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噂その①『廃園になった理由』

組長「…では、つまり君は手伝ってくれるということだね?御上タクヤくん…」


タクヤ「はい。」


組長「あの場所は危険だ…充分に気をつけてくれたまえ。すでに何人かの行方不明者がうちのモンからも出ている…」


タクヤ「…ソウスケくんの頼みですので。」


組長「健闘を祈る」



〜夜8時〜

ソウスケのバイクで移動中


ビュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ


ソウスケ「裏野ドリームランドの廃墟は、裏野市の北のほうにあった!大して遠くないから、通えるな!」


タクヤ「え⁉︎なんて⁉︎風で聞こえん⁉︎お前スピード出し過ぎだぜ‼︎」


ソウスケ「え⁉︎なんだって‼︎」


タクヤ「え⁉︎」


ソウスケ「…」

タクヤ「…」


10分後


ソウスケ「到着だぜ」


タクヤ「ここがそうか…」


ソウスケ「まあ、行こうぜ」


タクヤ「不気味だ…」



ソウスケ「さて、ここでおさらいだ。」


タクヤ「裏野ドリームランドにまつわる七つの噂…」


ソウスケ「今日から調査するのは、その①」


2人「「『子供がいなくなる』」」


タクヤ「どこをどう調査すればいいか…」


ソウスケ「深く考えても仕方ないぜ」


タクヤ「…それもそうか」


その時だった


⁇「ねえねえお兄ちゃんたち!」

「こんばんは!どうしたの?」



突然の声


突然の声!


突然の声‼︎




2人「……⁉︎」


ソウスケ「だ…」

「誰だー‼︎誰かいるのかー‼︎」

「出てこいー‼︎出て来やがれー‼︎」

タクヤ「ソウスケ!背中を合わせて‼︎」


そこにいたのは、可愛らしい少女だった。


⁇「お兄ちゃんたち、そんなに怖がらなくてもいいよ、私はお化けじゃないよ。」


タクヤ「幽霊など信じていない!」


⁇「話が進まないじゃない…」


ソウスケ「なぜ園内からでてくる⁉︎」


⁇「それはね、私がここに住んでるからだよ!」



タクヤ「…住んでる?」


⁇「うん!住んでるよ!」


ソウスケ「そんなわけあるか!潰れたテーマパークで生活ができるか!」


⁇「できるよ〜…だって、商品が残ってるもの!」


タクヤ「?商品?そんなものもうあるわけ…」


ソウスケ「ねえだろ!」


⁇「あるよー…見せないけどね」


2人「…⁉︎」


タクヤ「ちょっと待て!」


⁇「…うん。」


ソウスケ「見せないけどねってのはどういう事だ?」


⁇「だってぇ…ここに来る人はみんなお腹が空いてるから!私に何も言わずに食べちゃうんだよ?毎回毎回毎回毎回…もう学習したんだからね!」


タクヤ〔お腹が空いてる…?〕


ソウスケ「食べねえから…案内しろや」


⁇「駄目」


タクヤ「商品の問題じゃないのか?」


⁇「違うよ〜もっと…大変な問題だよ〜」

「それより、もうあたしの事怖くないでしょ?」


タクヤ「……」


ソウスケ「タクヤ、こいつからは『幽霊感』がしない…この子本当に遊園地に住んでるんじゃないのか?だってほら、足があるぜ。」


タクヤ「幽霊に足がないという考えは、昔の画家が考えたモノだ。『コーラ』のCMで赤い服着たサンタが登場したからサンタ=赤い服になったっていう話みたいなもん…だから足があったって、幽霊の可能性は否めない…」


ソウスケ「…じゃあ幽霊って誰が考えたんだ?」


タクヤ「……(2回目)」



⁇「お兄ちゃんたち、ランドに入っちゃダメだよ」


ソウスケ「…大変な問題ってやつのせいか?」


⁇「うん。」


タクヤ「じゃあこうしよう、その『大変な問題』を教えてくれたら帰る、でどうだ?」


⁇「…わかった。言うね?」


ゴクリ


「ここにくる人たちはみんな、そのお兄ちゃんの持ってる紙を持ってきたんだ。」


ソウスケ「『行方不明件数』か…」


⁇「でもルールを守らないからみんな死んじゃった」


2人「⁉︎」

〔死…⁉︎〕


⁇「言ったでしょ?みんなお腹がすいて死んじゃうの。この遊園地から脱出するには、とあるルールを守らないといけないのよ。でないと、一生遊園地をさまよわなくてはならないの。それを守らなかった…」


