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攻略対象の影薄い姉になったけど、モブってなにしたらいいの?  作者: スズキアカネ
続編

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147/303

乙女ゲームの橘亮介ルート【ヒロイン視点】

 ──体育祭逆転のチャンスなのに私はここぞという時に転けてしまった。

 もうやだな。なんで私こんなにドジなんだろう。


【大丈夫か?】

【あっ橘先輩!】


 ──同じ1000メートルリレー出場者の橘先輩が私の元へ駆けつけてくれた。彼はしゃがんで私の足を診てくれていたが、私が痛みに呻いたのを見るなり、私をお姫様抱っこした。


【きゃあ!】

【救護所に行くだけだから暴れるなよ】

【わ、私歩けます!】

【いいから大人しくしていろ】


 ──軽々と私を抱っこして先輩が救護所まで連れて行ってくれた。

 保健室の先生に手当をしてもらっている間に1000メートルリレーは終わってしまっていた。私は棄権という扱いで、代走者が走ってくれたけど結局私達は逆転は出来ずに体育祭は最下位で終わってしまった。

 同じブロックの生徒達からのブーイングを物ともせず、橘先輩は堂々としていた。私のせいなのに気にした素振りもなく、ただ前を見据えている。

 彼にお礼を言わなければと思った私は足を引きずりながら彼にお礼を言いにいった。


【あのっ橘先輩! …ありがとうございました】

【気にするな。足、早く治るといいな】


 ──彼の微笑みに私の心臓が大きく跳ねた気がした。





 ──私は急いでいた。お母さんが作ってくれたお弁当を忘れてしまったので売店に走って向かっていたのだが、お昼の売店は戦場だ。急がないと食べ物類は売り切れてしまう。

 売店のことを考えて急いでいたから角の向こうから人が来てるなんて確認せずに走っていた。


ドンッ

【! きゃあ!】

【!?】


 ──廊下の曲がり角で誰かとぶつかってしまった私は、前のめりに倒れ込んでしまった。咄嗟に私を庇おうとした目の前の人物を巻き込んで。

 地面に倒れ込む前に私を庇った人が下敷きになってくれたので体は痛くなかった。

 だけど唇にふにゅっとした感触を感じて私は衝撃に備えて閉じていた目を開いた。

 目の前に人の目があって、相手と目がバッチリ合った。


【!? きゃあ! すみません私ったら!】

【…いや、こちらこそ不注意だった…すまん…】


 ──相手は橘先輩だった。事故ではあるが私は彼とキスをしてしまったのだ。

 いけない、私なんてことをしてしまったの!?

 平謝りする私に橘先輩はオロオロとしながら許してくれた。

 なんて優しい人なんだろう。この間もそうだったけど先輩は人に優しい人だな。


 ──初めてのキスがこんな事故キスだったのはショックだったけど、相手が橘先輩だったからそんなに悲しくはなかった。





 ──二学期になって、新学期早々文化祭のクラスの出し物についての話し合いがされた。

 うちのクラスではお化け屋敷をすることになっている。何のコスプレをしようかな。

 ワクワクしながら文化祭のことを考えていたのが災いしたのか、私は階段から足を踏み外してしまった。


【きゃっ…】


 ──結構高い位置からの落下だった。手摺てすりに掴まろうにも私の体は既に宙に投げ出されている。

 踊り場に叩きつけられるのを覚悟して目をつぶった私だったが、数秒後私の体はたくましい腕に抱きとめられた。


ドサッ

【……全く、お前はドジだな】

【橘先輩!】


 ──私を受け止めてくれたのは橘先輩だった。彼は私を呆れた目で見下ろしてくる。

 ドジなのは否めないけど、わざとではない。

 …自分のドジさ加減に嫌気が差してきた。


【すいません…ありがとうございます】

【ちゃんと前と足元を見て歩け】

【はい…】

 

 ──先輩に注意されながらも、私の胸がドキドキしてその心臓の音が先輩にバレているんじゃないかとヒヤヒヤした。





 ──お化け屋敷のコスプレをした私はその格好のまま宣伝用チラシを配って回っていた。

 すると何故か不良に絡まれてしまった。


【君可愛いねぇ〜】

【一緒に回らない?】

【や、やめてください!】


 ──相手は下卑た目で私を見下ろしてくる。それが気持ち悪くて、私の腕を掴む相手の手を振り払おうとしたが中々外れない。

 誰かに助けを求めるにも人がいない所まで来てしまったらしく、私は追い詰められていた。


【おい、なにしているんだ】

【あ゛ぁ?】

【先輩!】


 ──そこに現れたのは橘先輩だった。

 彼は不良と顔見知りらしく、簡単にあしらってしまった。

 その見事なあしらい方に私は彼に尊敬の眼差しを送った。だけど彼は私をまた呆れた目で見下ろしてきた。


【そんな格好で人気のない場所に行くからこうなるんだぞ】

【う…すみません…】

【ほら、こっちだ】


 ──先輩は私の手を引いて文化祭開催中のエリアへと誘導してくれた。一人で歩いている私を哀れんだのか、その後一緒に文化祭を見て回ってくれた。

 とても楽しくて、先輩ともっと仲良くなれた気がする。





ドタン!


 ──球技大会のバスケットボールに出場した私。

 だけど私はドジだ。ここでもそのドジさを全開にしてしまっていた。


【…大丈夫か? 立てるか?】

【あ、足が…】

【捻挫したか。待て、動かすな】


 ──『キャーッ』とどこからか女の子の悲鳴が耳に入ってきた。

 だけど私はそれどころじゃなく、またもや橘先輩にお姫様抱っこをされていたのだ。

 今の私には橘先輩しか見えていなかった。

 胸がキュンとして、彼のことを考えると切なくて苦しい。



 ──私は、橘先輩に恋をしていた。





【先輩! これ受け取ってください!】

【…ありがとう】


 ──バレンタイン時期。

 先輩はもう既に沢山のチョコレートを大勢の女の子から受け取っていたが、私の差し出したチョコレートを受け取ってくれた。

 もうすぐ卒業してしまう先輩。

 卒業したら会えなくなってしまう。

 私は、急に寂しくなってしまって彼を見上げると、先輩は首を傾げていた。


【先輩、受験本番までもうすぐですけど、焦らずに頑張ってくださいね!】

【あぁ頑張るよ】


 ──卒業前にこの想いを告げよう。悔いを残さないように。

 だけど今は彼の邪魔になるから伝えない。

 

【あの、卒業式の時にお話があるのでお時間を少し頂けませんか?】


 ──先輩にそうお願いしたら彼は快諾してくれた。

 




 ──卒業式を終え、卒業生である三年生が去ってしまった三年の教室はガランとしていて静寂に満ちていた。

 それが寂しく感じたが、私は目の前にいる橘先輩に勇気を出してこの想いを告白した。


【私っ橘先輩が好きです!】


 ──心臓がドキドキして仕方なかった。

 目の前の先輩を見るのが怖くて俯いたまま告白してしまったのが悔やまれるが、想いを伝えることが出来て本当に良かった。

 先輩の返事を待つ時間が妙に長く感じた。


【…俺もだ。本橋】

【…! 先輩…】


 ──先輩も私と同じ気持ちでいてくれた。

 嬉しくて私の涙が止まらない。

 先輩に抱き寄せられ、彼と見つめ合うとどちらともなく顔を近づけて2回目のキスを交わした……





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