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いえーい、皆見てるー? 俺、神様になったよー! ……って、なんでやねん!!

10話目になります。

次回がざまぁです。

よろしくお願いします。

「こっちとしては、何の説明も無く異世界に召喚されて、いきなり戦わされて、人間相手に無力で、訓練も何も無いまま旅に出されて、待遇も最悪で、魔王倒したら殺されたとか散々な目にあったんですよ!?」


 全てが遅きに失する……救いの無いまま終わってるのが泣けてくるわ。

せめてある程度事情が分かっていたなら、もしかしたら何とかなったのかもしれないと一瞬だけ思った。


「最初は人々との交流期間を兼ねて力の使い方を学び、折を見て神託という形で説明を考えていたのですが……」


 常に注視していた訳では無く、ちょっと準備の為に目を離していた間に終わってたと。


「先ほども言いました通り、今回の件は完全に想定外でした。貴方への扱いもそうでしたが、まさかこれ程にまで早く魔王討伐が成されるとは思っていなかったのです」


 まぁ、数ヵ月で終わらせたからな、少年漫画の作中年表並みのスピード解決だ。

神様の感覚からすれば、あっという間の出来事だったんだな。

結局は、説明の不備やら諸所の噛み合わせの悪さと、王侯貴族連中がクソだった結果かー。


「もう終わってしまったから、どうにもなりませんし、どーでも良くなってきましたわ」


 何か色々と馬鹿馬鹿しくなってきた。

神にも人にもいい様に利用されて俺の人生は終わったのだ。


「それで、俺は今後どうなるんです? 普通に成仏して終わりですか?」


来世に期待……して良いのか分からないけど、中途半端な状態でいるのは分かるから、とっとと終わらせて欲しいわ。


「その事なんですが、実は貴方の世界の神々が非常にお怒りでして……このままですとその、私の世界が終焉を迎えそうなのです」


「ファッ?! どー言う事ですか??」


 俺の一件で異世界がヤバイってマジでどういう事?


「端的に言いますと、貴方の末路は神々からしても看過する事が出来ないと言いますか……神々の面子を潰す様な結果でして……」


「信じて送り出した子が、あーいう結果に終わった事が、神々的に許せないって事ですか?」


「その通りです……。本来、上位世界から召喚された貴方は、救世主である事も加味すれば、私の世界では神にも等しい地位に就くべき存在です。それがあの有様でしたので、これは神々の顔に泥を塗る行為に等しい蛮行です」


「あ……だから女神様、俺に土下座してたんですか……」


 異世界の最高神が、幾ら迷惑をかけたからって、人間の俺にあそこまで腰が低かったのはそう言う事だったんか。


「四文字様は元より、父ちゃんの実家って確か……別の宗教では最高神の一柱な御方が御神体だったような……母ちゃんの実家は荒神様を奉ってたっけ……?」


 あ、ヤベーわこれ。

怒らせちゃいけない方々の筆頭揃いじゃね?


「今、私の世界にはかつて無い危機が訪れています」


 ああ、うん。

父ちゃんの実家の御方だけでも払い切れないお釣りが出るな……。


「事の発端となった破壊神は、既に消滅寸前の有様でした……」


 おっふ……もう〆られた後でしたか。


「私は事前に礼を尽くした結果、今は見逃されてますが、私の世界については、その……」


「ええッッッ!!?? それはマズいですよ!」


 あのクソ共は地獄に落ちて貰って大いに結構ですが、クロードさん達がとばっちりを受けるのはご勘弁願いたいです!


「それで、神々は私にこう申しました。『貴方の判断に任せる』と」


「……つまり、俺が女神様の世界の生殺与奪権を握っちゃったと……」


 責任が重ぉいッ!

でも、クロードさん達に迷惑を掛けない様に何とかしないと。


「取り合えず、異世界の方々の助命を嘆願します。流石に世界その物を滅ぼしちゃうのは後味悪いですし」


 一応、命懸けで救った世界でもあるからなー。


「……ありがとうございます」


 女神様は深々と頭を下げた。

その後、俺の助命嘆願を神々に伝えるため、此処とは違う神の領域へと去って行った。


 はぁ、これで何とか異世界の滅亡は阻止出来たか……。

そう思って一息ついた所、何か身体が光った。


「はっ?! ナニコレどーなってんの?!」


 少し経つと光が消えたが、一体何だコレ?

そう思っていた所、女神様が戻って来た。


「先ほど、神々に報告をした所、貴方の嘆願が受理され、それによって貴方の魂は神に昇進しました」


 はっ? ナニソレ、神に昇進?


