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最強チートで無双のち土下座

4話目です。

よろしくお願いします。

 街に戻って勝利の凱旋が始まる。

住民達は皆、クソ王子共を褒め称える。

その後、祝勝会として街の広場で宴を始めるとの事だ。


 戦闘終了後、俺はケールさんと一緒に、負傷した兵士達の手当てを命じられ、奔走していた。

つっても、包帯や薬の受け渡しとか、本当に唯の手伝いしか出来ないけど。

幸い死人は出なかったが、怪我人は結構出ている。

俺がもっとしっかりしていたら、被害も少なかっただろうに、本当に申し訳ない。

クソ王子共は魔力こそ消耗したんだろうが、皆無傷だ。

傷付くのは何時だって末端の兵士だって訳だ。

宴があるって言うけど、気分悪いな。


 なーんて思ってたら、本当に体調を崩していたよ、何てこったい。

どうもチートタイム終了後、兵士達の怪我の手当ての為に色々動いた結果、疲労で体調を悪くしたらしい。

そうだよな……通常時の俺ってごく普通の一般人だったんだよな。

無理をすれば具合が悪くなるなんて、当たり前の話だわ。

こうして俺は、宴に参加する事も出来ず、安宿の微妙なベッドで寝込む事になったとさ。


 翌朝、クロードさんとケールさんが見舞いに来てくれた。

マジでこの2人が俺にとっての癒しだわ~。 


 たっぷりスープを含んで柔らかくなったパンを頬張る。

あ~、五臓六腑に染みるんだ~。

こうやって落ち着いて朝食を食べられるなんて、凄く久しぶりな気がする。

このままのんびりやっていきたいけど、そうは上手く行かないだろうな。

やる事は沢山あるし。

昨日は魔物の大群を退けたから、暫くは安定するだろうけど、その分怪我人も多く出たから、暫くの間は逗留するらしい。

なので、今の内に攻撃魔法や、その他何かしら役に立ちそうなスキルを身に着けたいと思う。

今はチートによる身体能力のゴリ押し戦術しか使えんので、効率が悪い戦いしか出来ないからな。


 そんな訳で、クロードさんとケールさんに誰か良さ気な人が居ないか聞いてみた。


「それならフランツなんかはどうだ? 基礎魔法ならかなり使える奴だ」


「僕も攻撃系は使えないけど、基本的な魔力の運用方法なら教えられるよ」


 流石は俺の救いの神様達である。


「しかし……改めて考えると、酷い状況に置かれてるよな、お前は……」


「そうですね。せめて最低限の訓練くらいは施すべきなのに……」


 2人共沈痛な面持ちでそう言ってくれる。


「いや、まぁ、そうなんですけど。とりあえず魔物との戦闘は、普通に出来ちゃいますからねぇ……」


 色々大事な所を学ばないままでも、ある程度出来ちゃうのがチートの弊害だな。


「俺の方でも、戦う上での心構えや戦法を教えてやるよ。実戦ではそれなりに役に立つはずだ」


「ありがとうございます。よろしくお願いします」


 こうして俺は街の滞在中、戦うための勉強と訓練をする事になった。


 街を離れ、次の目的地に向かう旅路の中、魔物に群れと遭遇した。

俺は早速学んだ事を実践してみた。

結論から言うと、大きな戦果を上げられた。

攻撃魔法による遠距離攻撃と範囲攻撃により、雑魚の群れを排除し、強めの個体は無駄のない実践的な近接戦闘術により、速やかに打倒が可能となった。

マジで今までと全然違った。

自分がより強くなったと実感できたよ、チートタイム中は。


 通常時の俺は、魔力は皆無で当然魔法は使えないし、格闘技のセンスも無い。

よって教えられた事なんて殆ど理解も、習得も出来ていない。

だが、チートタイム中だと知能も大幅に上がっているので、通常時に理解出来なかった事や、実践出来なかった事も全て可能になっている。

チートってホント凄ぇと思いつつ、通常時の俺、マジでダメダメだなーと凹む。

とは言え、新たな力を身に着けたんだし、気を取り直して行くしかないか。


 旅は順調で、味方の被害が無くなったせいか、皆かなり余裕を持つようになった。

