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ゴブリンの王国 陽動作戦

 どうも皆さん。ガクーンです。

 今回からゴブリンたちとの戦闘が本格的に始まります!

 では、お楽しみください。

 笛が鳴り、ゴブリンと冒険者たちの戦いが幕を開けた。


 クリスの話にあった通り、冒険者たちは闇雲に攻めるのではなく、まずはゴブリンの住処の外にいるゴブリンたちを襲いはじめ、数を減らし始めた。


「まずは、外にいるゴブリンを片付けるか、おっ、あそこにいるな」

 俺は、1匹でいるゴブリンに目を付け、背後に忍び寄り、ゴブリンの頭めがけて剣を振り落とした。

 綺麗にゴブリンの頭が2つに割れ、ドサリと音を立てながら崩れ落ちるのを確認してから俺は次の獲物を探し求め、その場を去った。


「ふぅー、あの時よりもレベルが上がったせいか、一撃で倒せるようになったな。さっきのは隙を狙ったとはいえ、一撃で倒せるのはデカいな」

 バンが言うあの時とは、バンが初めてゴブリンを倒した時の事であり、その時は相手が一匹であったのにもかかわらず、死闘を繰り広げていたのであった。


 このような具合でゴブリンを追加で2匹倒したころに、ゴブリンの住処が騒がしくなったのをバンは感じ取った。


「何か騒がしいな。ゴブリンの住処の中か? っっ!」

 騒がしいと感じて、何かあるのかと考えたバンは木の陰に隠れると、少ししてゴブリンの住処からゴブリンの集団が出てくるのを見つけた。


「あれは……、ゴブリンよりガタイもよく、こん棒じゃなく、木で作ったように思われる槍や、石のナイフのようなものを持っている。あいつらは情報でもあった通り、ゴブリンソルジャーってやつか」

 ゴブリンソルジャーを中心にしたゴブリンの集団は100匹を超えており、怒り狂った様子で森の中へ走って消えていった。


「これで、ゴブリンの住処にいるゴブリンの数はだいぶ減っただろう。それにしてもあの量。ちと危険だな。もっと慎重に動かなければ」

 そう呟き、バンもゴブリンソルジャーたちが消えていった方向へと向かっていった。




 ~その頃のクリス~


 クリスは冒険者たちがゴブリンの陽動へと向かった後、少ししてから行動を開始していた。


「うんうん、皆はよくやってくれているようだね。それにこの騒がしさ……、ゴブリンソルジャーが住処の外に出てきたってところかな?」

 そう推測すると、クリスはニヤッと笑いながらゴブリンの住処のある場所へと足を進めた。


 ゴブリンの住処の柵を簡単に飛び越えると、クリスはゴブリンの家と思われる穴や、木で作られた倉庫のようなものを一つ一つ確認していくと、何やら納得したような表情をし


「ここはゴブリンの住処かな? ここもそう、ここもか、ここは……、ビンゴ! ここからがゴブリンソルジャーの住処だ。じゃあ、あっちが王の住む住処かな?」


 そう言いながら、クリスはゴブリンキングがいると思われる住処目指して歩き始めた。




 一方その頃バンは戦闘音が聞こえる場所へとやってきて、その光景に絶句していた。


 そこは冒険者たちとゴブリンやゴブリンソルジャーの集団のぶつかり合いが広がっていたからだ。

 冒険者たちの方が優勢なのは見てわかるのだが、何故か一か所だけ冒険者が倒れている。いや、死んでいる者たちが多い場所があり、そこには何かいるとバンのスキルである直感が警告を鳴らしていたのだった。


 その光景に飲まれながらも、何とか意識を保つと、ふと木に倒れ込んだ男性と、その男性を介抱していると思われる男性が何かを叫んでいた。


「おいっ、誰か! 誰か助けてくれ! ゼラフが! ゼラフが死んじまう!」

 そう叫ぶ男性のもとへバンが駆けつける。


「ダイジョブですか! この傷は……、これポーションです! 飲ませてあげてください!」

 そう言い、その男性に最下級ポーションを渡すと、男性はゼラフと呼ばれる男性に口元へとポーションを近づけ、無理やり飲ませる。


「あぁ! 助かる。ゼラフ、ポーションだ! ゆっくり飲め」

 ゼラフがポーションを飲むのを確認すると、バンは男性に話を聞く。


「あの……、失礼なことを聞くんですが、ゼラフさんの腕をやったのってゴブリンソルジャーですか?」

 バンがそう聞くと、男性は震えながら


「違う、あいつはそんな生易しい相手じゃねぇ。あいつはバケモンだ……、あいつに俺のパーティは壊滅させられた。あいつのせいで……、あいつのせいで! ……、お前さんも気をつけろよ。ひときわ目立つゴブリンがいる。見れば分かるがそいつを見かけたら全力で逃げろ。いいな、命の恩人に死なれちゃ困るからな」

