噂その⑤『ドリームキャッスルの拷問部屋』
タクヤ「銃の撃ち方は？」
夢「実践で」
タクヤ「なぜ防弾だと思った？」
夢「銃の強さを熟知していたから」
タクヤ「なぜ熟知している？」
夢「実践で」
タクヤ「…」
「…これを見てくれるか？」
夢「…？」
チーム②は、ドリームキャッスルへ
ソウスケ「拷問部屋…どう思いますか？」
里村「まさかあるとは思えないがな…」
「あの殺人鬼が言うんだったら間違いねえよな」
ソウスケ「『攻略はしたが最後に記憶を消された』」
「随分都合のいい記憶喪失だと思いません？」
里村「本人の前で言うなよ…」
「俺らは『戦闘』は出来ても『暗殺』は出来ねえ」
ソウスケ「はい」
里村「消される前に消すのが一番いいんだが…」
「倒せそうにもないか」
ソウスケ「ですね」
「…着きましたね」
里村「さて、あいつらがミラーハウスで飯食ってる間に、とっとと片付けようぜ」
ソウスケ「ですね…片づけましょう」
…ドガッ
鈍い音がした…
「ただし貴方を…ね」
里村「…⁉︎」
「ソウ…スケくん…何してる？」
ソウスケ「だから片づけたんですよ」
「あ な た を」
里村「な…ぜ…」
バタッ
ソウスケ「大丈夫…死にやしません」
「あいつが許せばね…」
ドガッ‼︎
夢「…え？」
「血…？」
ドガッ‼︎
夢「ウギャア⁉︎」
タクヤ「ごめんな夢ちゃん」
「どうしても邪魔なんだよ」
「君も里村さんも」
「…アオツメグサ置いとくね」
夢「なん…で…」
タクヤ「なんでか…それはな」
「気づいてしまったんだよ」
「『銃が一番有効な事に』」
夢「は…？」
今までわかった事は…
この裏野ドリームランドは、裏世界の塊だということ
夢ちゃんが攻略できたのは何故か？
体力とか身のこなしとか、必要ないということだ
なら、持ってるいるのは『暗殺技術』
『子供は死ぬ』と警告したのは何故か
死の危険性を感じ取ったから
つまり、持ち前の暗殺技術で生き残ったということ
タクヤ「ここまでは初日でわかっていたんだよ」
夢「どうやっ…て…」
タクヤ「警視庁の極秘資料でさぁ」
「取り逃がした」
「って書いてたんだよね」
「10歳がなんで指名手配されたのか」
「気になって調べたら『殺人鬼』だってさ」
「こんな可愛らしい女の子がねえ…」
夢〔くそ…しくじった！〕
〔まさかタクヤが…いや、よく考えれば〕
〔本当はソウスケの方がありえない〕
〔もっとはやく気づけたのに！〕
「まさか真正面から石で殴ってくるなんて…」
タクヤ「思わないよな」
「そして重心を後ろに寄せたから逃げれなかったよな…残念でした」
夢〔やばい…意識が…〕
タクヤ「反省なら夢の中でやっときな」
「ま、所詮殺人鬼だって賢さには敵わないか」
「じゃあな」
夢〔お兄…ちゃん…〕
てくてくてくてく…
タクヤ「！」
ソウスケ「！」
タクヤ「ふ…ふは」
ソウスケ「あははは」
2人「あははははははははははははは」
ソウスケ「考えること同じだな〜俺ら！」
タクヤ「全くだな」
ソウスケ「さあ行こうぜ」
タクヤ「ああ」
銃も手に入れたことだし…
裏野ドリームキャッスル
この地下室に拷問部屋があるという…
『今度確かめに行ってみるよ』
タクヤ「問題はこれだ」
ソウスケ「夢ちゃんが書いたランドの謎…」
「だが、この資料はあくまでネットで『噂』という形になったものだ」
「つまり…」
タクヤ「カタギの者がいるかもしれない」
ソウスケ「…まさかな」
「ここは第四のアトラクションだぜ」
「ここまで銃無しで進んで来れるなんて」
「考えられない」
タクヤ「だろうな」
「『子供がいなくなる』と『アクアツアー』は解けて当然…だが、『ジェットコースター』と『ミラーハウス』は正直『銃無し』じゃあ無理だ」
「たまたま2人で来ていた」
「たまたま裏世界の人間が半分攻略してくれていた」
それらによる『ラッキー』はおそらくもう来ない！
ソウスケ「ドリームキャッスル…」
「砂漠の中の夢の城」
タクヤ「毒入りのオアシスって所か」
ソウスケ「気ィ引き締めて行こう」
タクヤ「そうだな」
ギギギギ…
ソウスケ「開いた！」
タクヤ「拷問部屋になっている…」
「この言い回しは、『今も使われている』という風にも取れる…」
「さあ、地下へ…」
ソウスケ「…なあ」
タクヤ「？」
ソウスケ「あれって…」
タクヤ「…‼︎」
「ス…スタンプラリーの…ポイント⁉︎」
ソウスケ「おいおいおいおい」
「これじゃあ答えが無くても行けちまうぞ？」
タクヤ「…おかしい」
ありえない…
なぜ…？
…罠か
「俺たちは裏野ドリームランドの調査をする」
それは、噂とか謎とかより前からある大前提。
タクヤ「はあ…最悪だ」
「行くぞ」
ソウスケ「え…でもあれはどう考えても罠…」
タクヤ「仕方ないだろ」
てくてくてくてく
ガッシャーン‼︎!!!!!!!
