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魔法学園2

イロハは堂々とし、威圧的な声で名前を呼ばれ、思わずビクンと反応してしまう。

「魔力への目覚め、それはあくまで過程。彼ら彼女らの器となりうるよう耐えうるようまずは魔法に体を慣らす、そして次第に心を侵食し、やがては彼らそのものとなる。」

エレベーターは最上階へと到着する。エレベータの保護障壁は消え去ると、標高5000mの薄く冷たい風が流れ込んでくる。

「なんだここは外か!どうなっている!」

「イロハ!」

小太郎はイロハの首に巻きつき、暖を取らせようとするが、首元だけでは耐えられない

『ふん、仕方がない。この寒さにやられて風邪でも引かれてもたまらない。イロハ私の言うとおりにしろ、心配するな。身を守るだけだ。』

アステリアに言われるがまま、手をかざすとオレンジ色の薄い球体がイロハを多い、強風を退け、あたりの空気が地上と変わらない暖かさに満たさせる。

「だが、だが、だがしかし、

恐れることはない、全てが予定通りだとしても我らにはわれらの意志がある!

そして人類には私たちがついている、臆することはない姫君!

我ら神託委員会、クゥ文明の古代種に君たちを好き勝ったにはさせはしない!」

マントを靡かせた大男が何かを言っているが、風の音で何も聞こえず、誰も反応できない。

「……どうした若人たちよ!」

「……」

何かを言っているのだろうが、地声では、届きはしない。

それどころか、迂闊にイロハから離れてしまった小太郎が風に飛ばされそうで、大騒ぎ、小さく拍手を送る菅野以外、誰も雲の合間から見えるこの男の顔を見てはいない。

仕方がないと男はシャッターを閉める。

できるなら最初からしろと全員が白けた目で男を見つめる。

変な人で済まされるレベルを超え、何考えてんだよという目で菅野以外の全員が見つめる。

「……よ、ようこそ、人類の英知の極み、バベルの頂上へ、私がこの魔法学園都市の学園長、ヒルベルトだ!」

「……」

「おっさん、その前にいう事があるだろ!この俺が危うく飛ばされる所だったんだぞ!」

小太郎はブチ切れながら、ヒルベルトに近づき、かわいい声で威嚇する。

「…大丈夫か?しゃべる獣よ。使い魔か?」

「そうじゃないだろ!ごめんなさいだろ!おっさん、まともに謝れもしないのか!」

「しかしこれは不可抗力、」

「どこが不可抗力だよ!最初から閉めとけばいいだろ!それ以前に、なんでここまで呼び出した、あんたが降りてくればすむ話だろう、あれか!馬鹿と煙は高いところが好きか!」

『まさに私の言った通りじゃな、』

「小太郎君、落ち着いて!」

イロハが小太郎を落ち着かせようとすると、小太郎は、無理やり、イロハの襟を無理やり広げて、服の中に入ろうとする。

「何やっている小太郎!」

怒ろうとする恋夜だが、どうやら本気で飛ばされると怖かったようで、イロハは小太郎を落ち着かせるため、恋夜を制止し、小太郎のしっぽを撫でてあげる。

「エキノコックス、」

「失礼な、この誇り高き九尾の末裔の私たちは京都出身、そんな病気にはかかっていない!」

「でも、母ちゃん、昔、酔った勢いで、付き合った流れ者にうつされたって、」

「……」

「下品ですわ。行きずりの男となんて母親としての自覚はないのですか」

「人間の文化で考えるんじゃない。この男日照り、いや干ばつか、」

「な、あなた、」

菅野とヒナギクの言い争いが始まりそうな中、落ち着きを取り戻した小太郎は何かを感じ取ったかのようにイロハから抜け出し、ヒルベルトに近寄っていく。

「な、なんだね。」

ヒルベルトの匂いを嗅ぐような動作を見せる。

「おっさん、悪いと思っているのか?」

「あ、あぁ、思っているとも、このヒルベルト嘘はつかん。」

「だったらそのマントのポケットに入っている物をよこしな、それで許してやる。」

「こ、これは、」

「いいからよこせ、」

小太郎がここ一番の動きを見せ、ヒルベルトの隠しポケットから何かを奪い取る、それはコンビニの袋、中にはから揚げ棒やらハムカツなど、コンビニのジャンクフードが、

「へへ、いい物もらい、許してやるよおっさん。」

「ヒルベルト学長!隠れてこのようなものを、あれほど塩分と油分の高いものは控える様にと、いいですか、学園長の栄養管理はこの私が、」

「す、すまない。あまりに待ち時間がないもので、つい下で」

「711、ここにもあるんだ。」

イロハはその見覚えのある袋に、素直に感心する。

「つい、じゃありません。いいですか、あなたは人類の宝、このようなものを食べ寿命を、」説教をされるヒルベルトの横で、小太郎は満足げにジャンクフードを食べつくす。

「おっさんもいろいろ大変だな、偉くなっても好きなもの一つ食べれないのか。」

結局怒られる事15分。恋夜がイラつき始める中、話は再開した。

「それでは改めて、よく来たな若人たちよ。学園長として君たちを歓迎する。」

「はぁ、」

既にマントだけでは威厳を保つことができない。

「ここまでの道中、ここがどういう場所かは菅野君から聞いていると思うので詳細は省かせてもらう。一二美イロハ君。」

「はい、」

「そしてそのガーディアン、日内恋夜君。」

「……」

「君たちをこの学園の生徒として正式に認めよう、」

「ヒルベルト学園長、そんなあっさりと、」

「本能に従え、見たまえ、彼らの目を彼らが悪人に見えるか?」

菅野は恋夜を見つめてしまう。

「確かにイロハ君のような例は極めて珍しい、いや初めてといっていい。古代種がここまで明確に顕現し、かつ融合することなく独立している。今までの私の研究からすれば特異点と言ってもいい存在だ。」