 そう泣きながら男性は答えると、最後はちいさな笑みを浮かべながら「俺たちはもうダイジョブだ。先に行ってくれ」とだけ言い残し、ゼラフを背負って、去っていった。


「ひときわ目立つゴブリンか。それも、1パーティを簡単に壊滅させるほどの相手。注意していこう」

 そう決意して、バンは戦闘音のする方へと足を進めた。



 バンが男性たちと離れて少し時間が経った時、見るからに年が若い子たちのパーティがゴブリンたち相手に劣勢を強いられていた。


「マナ! 回復してくれ!」

 そう叫ぶのは片手剣と盾を使いながらゴブリン2体を相手取って戦う少年。少し苦しい表情をしながらそう叫ぶと


「魔力がないの! ポーションも無いし、どうにか持ちこたえて!」

 その声に反応したのは、その男の子の隣でゴブリンソルジャー相手に槍で交戦しているマナと呼ばれた少女。


「くそっ! 分かったよ。俺はこいつらをどうにかする。ロックはダイジョブか!?」

 

「大丈夫! 守るだけならまだまだいけるよ!」

 ロックと呼ばれた少年は大きな盾を持ち、ゴブリン2匹にソルジャーゴブリン1匹相手に臆することも無く、攻撃を盾で受けながら耐えしのいでいた。


 その時も束の間、マナがソルジャーゴブリンの攻撃を腕に受け、槍を落としてしまう。その隙をソルジャーゴブリンが見逃すはずもなく、「グギャッ!」という鳴き声と共に、マナへ飛び掛かってきた。


「キャァー! カイル! 助けて!」

 カイルと呼ばれた、一番身長が高い少年は、「マナー!」と叫びながら、マナを助けようにもゴブリン2体を突破することが出来ず、マナが絶対絶命だったその時


「はぁっー! よかった間に合った! 君、大丈夫かい?」

 ある人影がマナとゴブリンソルジャーとの間へと入り、ゴブリンソルジャーの攻撃を受け止め、マナにそう問いかけた。


「もうダメ!! ……? えっ? 私助かったの? あっ、はい大丈夫です!」

 マナは自分がもう駄目だと思い目を閉じたが、来ると思っていた衝撃が訪れることなく、ふと気になって目を開けると、黒髪の男性が目の前に立っていた。


「それならよかった。それじゃあひとまずあいつを倒して、皆を助けちゃうね。」

 そう男性は答え、何かしらのスキルを使い、ゴブリンソルジャーをたたき切った。


 その後は、ゴブリン2匹を倒したカイルがその男性に合流し、ロックが受け持っていたゴブリン2匹とゴブリンソルジャーを倒すことに成功した。




「「「ありがとうございます!」」」

 カイルとマナとロックは助けてくれた男性にお礼を言うと、カイルが


「自己紹介が遅れました、俺がカイルで、そこにいるの槍を持ってるのがマナ。盾を持っているのはロックです。ええっと、あなたのお名前聞いてもいいですか?」

 そうカイルが男性に聞くと、その男性は赤黒く輝く剣についたゴブリンたちの血を布で拭くのを止め、剣を鞘に戻し


「俺の名前? 俺の名前はバン……、バン・アルフレッドだ」

 そう答えた。そうすると、マナが小さな声で


「バンさん。バン・アルフレッドさんね。覚えたわ……、えぇ、一生忘れない」

 そう呟いた。


「それにしてもバンさん強いですね。ソルジャーゴブリンの攻撃を簡単に受け止めて、更には一撃で仕留めるなんて!」

 カイルが目をキラキラさせながら言うと、バンは少し照れながら会話を続けたのだった。



 それからある程度会話を続けると、突然カイルが


「あの、勝手なお願いなんですが、バンさん。一緒に俺たちとパーティ組んでくれないですか?」

 バンに提案してきた。さらに続けてカイルは話す。


「俺たち、今回のクエストなめてました。俺たちがルーゼンの町に来て1年がたって、順調にランクが上がり、もう少しで俺たち全員Dランクに上がるって時にこの緊急クエストが張り出されて、俺たち装備のお金を早く稼ぎたかったからこのクエストなんも考えずに受けちゃって……、さっきみたいな戦闘していたら俺たちの命は何個あっても足りない。だから、今回のクエストを無事に生きて帰るにはバンさんみたいな強い人と一緒にいればいいって思って……、もちろんクエスト報酬もバンさんに全部上げます! だから、お願いします!」

 そう言って頭を下げるカイル。そしてそれに続きマナとロックも頭を下げる。


「頭を上げて……、分かった。俺もソロじゃ今回きついなって思ってたし、それに、今更君たちを放っておくこともできないしね」

 そう言いながらバンは笑い、「報酬は倒した人がもらう形でいいから」と後付けし、ここに新しいパーティが結成された。

 お読みいただきありがとうございました。

 次回もお楽しみください。

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