「えっ!? 俺、神様に成ったの??」


「その通りです。今回の件での貴方に対する迷惑料と、功績、そして願いを叶える為に、貴方は私の世界の最高神に成りました」


 ……待って、頭が追い付かない。

異世界に勇者として召喚されるも、ぞんざいな扱いされた挙句に殺されたら、神様になっちゃったなんてぶっ飛びすぎてついて行けねぇ。

そんな俺に女神様は本来の異世界召喚プランを説明してくれた。


「あー、つまり元々異世界で勇者としての務めを立派に果たしたら、そこで英雄として暮らすも良し、元の世界に戻るなら何かしらの加護やら祝福を与えるなどの、勝ち組人生が約束されてたのね」


 もしくは死後、天国やら極楽やら、八百万の神の一柱に迎えても良いとか……すっげーVIP待遇だな。

それが全部オジャンにされたから、神様方はブチ切れたと。


「その上で、自身を死に至らしめた異世界の人々の助命を願うという事に、神々は感服したそうで、ならば私の世界の最高神に据えようと相成ったそうです」

 

 うん、そういうの、ちゃんと言って欲しいんだわ。


「私としても、異存はありません。元はと言えば、私の管理者としての力不足が招いたことですので」


 そう言われると断り辛いし、まぁ良いかなって思っちゃう。


「あ、邪神……破壊神の方はどうなるの?」


「あれは最早神としては再起不能となりました。上位世界の神々によって散々に絞られましたので」


 精々、人をちょっと驚かす程度の下級霊のような存在に成り下がったそうだ。


「私は今後、貴方様の属神として、サポートをする事になります」


「そうなんだ。よろしくお願いします」


 そういう事になった。

それから少しして、色々と冷静になると……。


「いや、やっぱおかしいじゃん!」


 ツッコミどころが沢山出て来た。

神としての仕事は女神さ……女神がいるのでやる事無いし、つい最近まで人間だった俺が神とかマジでどーすりゃいいの!?

ってか、神としての自分の能力とかサッパリ分からんし、何をするにも手持無沙汰だ。

そんな懊悩を抱えていた俺に、女神がやって来た。


「あの国でパレードがあるって?」


 あの国……俺を召喚し、酷使した挙句殺したクソ共の国である。


「フンッ、魔王討伐を記念しての式典か……倒したの俺なんだけどなー」


「貴方様の功績を全て掠め取り、自分達が行ったものだと喧伝する為の催しですね」


 クッソむかつくなー。


「私としましても、此度の件は結果的に丸く収まったものの、決して看過出来るものではありません」


「せやね。ちゃんとスジを通さにゃあアカンね」


 思わず言葉遣いがおかしくなる位ご立腹ですよ、俺は。


「この世界への干渉については、もう制限はございません。ですので、新たな神としてのお披露目と、真実の開示をなさっては如何ですか?」  


「イイネー。それ採用ですわ」

 

 奴等の悪行を全部暴露しちゃる。


「さーてと、楽しい暴露と断罪の時間ですよってな!」


 俺はウッキウキで下界へと降りる事にした。


 「おーおー、一杯人が居らっしゃるわ」


 眼下には数千人規模の人が溢れていた。

王国の宮殿にて、魔王討伐を祝う記念式典って奴が行われていた。

皆様、良い物をお召しになっていらっしゃるわ。

あ、あのチキン美味そー。

生きてる時は、終ぞ口に出来なかったな、異世界グルメ。

固くて酸っぱいパンと味の薄いスープの思い出が蘇る。


 壇上であのクソ王子達が意気揚々とスピーチしていらっしゃる。

おーい、魔王は俺がタイマンで倒した奴だぞ。

何自分達が力を合わせて倒しましたって言う美談にすり替えてんだよ。

魔物の大群は、お前等の余計な攻撃に邪魔されつつ、俺が撃ち払ったんだがなー。

クッソ……コイツ等よくもまあ、こんなデタラメ吹聴出来るもんだな。

面の皮厚すぎじゃね?


 クロードさん達も魔王討伐隊として頑張っていたハズなのに姿が見えない。

居たら『俺、神様になったよー』って教えてあげたかったんだが。

それにしても……。


「そろそろアイツ等のドヤ顔見てるのがキツくなって来たわ……」


 足引っ張ってばかりのクソ野郎共がいい加減目障りになって来た。

挙句に人を殺して、俺の功績を横取りしたコイツ等は英雄として賞賛されるとか……。

マジでムカツクわ。


「では、そろそろ貴方様のお披露目と、真実の暴露を行いましょうか」


 苛立ってる俺を気遣うように女神が声を掛けてくれた。


「だな。先ずはしっかりと『真実』を教えてやらんとな!」


 俺達は、人間に存在を感知させない隠密系の魔法を解いて、宮殿に降臨した。

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