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噂その③『アクアツアーの不気味な生き物』

タクヤ「ふ〜…ご飯久しぶりだ」


夢「私も生き返る〜」


ソウスケ「喜んでもらえて何よりだ」


「めっちゃ食うなお前ら」


「そんで、これ」




『この写真を見てください』


『こ、この子は…!』


『夢!夢じゃないですか!』


『はい。この子はまだ生きています』

『ですが…』

『訳あって命が危ないので、病院が預かっています』


『看護が終わり次第、帰ってくるでしょう』


『良かった…生きていたのね…夢…』



ソウスケ「で、この後泣いてた。」


夢「おとうさん…おかあさん…」


ソウスケ「ハイ次!」


ガチャ


タクヤ「ライターか」


ソウスケ「そして…」


ゴロ


ゴロゴロゴロ


タクヤ「花火玉!完璧だ!」


夢「さっすがお兄ちゃん!」


ソウスケ「ふふん」





起爆まで、3、2、1


ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン



夢「ちょっと離れた所から、た〜まや〜」


ソウスケ「か〜ぎや〜」


タクヤ「よし、これで、」

「ジェットコースターはもう動かない」


〔薬物も、粉塵爆発によって跡形もなくなった…〕


ソウスケ「…」



ー1時間前ー


夢「あ!来た!ソウスケお兄ちゃんー!」


ソウスケ「あれ…夢ちゃん!」


夢「いや〜待ってたよ〜」

「でねでね…」



ー現在ー


ソウスケ「なあ、タクヤ」


タクヤ「なんだ?」


ソウスケ「もうやめとこう」


タクヤ「え…?」


ソウスケ「これ以上踏み込むのは危険だ」


タクヤ「何を言ってる?」


ソウスケ「夢ちゃんから聞いたぞ」

「第1の謎の答え…」


タクヤ「ああそれか。大丈夫だぜ、結構簡単だった」


ソウスケ「簡単かどうかは知らない」

「でも、お前は夢ちゃんにこんなことも伝言させた」


「裏社会が絡んでいる危険性があること」


タクヤ「お前ンちはヤクザだ」

「だから、万が一恨まれても大丈夫だと判断した」


ソウスケ「…そういう問題じゃない」


「そしてもう一つ」


「あのジェットコースターはまず薬物で幻覚を見せ、『人間2人分の体重』がないと開かないからくりの扉で閉じ込める、『2人いないと詰む』場所だった」


「お前は運じゃなく実力で生きて帰れたのか?」


「もし俺がいなかったら」


「その事を知らなかったら」


「考えただけでゾッとする」


タクヤ「それは問題無かったじゃないか」

「お前がいたから勝てた」

「もう、終わったことだ」


ソウスケ「でも、ラッキーはいつまでも続かない」


タクヤ「だから、命を落とす前に帰ろうと」


「『ここから出られない』は嘘っぱちだったから」


夢「え⁉︎そうなの⁉︎」


ソウスケ「アトラクションで死んでいただけ…飢え死になんて、誰もしていない、と思う」


「なぜなら、死体がない」


「なあ夢ちゃん、これが意味する事がわかるか?」


夢「死体がない…誰も死んでない?」

「いやでも、出て来た人はいない…あれ?」


ソウスケ「夢ちゃんは、なんで『鳩に手紙』を託した人がいるって分かったんだ?」


夢「それは、手紙を持って来た人がいたから…」


ソウスケ「じゃあ、なんでその人はその『貴重な紙』を持って来たと思う?」


夢「コピーだったとか…」


ソウスケ「だよな」

「でも、よく考えると、おかしい」


「なんで、コピーするのか」


「なんで、鳩が持ってた紙をそんなに重要だと考えたのか」


夢「…?」

「頭パンクしそう」


ソウスケ「というかそもそも、お前わかってるか?」


タクヤ「なにが」


ソウスケ「裏社会の話」


タクヤ「さあな、俺は真っ当な人間だからな」


ソウスケ「…なんで、鳩を託した人は来たと思う?」


「噂以外の理由があったはずだ」


「裏社会の理由が」


タクヤ「今の俺たちには関係ないからな」

「ちゃんと考えたことはなかった」


ソウスケ「裏野ドリームランドの調査以外の目的」


「噂になる前ならそれしかない」


タクヤ「…何が言いたい?」


ソウスケ「夢ちゃんだったんだろ?」


タクヤ「え」


ソウスケ「最初にここに来たのは」


夢「…」


ソウスケ「…」


タクヤ「…」


夢「…うん!そうだよ」


2人「‼︎」


ソウスケ「やっぱりな…」


「木村夢…その歳にして、既に『10人』の人間を殺害したことがあるって…本当だったんだな」


タクヤ「…⁈」


「何を言ってる⁉︎」


夢「どうして分かったの?」


「両親には『口封じ』をしておいたんだけど」


タクヤ〔口封じ…⁉︎〕


