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流されて異世界
六道勉(29)は書痴である。
電子書籍がどうも合わないのか、古書店に行っては高額な本を手に入れてむさぼるように読んでいた。収入の内、家賃などの必要最低限の費用以外は本に回していたほどだ。
そんな書痴の彼の夢は曰く、「自分専用の図書館、もしくは書庫を持つこと」らしい。
ちなみに「my図書館貯金」は必要最低限の費用に含まれているのであしからず。
その日、俺は疲れていた。一週間の泊まり込みでの仕事の後になぜかごった返す電車に乗って帰ってきたからだ。割と大きな通りの傍を歩いていた、眠気と戦いながら。
そんな日に限って雨は降っているし、トラックが突っ込んでくる。どっかの小説の最強キャラが言っていた、「奇跡は最初に起こるから奇跡なんだ」って。
ということで俺、六道勉は死んだ。
「いややわ、あんた何死んでるんよ~。どんくさい子やな~。」
誰だこの姉ちゃん。
「姉ちゃん言うな!ウチは神様やで!」
あ、すんまそん。
「剣と魔法の世界に行ってまえーーー!」
最後雑かぁぁっぁぁあああああああ
降りていく。闇の中で。