「すみません。」

「君が謝ることではない。悪く聞こえるかもしれないが、貴重な観察対象だ。」

「お前、」

「落ち着き給え、恋夜君、男なら常に余裕を見せるものだ。すぐに感情的になる男は持てないぞ、常に余裕を見せたまえ、安心感こそ男に求められるものだ。私のようにな」

その年でそんな恰好をしている男にどこに安心感があるのか

「なに、そう怒るな。別に私たちは君たちを実験動物などと思ってはない。

君たちに安全に教育を受けさせる。それが大人の務めだ。その上、完全な覚醒を阻止する。

その為にもイロハ君の事をよく知ることは必要。違うかね?君たちはここで大いに学び、大いに遊べ、君たちはここで一度失いかけた青春を謳歌すればいい。」

「青春を謳歌って、」

恋夜は馬鹿にするように溜息をつく、だが、イロハと同じ制服を着て一緒に登校したり、学校の授業を受けたり、青春、その言葉を馬鹿にしながらも恋夜は期待する。

「そうして私のような立派な大人になるのだ。」

どうしてもそこが引っ掛かる。

ヒルベルトに言われるままに、イロハたちはアンティークでもないのに600万円するという正気とは思えない高さのソファーに座り、空気中に映し出された紙の質感再現した宙に舞う資料に目をやる

「さて恋夜君の魔力適性はD。ガーディアンとしては異例の低さだ。正直伸びしろも期待できないとなっている。それでもガーディアンとしてやっていくつもりかね」

「そんな事は関係ありません。イロハさんの事は俺が守ります。」

魔力適性などなくて当然、元よりの才能以前に、魔術に触れたこともない。

だが、恋夜には感情以上に、そう言えるだけの経験があった。

「……そうか、ならば何もいう事はない。」

「イロハさん、あなたも本当にいいの?

こっちでガーディアン候補を選定してもいいのよ。あなたが力に目覚めてまだ間もない、今ならまだ契約解除もできなくはない。それは人間関係ですから相性の問題もあるけれど、自分の身を守ることなの、よく考えて」

菅野は恋夜がガーディアンになることに反対だ。

データの全てが恋夜のガーディアンであることを否定している。

恋夜の思いは理解できても、二人にとってそれが最善でないことは明白。

イロハの為にも、恋夜の為にも、

「私は恋夜さんがいいんです。」

だが、彼女の目に迷いはない、彼女の言葉に迷いはない。

そこまで明言するのなら、と、菅野監視官も大人しく引き下がろうとした時

「ところでガーディアンって何ですかよくわかってないんですけど」

恋夜達の説明不足にからくる思いがけないイロハの言葉に、菅野は溜息をつく。

「ガーディアンは魔女や魔人を守るいわば、従僕、いえ失礼、いわばパートナー。契約に基づき、その身も魂も捧げる者の事を言います。

その力は魔女の守護者にふさわしいもの、才のあるものは魔女と同等の力を手にします。

しかし、契約は軽いものでありません。主が死ねばガーディアンも死ぬ。主の命令は絶対。その身を賭けて主に従属する。命を対価にした力と理解してください。」

「そんな、私そんなつもりは、」

その通り、イロハにはそんなつもりはない。事情の分かっている恋夜やヒナギクの助言に従いガーディアンの契約を結んだ事にするようにと言われただけだ。

「なら、彼のガーディアン契約を取り消す?まだ契約の刻印も魂には届いていないはず、」

「無駄だ。私がいるのだぞ、お前ら人間如きで私の従僕の証を消せるとでも?何なら試してみるか、どんな災いが降りかかるかは知らんがな。」

アステリアは笑いながら調圧する。

『なんだ。忌子、私がお前の味方をするというのが納得いかないようだな?』

アステリアは恋夜の思考に直接語り掛ける。

『こっちを見るな、聞け。私としても迂闊に他の者を招き入れたくはない。何よりイロハは私の体。余計な契約などしてもらっては困る。いいか、これは命令ではなく、契約だ。一見一方的に見える契約でも、契約である以上関係は対等だ。お前らでいうところのガーディアンは命にかけて主を守る。逆に主もまたそれ相応の対価を支払うことになる。

この体にそのようなものを刻まれてはたまったものではない。

まぁ、こいつらも含め、人間はまだそのことに気づいていないようだがな』

「……ならば仕方がありません。恋夜さん。あなたは命を懸けて彼女を守りなさい。」

恋夜は言われるまでもないと睨みつけるように言われるまでもないと言葉を返す。


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