俺は俺で、クロードさん達に薫陶を受け、俺個人の力を上げていった。

今では回復術もチートタイム中なら使えるようになったので、旅路は益々安定していった。

限定的だが、最強無敵の勇者として無双しているのは気分が良い。

漸く異世界召喚勇者の物語のような体験が出来たんだからな。

理解者もいるし、恐れる物など何も無い。

そんなふうに考えていた時期が俺にもありました……。


 城塞都市へと辿り着いた。

此処が人類と魔物の領域の最前線だ。

いよいよ旅も終盤となり、魔王との決戦に備えて準備を整えていた所に、魔物の大群が押し寄せて来たという報が伝わった。

その数は凄まじく、大型の手強い魔物も多く見られた。

これまでは俺がパワーアップした事で余裕もあり、適度に弱い魔物を素通りさせて、後方の兵士達に処理させる戦法を取っていたが、今回ばかりはそんな余裕は無い。

俺は真っ先に飛び出し、本気で魔物と戦った。


 多くの魔物を屠り、大型の魔物を粉砕するなど、八面六臂どころじゃない活躍をし、ほぼ全ての魔物を倒していった。

勿論、幾らかの雑魚は通してしまったが、魔物は全滅、此方の被害は皆無という、最高の結果を出した。


 ……そんな最強無敵な勇者の俺は、今土下座をしている。


 戦闘を終え、意気揚々と戻った俺はクソ王子共に殴られた。

理由はクソ王子の指示を聞かずに独断専行で魔物と戦闘をしたからだとか。

意味が分からん。


 魔物の大群が発見された時、実はかなり近くまで来ており、その侵攻速度は驚異的なものであった。

一分一秒を争うような状況で、クソ王子達は以前と同じように、戦意高揚の為の演説などを行っていたのだが、ハッキリ言ってそんな時間なんて無かった。

何せ直接戦闘になっていないのにも関わらず、俺のチートタイムが発動していたんだから。

グダグダやっている場合では無かったから、俺は速攻で飛び出したんだ。

結果それで被害無しだったのに、クソ王子共はお気に召さなかったらしい。

殴られて逆らう気力すら湧かなかった俺は、土下座で勝手な事をして申し訳ありません、とお詫びして締めるという事になった。

ハハッ……、さっきまで無数の魔物を相手に無双してた俺が、なんて様なんだろうな。


 その後、例によって宴が開催されたが、俺は不参加だった。

罰の一環らしい。

まぁ、俺自身はボコられて熱出したから、出たくても出られなかったけどね。

俺が熱出して苦しんでる間、クソ王子達は主賓として随分と楽しんでいたそうだ。


 宴の翌朝、クロードさん達が俺の為に食い物を持って来てくれた。

薬とケールさんの回復術で幾らか腫れと熱が引いた俺は、有難くそれを頂く。


「……すまなかったな」


 申し訳なさそうにクロードさんが謝る。

俺がクソ王子共に〆られてる時に、助けられなかった事を言ってるのだろう。

でも、クロードさん達は平民の兵士なんだし、腐ってるけど王侯貴族であるアイツ等に対して意見なんて言える訳が無い。

下手すりゃ無礼打ちされかねん。

そうなったら俺の方が死んでも死にきれないよ。


「しゃーないスよ。アイツ等相手じゃあ、どうしようもないんでスから」

 

 あー、なんか呂律がおかしいな、ボコられたせいかな?


「だがッッッ……いや、すまない。その通りの話だな……」


 クロードさんも大分凹んでいる様だ。

かなり気に病んでいる様だけど、そこまで気にしなくても良いと思うんだよなー。

この人達は随分俺に良くしてくれているし。

クソ王子達は論外だが、他の兵士達は俺に対しては距離を置いているというか、腫れ物に触る様であんまり絡んでくれない。

迫害とかしないけど、助け舟も出してくれないって感じだ。

そんな中でクロードさん達の存在はマジで助かる。

今現在、俺の味方ってクロードさんとケールさん、フランツさんくらいだ。


「そーいえば、前から気になってたんスけど、なんでクロードさん達は俺にこんなに良くしてくれるんでスか?」


 折角だから聞いてみた。

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