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正解はどこですか?


 マリーナ・ロマンヌ様は、やはり学園内で目立つ存在となっており、多くの生徒から好奇の目にさらされているようで、彼女に関する根も葉もない噂を聞いた事も一度や二度ではありません。シナリオに沿うならば、この1年はほぼ何事も無く過ぎる予定ですので大事にはならないと思いますが、噂だって正直良い気はしませんね。・・・まあ、1年後にマリーナ様への嫌がらせ主犯格に名乗りを上げるルートを持つ私が言うのもアレですけれど・・・。いえ、今の私はそんな事絶対にしませんので堂々と言いますわ!根も葉もない噂、嫌がらせ、ダメ!絶対!!


 そして当の本人であるマリーナ様はというと・・・分かりませんわ!だって私、一度放課後にご挨拶のようなものをして以来、全くお会い出来ていないんですもの!!!今、マリーナ様がどんなご様子であるのかなんて、分かるはずがありませんわ!何故こうもお会い出来ないんでしょうか?クラスが違うと言えど、朝やお昼休み、教室移動、放課後などチャンスはいくらでもありますのに!


 ハロルド様がいる手前、話しかけに行く事は難しくとも、そのお姿を見る事すら出来ないなんて本当に何故なんでしょうか?!

 


「ララリア?」


「・・はっ!ごめんなさい、ボーっとしてましたわ」


 隣には心配そうに私を見つめるハロルド様がいました。


 実は今、いつもの4人で以前魔力供給の際にもお邪魔した王族専用サロンに集まっています。誰にも急ぎの用事が無い日の放課後はこのサロンで過ごそう、とウィルネスター様とミイナが提案してくれたのです。私には『マリーナ様と仲良くなる』という急ぎの重大案件があるのですが、お姿すら見れないとなるとどうすれば良いのか分からなくなり流石に落ち込みますし、4人だけで会えるというのは素直に嬉しいのでサロンに向かう事にしたのです。


「本当に大丈夫なのか?体調が悪いならすぐにアーケイン先生のところに・・」


「大丈夫よ」


「せめて、魔力供給を」


「まだ私は倒れていないのよ?だから、魔力供給の必要もありませんわ」


「・・・。心配なんだ。・・・こわいんだよ」


「・・?ごめんなさい、よく聞こえなかったわ」


 目の前のテーブルに広がるお菓子に目を奪われ、話半分に聞いていたハロルド様の言葉が呟きに変わった途端、その声は私まで届きませんでした。



 そんな私達の向かいの席には、ウィルネスター様とミイナが座っています。私がハロルド様と話している間、2人も言葉を交わしているようでした。


「ウィル様、サロンを使わせて頂き、ありがとうございます」


「構わないよ。ミィからのお願いを叶えない訳にはいかないからね。それにしても、僕達は皆クラスも同じなのに何故サロンに集まりたかったの?」


「先日の魔力供給を見てから、私がララリアとハロルド様に出来る事は何か考えていましたの。私は、2人がすれ違いに気付いて心を通わせられる事を願っています。その為に、他の生徒の目を気にする事の無い場所で存分にお互いの想いを伝えるべきだと思いましたわ」


「なるほど。それで、このサロンに目を付けたのか」


「ええ。・・・上手くいくと良いんですけれど」


 私はお菓子に夢中でハロルド様の言葉すら逃してしまっていたので、当然、ミイナとウィルネスター様が何を話していたのか分かりませんわ。



「ところで」


 唐突に声を出したハロルド様に、全員の視線が向かいました。


「皆は、マリーナ・ロマンヌ嬢について、何か知っているか?」


「え?」


 何を言っているんでしょう?マリーナ・ロマンヌ嬢について?知っている事?


「ルド。話が見えないんだけど、どういう事?」


 その後、ハロルド様は説明を始めました。内容としては、私の癪気体を治せる存在が彼女である事、その為に私と彼女がお互いを信頼し合う関係になる必要がある事、といったものです。

 

「ララリアはこの事を分かっていたみたいだけど、何故か俺達には話してくれなかった。でも、知ったからには協力したいと思ってる。それで、良ければウィルとミイナ嬢にも手を貸して欲しいんだ」


「ああ、もちろんだよ」


「ええ、当然です」


 どうして今まで話してくれなかったの、と言いながら2人は快諾しました。


 私は・・・混乱していました。確かに、皆に協力してもらえば上手くいく確率は上がるかもしれません。早い段階で仲良くなれるかもしれません。それは本望です。私が1番に望んでいる事です。ですが・・・。ですが、それによって、ハロルド様、そしてウィルネスター様までもが、ヒロインであるマリーナ様との接触を余儀なくされます。それは、1番避けたい事ですわ。・・やっぱり嫌ですもの。


 私の頭の中で混乱が収まらず、うーーん、と唸っていると、ウィルネスター様が何かを思い出したようで、「あっ」、と声を出されました。


「そういえば、マリーナ・ロマンヌ嬢は、サーン伯爵子息と幼馴染だと聞いた事があるな。名は、ビトレイだったかな」


「・・え?・・・え?!!」


「ララリア?驚きすぎじゃないか?」


 ハロルド様に少し怪訝な顔を向けられましたが、気にしている場合ではありません。マリーナ様とビトレイ・サーン様が幼馴染?!そんな設定、『フラロマ』にはありませんでしたわ!どうなっているんでしょう?


 私の混乱はますます出口を見失ってしまいました。






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