ずっと前から分かってる
困りましたわ。マリーナ様ともっとお近づきになりたいのですが、前回のようにハロルド様と引き合わせる事がないよう注意を払っておりますと、全くマリーナ様の元へ行けません。私がハロルド様から隠れてC組へ向かおうと考える暇も無いほどに、私達はいつも一緒です。ええ、もちろん嬉しいんですけれど。ミイナやウィルネスター様と一緒に行動する事も多く、充実した毎日です。
ただ!私はそんなに悠長にしている暇はありません!マリーナ様と仲良くならなければ、私の人生が強制的に終了してしまうんですから!嫌すぎます!
そんな風にもどかしい思いを抱えている時に、私は初めて学園内で倒れました。そして今回もまた、ハロルド様の魔力供給によって体内の魔力を一定量保つ事が出来、魔力欠乏状態から脱したようです。ハロルド様はきっと覚えていらっしゃらないと思いますが、この7年間、全部で87回、私達は魔力供給を行っています。いつからか1回における魔力供給量が少量のそれでは無い事に気付き、また私の意識が存在しない内にその過程全てが済んでいる事が増え、私は途方も無い申し訳なさが募る一方です。
1日の授業を全て終え、私は帰り支度をしているハロルド様の席へ向かいました。
「ハロルド様。今日は魔力供給、ありがとうございました」
「いや、ララリアは気にしなくて良い。それにもう十分慣れてるから」
ハロルド様が軽い冗談のように発した『慣れてる』という言葉が、私の抱える申し訳なさをさらに増長させました。
「・・・。ハロルド様の力となるはずで、そうなるべきだった魔力を、何度も何度も奪ってしまって・・。本当にごめんなさい」
「・・?急にどうしたんだ?」
「ずっと思っていた事よ」
「・・そう。もう1度言うけど、ララリアは気にしなくて良いから。・・・どうしても気になるなら、魔力供給の等価交換として1つ約束して欲しい事があるんだけど、良い?」
「・・等価交換?約束?もちろん良いけれど、何?」
「俺の前から消えないでくれ」
「・・・え?」
ハロルド様が祈るように放った言葉の理解が、上手く出来ませんでした。
「それだけだよ」
そう言ってほほ笑んだハロルド様は、すぐに『さあ帰ろう』と、何事も無かったかのようにいつも通り私と一緒に教室を後にしました。
寮の前で別れ、自室に戻ると、ユノが体調を気遣ってくれました。ユノの淹れてくれるミルクティーはとっても優しい香りで大好きです。そんなミルクティーを楽しみながら、私は先ほどのハロルド様の言葉を思い出していました。初めて聞くような、とっても真剣な声色でしたわ。そんなハロルド様も素敵でした!・・ってこんな事言える雰囲気ではありませんでしたけれど。とにかく、とっても心配させてしまっているって事ですね。
私はシナリオ的にもまだ消えませんけれど、いつか最悪のルートで消えてしまう事のないよう、早く手を打たなければいけませんわ。どうすれば、マリーナ様とお友達になれるんでしょう・・?一度だけご挨拶のようなものはしましたが、あれからすでに3週間程経過してしまっています。
ハロルド様から隠れてマリーナ様にお会いするのも無謀に思えてきました・・。でもやっぱり2人を引き合わせるのは嫌ですわ。ああ、どうしたら良いんでしょうか?!!悠長にしている暇などないと言ったばかりですのに!!