…！
タクヤ「今のは…！」
ソウスケ「へ？なにがだ？」
タクヤ「馬鹿！気づいてないのか⁉︎」
「うしろ！」
ソウスケ「！あれは…」
『俺たちが入って来た扉が閉まった⁉︎』
タクヤ「くそ！」
「ソウスケ！銃で扉を破壊しろ！」
「ここにいるとまずい！」
ソウスケ「なにかあったのか⁉︎」
タクヤ「上‼︎」
ソウスケ「上…？…⁉︎」
「は…針山…⁉︎」
タクヤ「この部屋は巨大な『鉄の処女』だ！」
「お前のスタンプは押しとくから、早く！」
ポンッ
ポンッ
バキュン！
バキュン！
ソウスケ「お前暇そうだな⁉︎」
タクヤ「じゃあどけ！」
ソウスケ「え…？」
タクヤ「飛び…蹴り‼︎」
ドンッ‼︎
…
タクヤ「だ…駄目だ！」
ミラーハウスと同じ色…これはヒントか⁉︎
ここも防弾！
「なら！ソウスケ！針を撃て！」
「どこでもいい！」
ソウスケ「わ…分かった」
バキュン
バキュン
バキュン
ソウスケ「折れないぜ⁉︎」
タクヤ「…ええ⁉︎」
針まで…防弾だと⁉︎
そんな馬鹿な⁉︎
はっ！
上…
もう頭上10メートルほどまで来ている！
どうする…どうする⁉︎
地下室…ここは、玄関に見えて地下室だった…
『アイアンメイデン』を攻略するには…⁉︎
…やはり銃だ！
タクヤ「ソウスケ！手当たり次第に部屋中撃ちまくれ！」
ソウスケ「おう！」
バキュン
…
「…弾切れだ⁉︎」
タクヤ「大丈夫…もう問題ない」
「1発でいい」
「俺の6発があれば…！」
バキュン!
バキュン!!
バキュン!!!
バキュン!!!!
バキュン!!!!!
バキュン!!!!!!
「隣の部屋が見つかるはずだ」
ソウスケ「隣の部屋…？」
タクヤ「ああ。」
ガラガラガラ…
ソウスケ「ああ！壁が！」
崩れて…横に空間が！
タクヤ「逃げるぞ！」
ソウスケ「おお！」
……
タクヤ「あれを見ろソウスケ」
「スタンプが置いてあった台がバキバキだろ？」
ソウスケ「！本当だ！」
タクヤ「…恐らく裏世界の人間が動かしてるんだ」
「この部屋を」
「あの台は…他のと比べてかなり綺麗だった」
「新品のように…」
ソウスケ「そっから、部屋を管理する人間がいることに推理し、横に空間があることに気づいた…か」
タクヤ「今回は本当に危なかった」
ソウスケ「だな…はっ！」
タクヤ「？どうしたんだ？」
ソウスケ「この部屋を管理する奴は、何処にいるんだ？もしかして今も見られて…？」
タクヤ「かもしれない…とっととずらかろう」
ソウスケ「ひえええ」
タクヤ「…」
…言えない
ソウスケは親友だから
俺が撃たせた5発の音を聞いて部屋に来た犯人は、
覗き穴でこちらを見ていた
壁側にいた俺は、『偶然にも目が合った』
だが、それは指示した後のこと…
俺が距離を置いた少し後に、ソウスケは…
『覗き穴にピンポイントで弾丸をぶち込んだ』
本当にたまたま…
だって、夢ちゃんとは違い、
ソウスケは銃のコントロールが効かないから
…いや、俺のせいか
俺が覗き穴の逆に移動したから…
ソウスケはそっちを撃った…
“もう問題ない”
“俺の6発があれば”
うやむやにできる…
もしなにかあっても…
偶然と信じてもらえる
ソウスケに罪はない…でも、だからと言って、
そこで死んでるなんて言えない
君はずっと死体の横にいただなんて、
言えない…
