どうすればいいですか?
ハロルド様との婚約継続が決定して2日が経ちました。今日は久しぶりにミイナ様とお会いしています。お友達になりましょう!という宣言をしてから初めてのお茶会です。当然ウキウキワクワク!・・・という気分になれるはずもなく、私は藁にもすがる思いでハロルド様の事をお話しました。
「まあ・・それは何だか大変な事になってますね・・?」
「そうなんです。うっかり『ハロルド様の近くにいれば辛い事も忘れられる』みたいな事も言ってしまって、ならばハロルド様と私の時間をたくさん作ろう!という結果になってしまい、これから週に1度は必ずお会いできる事になったんです。私としてはそれはもう嬉しいんですよ?私はハロルド様を・・その、お慕いしておりますし・・。好きだって思ってしまいましたからね?そんな方と婚約できて週に1度はお会いできる事になって、本当に幸運だと思っているんです。ただ・・」
「ただ?」
「ただ、そこにハロルド様のお気持ちはほとんど存在していないと思うんです。ハロルド様が婚約を続けたい理由だって私が『結婚相手に当てはまらない相手』だからですもの。私自身に興味や関心など全く無いようで、本当に・・どうしたら良いのか・・。お互いの両親は私達が心を通わせ始めていると考えているようですし、そういう訳では無いんです、なんて口が裂けても言えませんわ」
「それはまた・・難しいお話ですね・・。ですが、婚約破棄を取り消したい、というお2人の願いは無事に叶った、という事ですよね?思惑通りの結果ではないのですか?」
「それはそうなんですけれど・・。何と言えば良いんでしょうか、こう、知らぬ間に周囲の思惑にハマっていた、と言いますか・・。私の病状も今の所は問題視される事なく、このままでは私たち当人、というか主にハロルド様のお気持ちを置いてどんどん進んでしまいそうなんです。そうなればハロルド様はご自身がおっしゃっていた強迫観念からは逃げられない事になります。私達にとってこの婚約は『いつか破棄される事が確定している上での婚約』である事が重要だったんです。ですが優しすぎる私達の家族は『もちろん結婚も視野に入れた上での婚約』を約束したのです。これはハロルド様の予期していなかった展開で、ですが後にも引けない状況でしたから・・・。うう・・どうしたら良いんでしょう・・?」
家族に言えるはずもない内容をミイナ様のお家の庭園で打ち明けました。ハロルド様はめちゃくちゃかっこ良いです。あの方の婚約者が自分だなんて思わず顔がにやけてしまいますわ。でも、この気持ちは明らかに一方通行で、ハロルド様を余計に苦しめてしまうかもしれません。2年程前から婚約者だと言うのに、ハロルド様の性格や好みだってよく知らないですからね・・。何言ってるんだって、相手にされないかもしれません。
私が途方に暮れていると、何かを考えているようであったミイナ様が「そうですわ!」と、突然声を出されました。
「びっくりしました・・。ミイナ様どうされました?」
「あっ、ごめんなさい。私、思いついたんです!これからハロルド様とララリア様は週に1度はお会いなさるんですよね?それならば!お会いする際は何度もララリア様のお気持ちをしっかり伝えてみてはいかがですか?ハロルド様だって最初は婚約や結婚に対して否定的であっても、ララリア様がしっかり『好き』というお気持ちを伝えれば、案外すぐに上手くいくかもしれませんわ!」
「そんな事・・。上手くいくとは思えませんわ」
「ララリア様!何事もやってみなければ分かりません!」
「うっ・・。そうですわね。ミイナ様は意外と行動派なのですね・・?」
「そうでしょうか?考えるのも大切ですが、動いてみないと次に進めない場合だってありますから。・・って、今の言葉はウィルネスター様の受け売りなんです」
ウィルネスター様というのはミイナ様の婚約者であるこの国の第二王子様の事ですわ。
「ミイナ様は第二王子様と良いご関係のようですわね。羨ましいです」
「ありがとうございます。ララリア様もきっと上手くいきますわ。そう信じています」
その後も和やかな雰囲気でミイナ様とお茶を楽しみ、またすぐにお会いしましょう、と約束しました。ミイナ様とお友達になる事が出来て、本当に良かったですわ。家族に話せない事を話せるというのは何とも心強いです。
そしていよいよ明日、ハロルド様が我が家にやって来られます。私は決意しましたわ。ミイナ様の提案して下さった、名付けて『両想いになればオールオッケー☆作戦』を決行します!まずは、私の気持ちを伝えてみようではありませんか!
作戦名ダサいって言ったの誰ですか?聞こえてますよ??




