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これは個性だ。大人の決めた物差しで測らないでくれ。

「田端さん、陸上部に入らない?」

「え?」


 隣のクラスの女子生徒に突然声をかけられた。


 体育祭を終えて、私は何故か陸上部からスカウトを受けた。

 だがしかし私は帰宅部だ。お気持ちは嬉しいのだが部活にあまり関心がないので丁重にお断りさせていただいた。

 せめて部活見学だけでも!と言われたけども、私は2年。来年は受験やら就職やらで引退することになる。入ったとしても活動できる期間も僅かのため、やっぱりお断りした。


「そっか……でも気が変わったらいつでも歓迎だからね!」

「あはは……」


 スカウトしてきたのはショートカットが爽やかなTHEスポーツ少女って感じの同級生。断ったにも関わらず、まだ諦めてないようでたまに遭遇すると陸上部の大会のこととか夏休みの合宿楽しいよとか語ってくるが、ほんとに結構です。


 そういや彼女は養護教諭ルートのライバルキャラだったと後で気づいた。従姉妹だったかな。彼が初恋で今も想ってるとかなんとか。 

 養護教諭は女性関係のめんどくさいトラウマ抱えてて、ライバルに打ち勝ってもその先の攻略が大変だったことを憶えている。



 それはそうと私は夏休み、おこづかい稼ぎをすると決めているのだ。なのでバイト探しをしている。

 親にその事を話したらあまり賛成じゃないようであった。最近物入りが激しく、色々買いたいものがあること。社会勉強として働いてみたいことをそれらしく説明したら渋々了承してくれた。 

 子供の自立と思って賛成するものじゃないのだろうかこういうの。

 何故急にバイトしたいと思ったのかというと、私は今親に養ってもらっている身分の為、欲しいものがあっても我慢することも多く、それが地味にストレスに感じていた。そこで私は働ける年齢なんだし自分で稼げば良いじゃん!と結論に至ったのである。

 両親のお陰で何不自由のない生活をさせてもらってると思う。だがそれとこれとは別なのだ。


 高校生ができるバイトと言えば接客業か工場系だな。……この髪色だから制限されるかもしれない。

 イメチェンが仇となるとは。




 そういえば夏休みとあまり関係ないが、最近のヒロインちゃんはというと、色んな攻略対象者と接触しているのを見かける。


 ──現に今も。



「ごっ、ごめんなさい!」

「いや、俺も不注意だった。すまん」


 ヒロインちゃんは攻略対象の兄貴タイプ風紀副委員長と抱き合っていた。

 いや、語弊があるな、ぶつかって転けそうになったヒロインちゃんを風紀副委員長が受け止めたといったところか。


(……でもここってチューイベントじゃなかったっけ??)


 勢い余って二人は倒れ込み事故チューするはずなのにそれがない。

 思いっきり傍観を楽しんでいる私はなるべく気配を消しながら二人の横を通りすぎようとした。

  

ガシッ


「……何ですか風紀副委員長様」

「田端、何度言えばわかる。その髪の色は校則違反だと」

「え? それいつ言いましたっけ? 地球が何回廻ったとき?」

「屁理屈をこねるんじゃない。指導室にくるんだ」

「私だけじゃないっすよ! 逆えこひいき反対!! 良いじゃん髪の色くらい! 個性大事!」

 

 意味がわからない。なんで私の髪色に突っ込むんだ。

 お前はヒロインちゃんとイベントしてろよ!!

 そしてそれを私に見せろよ!


 ズルズル連行されていく途中でヒロインちゃんを見ると、彼女は私たちを見てオロオロしていた。

 何その困り顔。かわいいな。




 指導室は蒸し暑かった。

 入ってすぐに風紀副委員長が窓を開けたけど、暑い空気が入ってくるのみである。私はげんなりした。

 そんな私のことなど気にして無いかのように風紀副委員長は椅子に座り、私にも座るように勧めてくる。相手はなんだか思い詰めたような顔をしているが、別に私の髪が金でもピンクでも彼が困ったことになることはないと思うのだが。


 ……暑い。教室に置いてある自分用の扇子が恋しくなる。今度から持ち歩こうと考えていると、風紀副委員長が重苦しく口を開いた。


「……なぁ田端。お前一年の時は何の違反もしていなかったよな? 今になってどうして?」

「あー……」


 またかめんどくさいなーと思いながら私は自分の毛先を弄ぶ。


「だって弟と違って私平凡顔なんですもん。前のままだと比較されるに決まってるじゃないですか」

「……比べられてきたのか」

「当たり前じゃないですか。親類、ご近所、クラスメイトに教師たち。幼いころから日常茶飯事ですよ。これは私の鎧なんですよー」


 重い話にならないように茶化しながら話したつもりだったが、風紀副委員長はだんだん顔が強ばってきている。

 おいどうした。


(そういや真面目キャラだもんなこの人。……今何て返すか悩んでるな絶対)


 私は思わず顔をひきつらせた。

 別に哀れみを買うために言ったんじゃないんだけど。


「…あのー」

「そうか、お前も苦労してきたんだな……」

「あん?」

「わかるぞ。辛いよな。……俺でよければ話を聞くから」


 なんか慰められた上に、同感されたんだけど。




 そんでメル友になりました。

 意味わからないと思うが、私が一番よくわかっていない。

 なんでやねん。


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