タクヤ「る、ルールって…?」


⁇「スタンプラリーをする事」


ソウスケ「…なんだ簡単じゃないか」


⁇「簡単じゃないよ!」


タクヤ「スタンプラリーをすればいいんじゃないのか?」


⁇「お兄ちゃんたちも知ってて来たんでしょ?」

「六つの噂!」


「あれは開園していた時のスタンプラリーのあった場所にあるんだよ!」


ソウスケ「あれ?七つじゃなかったっけ?」


⁇「…?六つのはずだよ?」


タクヤ〔…こいつ!まさか…〕


「まあいい…本当か?」

「当時のスタンプラリーと『噂の謎』が連動しているというのは…確かなんだろうな?」


⁇「うん、本当だよ。」

「ランドの中に地図がある。見せないけど。」


ソウスケ「…つまりどういうことだ?」


タクヤ「…一度ランドに入れば、スタンプラリーをせざるを得なくなり、スタンプラリーをすれば、その謎に出会い、その謎を解けなければ、死ぬ…!」


「前に進めなくなって、空腹で飢えて死ぬ!」


ソウスケ「…ッ⁉︎」


⁇「あたしは玄関先から動かないから(スタンプラリーを始めないから)無事だけど…謎の調査をしに行った人たちが帰って来た事を見た事がないの。」


「多分死んでるよ」


「でも一度だけ『手紙』を鳩に持たせて『謎』の事を伝えた人がいたの。まだ帰って来てないけど、その人が『噂』の発信源だよ…」


「お兄ちゃんたちはどうするの?」


2人「…」


ソウスケ「どおするよ」


タクヤ「…やめたほうがいいと思うが…」

「…ひとつ考えがある。」


ソウスケ「?」


タクヤ「なあ、君の名前を教えてくれないか?」


⁇「…」


タクヤ「言いたくなくても言ってもらう」


⁇「…あたしは『夢』DREAMの夢よ」


タクヤ「ありがとう」

「では、今日は帰るとするよ」


夢「ありがとう…」



〜数分後〜


ブロロロロロロロ


ソウスケ「DREAMとは…何か思い出すような…」


タクヤ「ドリームランドだろ」


ソウスケ「ああ。それか。」


タクヤ「…今日はすごい収穫があったな」

「たった1人の少女から…」


ソウスケ「ああ…俺らには荷が重いということがわかったからな…」


タクヤ「…?」


ソウスケ「え?違うのか?」


タクヤ「何を言っているソウスケ?」

「僕たちは既に第一の謎を解いたじゃないか」

「むしろ荷は軽いと思うぞ…知らんけど」


ソウスケ「解いた?いつ?」


タクヤ「さっき言ってただろ?六つって…夢ちゃんは『子供がいなくなる』という噂を知らなかった」


「場所が指定されていないからスタンプラリーとは連動していない…」


「だが、『子供はいなくなる』という事実はあると、先人が言ってる…」


「つまり『子供がいなくなる』は大前提!ということは、ここでいう『子供』は、年齢的な子供じゃなくて、『青い』という意味…」


「謎が解けない奴は消える(死ぬ)という意味じゃないだろうか」


ソウスケ「…!」


タクヤ「おそらく、六つの謎を箇条書きにしてその上に警告を書いて鳩に託したんだろう」


ソウスケ「じゃあ、その先人が六つの謎の答えを書かなかったのはなんでだ?次に来る人はさっさと進めるんだぜ?」


タクヤ「謎がほとんどわかっていて、あとひとつなら、自分でもいける!って思うだろ?」


ソウスケ「ああ…」


タクヤ「でも、六つも謎がわかっていないなら、やめとこうと思う人が大半だ。きっと、六つとも解けるという絶対的な自信がある人しか、来てほしくないということだろう。」


ソウスケ「なるほど…」


タクヤ「廃園した理由の方の『子供がいなくなる』は、その時目覚めつつあった、それぞれの謎に巻き込まれたんだろうな…親が無事だったケースの人たちが裁判が起こしただけ…でもそれは正解だったようだ」


ソウスケ「じ、じゃあ夢ちゃんは?」


タクヤ「ほらスマホ…今開いてるページみな」

「ちょっとハックして見てみた」


ソウスケ「【警視庁極秘ページ】

『木村 夢』…テーマパークにて行方不明…生きているなら現在は13歳…」


「木村 夢⁉︎夢⁉︎DREAMの夢だ⁉︎」


タクヤ「13歳っぽく見えなかったのは…まともな食料を食べてないからだな。やはり幽霊ではない」


ソウスケ「3年間…食料が持つのか?」


タクヤ「到底思えないな…」

「まさか製造ラインを使って自分で商品を作って食べてるか?」


「商品というからには、それしか思いつかない…」


ソウスケ「謎が増えたな…でも、そのページに《死亡済み》とか書いてなくて良かったぜ」


タクヤ「だな…」

「それに、僕らもあの場所に置いて来てしまうところ、大丈夫そうに見えたということだからな…」


「そうだ!明日は学校休むぞソウスケ!」


ソウスケ「ゲーセン?」


タクヤ「いやなんでだよ」

「このタイミングで遊びには行かないわ」


ソウスケ「冗談だぜ…日中に行くのか?」


タクヤ「そうだな…夢ちゃんの写真を撮りたい」


ソウスケ「ロリコンか?」


タクヤ「いやなんでだよ」

「写真に映るか試したいんだ」


ソウスケ「なるほど…」


タクヤ「そして、もうひとつ行き先はある」

「まあ、明日に言うよ」


ソウスケ「じゃあ明日朝8時あたりでお前ん家集合でいいか?」


タクヤ「ああ…」


ソウスケ「言い訳はどおするんだ?」


タクヤ「まあ、何とかなるだろう。うちの電話線を切っておけば…あとは『医大受験をサボった杉原千畝』のように、弁当だけ食べとけばいい。」


ソウスケ「へ、へえ。」


タクヤ「そういえば、風があんまり吹いてないな」


ソウスケ「今11時か〜」


タクヤ「…え?」


ソウスケ「どしたん?」


タクヤ「深夜徘徊じゃん…補導じゃん…」

〔親になんて言おう〕


ソウスケ「ああ!マジだ!」


タクヤ「ああ僕のスクールライフが…」

「絶対見つかるなよ⁉︎」


ソウスケ「わかってるぜ…気をつけてる」

「ポリ公に見つからないようにな…」


タクヤ「お前それ盗車じゃないだろうな?」


ソウスケ「ちげーよ」


タクヤ「まあいい…気をつけてよな!」


ソウスケ「わーってるよ!」

「俺だって無免なんだぜ⁉︎」







タクヤ「え…?」

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