勇者達の冥福を祈った。


 遂に最深部に着いた。

そこに魔王は居た。

人型で話の通じるタイプを希望していたが、残念ながらそうでは無かった。

魔王は魔物の王らしく、何とも言えない異形の化け物だった。

巨大なキメラというか何というか、色んな生物がごっちゃになったような生き物だった。


 くそ、ワンチャン美少女魔王と勇者のラブコメ展開を期待していたんだがなー。

どう考えても話の通じない化け物が相手でした。

はぁ……気を取り直してあの化け物をぶっ殺してやんべ。

最後の決戦が始まる。

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