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サドンリブ 1
そうなった僕に、彼は追い討ちをかけるように言った。
「俺、今日、アウトレットを見て回って、ある腕時計が欲しいと思った。カミさんからの小遣いは上がらないだろうから、より一層、働いて給料あげられるように頑張って、20回ローンまでは金利無しだっていうから、次、また、あそこ行って検討するわ。」
僕は、さっき、彼と合流した際、
「いやー、色々と見て回ったけど、特に僕の欲しい物はなかったよ…世の、みんなは、物欲にホント、マミレテイルね…。」
みたいなことをイノイチバンに口走っていた。
僕は、まだ、一向に進む気配のない渋滞の中、
「お、男は、やっぱり腕時計にコダワって、なんぼだよね!!」と口から発した。
すると、
彼は、大笑いした。
本当にスゴく笑った。
僕は、彼が本来、このように豪快に笑う男であることを、すっかり忘れていた。
僕が、そのように笑う彼を見たのは、確かに久しいことだった。




