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変化2

「なっ!」

3人は突然達が上がったえび天に驚きを隠せない、

「な、なんであなたがここにいるの」

「ちょっと凛清、いきなり動くな、本気で危なかっただろう!」

素早く耳かきをどけるが、今までで一番、心臓がどきどきしている

「ちょっとえび天さん。何を」

「イロハちゃん、なんでここに!」

「……深淵を覗く者は深淵から覗かれている。痴態をさらしたな青髪。」

「ご、誤解ですよ。私たちは覗いてなんかしてないですから、怪しい人影が見えたからであって、別に、お二人がいるなんて、」

「別にあわてなくていいわよ。別に覗かれて困るようなことはしてないから、今はね。」

「ほお、余裕だな嬢ちゃん。」

「昔から、人に見られるのには慣れているわ。それに私たちはキスくらい当たり前だし、何なら後学のために見せてあげようか?イロハちゃんが期待してるようなこと」

「な、何を、」

「あら、人に見られたら、できないの、そんなタマじゃないでしょ、」

凛清が立ち上がった流星の肩に手を置き、耳を噛むと、流星はその場に座り込む

「ほら、これだけでその気になる。」

「嬢ちゃん、顔に見合わず、なかなかSだね」

「失礼ね。本来はドMよ、支配されるのに弱いの。実は怒ってるの?分かる?」

「それは悪かったな。」

「ご、ごめんなさい。」

「別にイロハちゃんにはそれほど怒ってないわよ。怒っているのはこの変態野郎」

怒ってはいるのだとイロハは委縮してしまう。

「変態とは失礼な、快楽をつかさどる物として情欲に溺れた人の営みに興味をもって何が悪い。イカ天の力で真の恐怖を知ったのだろう、失う事への実感、だからこそ、なお今という時の価値が増す。なんだったら手伝ってやろうか、史上最高の快楽を見せてやる。

もっとも、その命を対価としていただくがな。」

「貴様、」

流星は箒を顕現させ、今まで以上に鋭い目つきでえび天を睨みつける。が、効果がない。

「結構です。私たちはあなたが思うほど堕落はしていない。お互いが一緒にいる時間に価値がある、そう考えているわ。で、用件は何?もしそんな私たちの邪魔をするなら。

無事では済まないわよ。」

凛清も魔女の力を、覚醒させ、えび天を威嚇する。イロハもそれに当てられ、そそくさと二人の方に移動し、魔方陣を展開する。

だが、えび天は少しも表情も変えず、大きく欠伸をする。

「粋がんなよ、ガキが、俺と兄者にお前ら如きが勝てるわけねぇだろ。覚悟が違う、才が違う、価値観が違う、心構えの次元が違うんだよ!」

えび天がガンを飛ばすと、ただそれだけの事で、3人の戦闘態勢は強制的に解除され、戦う意志が本人の意志とは関係なくおられ、無意識に腰を抜かし座り込んでしまう。

「俺の前に立っていいのは本物だけだ。本物だけが俺のメンチとタメはれんだ」

『イロハ!変われ!』

アステリアの叫び声がイロハの頭に入ってこない。思考が恐怖によって支配されている

「心配するなよ。今はどうもしやしねぇさ、今はな、それより伝言頼めるか?」

「で、伝言だと?」

「あぁ、もう一人、野郎がいただろ、兄者からあいつへの伝言だ。

『約束はした、だが、雲行きはよくない。このまま茨の主が自らの棘をこの世界に広めるのなら、俺たちの出番だ。秩序あってこそ人は人たりえる。足掻いて見せろこれは警告だ。」

「それだけか、何の話だ?」

「言えば伝わるだとよ。じゃあな邪魔して悪かったな」

「……どうしして恋夜さんに何ですか」

去ろうとするえび天にイロハが声をかける。

「侑季ちゃんの事どうして、恋夜君に何ですか?」

「……その眼、何か勘違いをしているだな。答えは簡単だ、あいつだけが本物だからだ。」

「本物?」

「俺たちと同じ、一線を超える事のできる覚悟をもっている。つまりは化け物だ。」

「恋夜君はあなたたちとは違う。」

「……別にどう思おうと好きにすればいいさ、それで何が変わるわけでもない。」

3人の間をすり抜け飛び上がり、この空中庭園の縁に足をかけ、見下ろしながらえび天は凛清に声をかける

「おい嬢ちゃん、少しでも長生きしたいなら、そのガキ連れてすぐにここを出ろ。間のなくここは俺たちの狩場になる。元々大人の汚い欲が満ちたこの場所。モルモットのまま死にたくないだろ。じゃあな。」

そう言い残すとえび天はヒャッハーという奇声と共に消える様にいなくなった。

結局3人が動けるようになったのは昼休み終了間際。イロハは午後の授業をお腹を減らしたまま受けることになり、胃袋からのシュプレヒコールで大恥をかくことになる。


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