ソウスケ「俺らの業界じゃ結構有名だったらしい」


「夢」


「随分かわいい偽名だな」


夢「本名も知ってる?」


ソウスケ「知ってるよ『殺人鬼』」


夢「面白い冗談だね」


タクヤ「おい待て‼︎」


ソウスケ「?」


夢「どうしたの?」


タクヤ「お前らな、冗談だろ?」


「俺を出し抜こうたってそうはいかねえぞ」


ソウスケ「……」


タクヤ「……」


ソウスケ「…ふ」


「はっはっはー!バレてたかー!」


「そーだよ!演技だよ演技!お返しだぜ!」


夢「だぜ!」


タクヤ「…は」


「や…やられた…」


「完全に信じ込んでた」


ソウスケ「会心!ってやつだな!」


タクヤ「あはは…」


「うまいな」




「…じゃあ、アクアツアーにいくぞ!」


2人「うん!」



ソウスケ〔……〕


〔全部真実なんだ〕


〔ごめんな。騙して。〕


夢「…なんのつもり?」


ソウスケ「あいつを巻き込みたくないんだよ」







…ソウスケの言ってたことが本当なら…


…もし本当に裏世界が関わっていたら…




…このドリームランドの何処かに


裏世界の人間がいることになる



そして…



タクヤ「第2」

「謎の生物が住み着くプール」


ソウスケ「さ、パッと終わらせようぜ!」


夢「いっえーい!」


タクヤ「そうだな」


「…ってあれ?…あれは…」


ぎゅおおおおおああ


3人「な…」



「なんかいるー⁉︎」


ギュああああああ


ソウスケ「なあ2人とも…あれって…」


タクヤ「いや、見間違いだろう」


夢「あれってさ…」


タクヤ「いや。見間違いだ」


ソウスケ「あれ『クジラ』だよな」


3人「…」


タクヤ「いや、見間違いだ。」


「『シロナガスクジラ』なんてここにはいなかった」


ソウスケ「…スタンプ押してずらかろう」


夢「でもお兄ちゃんたち」


「あれ…」


どん


ア、アクアツアーの途中(つまり水上)にスタンプ押し場が…


ソウスケ「ここはもしかしてネタなのかな?」


タクヤ「つまりクジラに乗ってスタンプを押すと」


ソウスケ「あそこにボートが」


夢「何いってるの!」


ソウスケ「?」


タクヤ「ボートは沈没するかもしれない」


ソウスケ「クジラだって沈没するぜ」


タクヤ「クジラは沈没じゃないから」


「潜るから」


ソウスケ「同じだっつーの」


夢「あ、手が滑った★」


どんバッシャーン


ソウスケ「うわあああああああああああ」

「ふざけんなてめえらああああああああああ」


ゴポゴポ


タクヤ「達者でな」


そこにいたのはホエール


ソウスケ〔だいたいなんでクジラがいるんだよ!〕


〔ふざけんなよおおおおおお…〕


…はっ


まさか…捕鯨…?


これも犯罪の一種か…?


…世話は誰がしている?


なぜ3年間も生きている?


…いやまてよ


クジラってのは基本海の中にいる


だが、クジラの住むような海ほど、


このアクアツアーのプールは深くない…


どういうことだ?まさか…


タクヤ「生きてるかー?」


プハアッ


ソウスケ「死ぬかと思った」

「それよりタクヤ、この辺りに…」


クローバーがないか調べてくれ!


ただし、ライターを持ってな!


さて…


クジラよオ


かわいそうにな…


噂とか謎とか言われてたよ


お前はここにいてはいけないんだよな


お前は…


ポンッ


ソウスケ「スタンプゲット」


「大人しくしてくれてありがとう」




てくてく…


夢「ねえタクヤ」


タクヤ「なんだ?」


夢「いま何か向こうで動いたような…」


タクヤ「こ、怖いこというなよ」


ガサガサ…


夢「私だって言いたくないよ」

「『でも私が話すのはほんとうの事だけなの』」


タクヤ「まさか…!」


ガサガサ…


裏世界の人間か⁉︎


⁇「…な」


「なんだ‼︎てめえらはよオ‼︎」


「こ…こっち来んじゃねえ!」


タクヤ「止まれといわれて止まるバカはいねえよ!」


⁇「ちげえ!ライターを置け!」


2人「‼︎」


⁇「これが燃えたらどうすんだ!」


タクヤ「それって…クローバーか?」


ソウスケ「タクヤ、もういい」


タクヤ「ソウスケ!」


ソウスケ「これが相手に渡ってなくて良かった」


「安心してくれ、この人は父さんの部下だ」


タクヤ「…なんだ、ヤクザの方だったのか」


組員「坊主、なんでここに?」


ソウスケ「ああ、組長に頼まれたんでな」


夢「ねえお兄ちゃん」


ソウスケ「…」


夢「なんで『アオツメグサ』を知ってるの?」


タクヤ〔アオツメグサ…?〕

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