氷の少女
空中に細い柱で建てられた、一見すると浮いているように見える、木造の画工の教室のような場所。窓などなく、遠くを見れば、空と海の境はない。無限の蒼穹か、その下に栄える港町が見える。
体育で生徒たちが体操着で押し寄せる。大群だった。
給食のおばさんの過失で携帯電話がなくなったことが知られる。しかし自分は何の逡巡もなく進み出て、それは違うと言い放つ。そして部屋に入り、携帯電話を探す。様々な骨董品が並ぶその部屋の中で、携帯電話御探すのは至難の業だった。そこにはもう一人、自分を待っていた人がいた。ライトグリーンの携帯は見つけた。それを他の人たちに見せびらかそうとして、氷の薄山に登る。そこで逃走車の金髪のエルフを見つけた。緑色で葉っぱの意匠のこらされた服を纏っている。氷の下のトンネルをくぐり、逃げるつもりらしい。俺は指揮を執り、エルフを追いつめた。そして壁際で僕は携帯電話を取り出した。それはいつの間にかライターに変わっていた。そのライターを付けて、上にかざす。するとエルフは手を祈るように組み、片膝をついてこちらに祈りをささげた。かくしてエルフは仲間になった。
氷の娘が溶けていた。
ぱきぱき、と次第に崩れ居ていく肢体を何とか運ぶ。この部屋は温度が高すぎる。大きく割れて、地面に落ちてしまった。もはや原型はない。目や口の位置がずれてしまっている。もはやただの氷と水の塊だ。そこで絶望する少女たちではない。ある少女のブーツの中に、その氷の娘は張り付いた。そうして一件落着し、氷の娘はその生徒の靴に憑りつくことになった。
「って靴の上のほうについてたのかよ!」
二人はいつも一緒になった。