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童話

リックとゆいちゃん

作者: 功刀攸

 さんさんと降り注ぐ太陽の下、ごろりと寝転ぶまあるい毛玉がいた。

 名前はリック。猫のリック。大好きなものは飼い主のゆいちゃんと煮干し。そして、お昼寝だ。

「リックー! リックんー? リッちゃーん!」

 にゃっ! ゆいちゃんが僕の名前を呼んでいる。

 まあるい毛玉のリックは耳をぴくぴく動かし、起き上がると体をぐーんと伸ばした。

 前足、後ろ足、背中とお腹に長い尻尾を伸ばし終わると、ゆいちゃんのいる方へとリックは歩き出す。

「あっ、リック。お昼寝してたの?」

 にゃあん。そうだよ、お昼寝していたの。とっても気持ちよかったよ!

 ごろごろと喉を鳴らし、リックは頭をなでるゆいちゃんの手に頭をすり寄せる。なでなで、すりすり、ごーろごろ。

 そしてリックは、ゆいちゃんの膝の上にごろりと寝転んだ。

「んふふー。リック、アンモニャイトだねー!」

 ゆいちゃんはご機嫌そうに笑って、ごろごろと甘えるリックの頭や背中をなでた。

 アンモニャイトとはリックがまあるく寝転んだ姿が、まあるいアンモナイトのように見えると名付けられたあだ名だ。

 リックはアンモナイトがどういうものなのか知らないけれど、ゆいちゃんが楽しそうだから気にしない。

 ごーろごろと喉を鳴らしながら、リックはゆいちゃんになでられ続ける。

 その時、ママがゆいちゃんを呼んだ。

「ゆいちゃん、ちょこっとお手伝いしてほし

 いなー」

「はーい! リック、ちょっと待っててね」

 みっ! 分かったよ、ゆいちゃん。

 リックがゆいちゃんの膝の上から下りると、ゆいちゃんはママのいるキッチンの方へ走って行った。

 キッチンからはおいしそうな匂いがしてくる。今日の夕飯はなんだろう?

 にゃーにゃにゃ。それじゃあ僕はなにをしようか。

 にゃ? お昼寝?

 うなな? ご飯を食べる?

 にゃにゃにゃ? 猫じゃらしで遊ぶ?

 みゃっ! そうだ、煮干しを食べよう。

 リックはゆいちゃんとママのいるキッチンへ向かい、煮干しをもらうことにした。

 ぽてぽて、ぽてぽて。キッチンへ向かうとゆいちゃんはママのお手伝いをしている。

 どうやらニンジンとジャガイモの皮を剥いているようだ。

 なあんー。マーマ!

「あら、リック。どうしたの?」

 にゃっにゃっ。煮干しをちょーだい!

 カシカシカシ。煮干しの入った袋が置いてある食器棚に爪研ぎをするように、リックは前足を動かした。右、左、右左。

「煮干しが欲しいのね。ちょっと待ってて」

 リックが煮干しを求めていることに気づいたママは、食器棚から煮干しの入った袋を取りだしてリックの前に煮干しを一つかみ置く。

「今日はこれで最後よ」

 にゃー。はあい、ママ。ありがとう、ママ!

 煮干しをくれたママの手に、リックは頭をすりすり、喉をごーろごろ。ママの足に尻尾をしゅるりと巻き付けた。

 そして、煮干しをポリポリカリカリバリバリ食べているうちに、ゆいちゃんのお手伝いが終わったようだ。

「リックは煮干しが大好きだね」

 にゃー! 煮干しも大好きだけど、ゆいちゃんとお昼寝も大好きだよ!

 リックは優しく頭をなでるゆいちゃんの手に、頭をすりすり。

 ご機嫌そうに喉を鳴らしていると、ゆいちゃんがリックを抱っこした。

「私もリックが大好きだよー!」

 にゃあーにゃ! 僕もだよ!

 リックの鼻とゆいちゃんの鼻がこっつんこ。リックのほっぺとゆいちゃんのほっぺがすーりすり。

 猫のリックは飼い主のゆいちゃんが大好き。

 そしてゆいちゃんも、猫のリックが大好きなんだ!

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