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ハイド・ウィーカー!  作者: 七氏
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二話 えっ、そういう王国?

第二話です!

ここで主人公の権能が明らかに....

次の瞬間、颯斗の目の前には自分の部屋があった。

見慣れた自分の部屋に安堵を感じたのだが同時に少し違和感を感じる。

その違和感の正体はすぐに理解できた。部屋中の物が颯斗を中心に少しずつ近づいてきている・・・・否、この部屋が颯斗を中心に縮んでいるのだ。

このままじゃ潰されると思い動こうとするが体が動かない。

そのうち不意に引き寄せられるように猛烈な速度で終わりが近づいてきた。

颯斗が最後に見たのは目の前に飛び込んできたライトスタンドの光で―――


目の前の光が弱まったのを感じ閉じていた瞼を開けると・・そこは工房みたいな場所だった。

・・・・言いたいことや考える事は沢山あるが取り敢えず状況を整理しよう。


「確か、陽介達とは別の魔法陣によって異世界に転移させらせたんだよな・・・」


「ねぇ」


「見たところこの祭壇で召喚されたらしいな・・・明らかに人一人分は入る程度の面積・・・」


「ねぇってば」


「でも念願の異世界に来れただけでも感謝すべきか・・・」


「ねえって言ってるでしょ!!」


「わぁっ!?・・・って七海か・・・・驚かせるなよ・・・・って・・・

な、ななななな七海ぃ!?」


行方不明になり死亡届が出されたかつての幼馴染み・・・なのに異世界にて目の前で膨れている綾瀬(あやせ) 七海(ななみ)の姿を見て俺は二重に驚いた。


「え、おま、何で!?ちょっ・・・・お前は確か・・・」


死んだ筈じゃ、と続けようとした言葉を七海は手で制した。


「落ち着いて、颯斗・・・まずは最初から説明するから、ね?」


「お、おう・・・・」




七海の話によれば、何でも部屋に居たら突然魔法陣が現れて召喚されたらしい。

そこには王族や後からわかった事だが宮廷魔導師達が居て儀式の結果を見守っていたらしい。

そして勇者になることを告げられ自分が精一杯努力してこの世界を救おうと決意し、頑張ろうとしたのだが・・・・偶然王の思惑を知ってしまい自分が魔王討伐の後には切り捨てられることを悟り、それから宮廷魔導師から魔法を学びある程度習得したところで・・・


「国を逃げ出し時を過ごし俺を召喚して今に至る・・・か。」


七海の家のベランダで星空を見ながら今日聞かされた話を振り返る。

実際のところ俺は七海に助けられたのだ。しかも、望むなら元の世界に送り返してくれるらしい。

まぁ、それも含めて


「そういう王国()に呼び出される予定だった訳か....危ねえ....」


自分なら多分真っ先に役立たず認定されてたであろう。

その証拠は・・・・


「《ステータス》」


―――――――――――――――


タテハラ・ハヤト

性別:男

年齢:17歳

スキル:風魔法Lv.0(適正段階)

道具作成Lv.1

固有スキル:言語理解Lv.5

会話(異界言語)Lv.5

固有スキル:なし

権能: (ハイド)(アウト)


―――――――――――――――


何だこの非戦闘向け確定のステータスは。

唯一戦闘に使えるのと言ったら風魔法位しかないじゃないか。

内心そう思いながらも目の前に浮かび上がるウィンドウの様な物の中で気になるところをタップする。


―――――――――――――――


(ハイド)(アウト)

世界と接続しながら時空魔法では到達できない地点に存在する異空間の管理権。

所有者の意思によりいつでも移動が可能。

尚、譲渡は不可能。所有者が死ぬまでこの権能が所有者から離れることは無い。


―――――――――――――――


「まぁ、チートっちゃチートだが・・・」


期待してたのと違う。

そんなことを考えていると・・


「颯斗、夕ご飯の支度できたから・・・」


「あぁ、分かった。すぐ行く。」


七海の料理なんて久しぶりだ、なんて思いながら颯斗はリビングがある1階への階段を降りた。



「それで、答えは決まった?」


やはり美味しかった夕食を食べ終えた後、七海は俺に決断を聞いた。


「あぁ、俺はこの世界で生きる。」


「良いの?ここは元の世界より危険だよ?」


「それは分かってる。でも俺はこの世界で生き抜いてみせる。死ぬのは真っ平御免だ。

それに・・・・・



ファンタジー溢れる異世界で暮らすのって俺の密かな願望なんだよな!」


にっ、と笑い自身の一番の本音を言う。

期待外れだってファンタジーがある異世界だ。それにいつか戦闘向けのチートスキルが手に入るかもしれない。

そんな宛のないことを思いながら。

それを見た七海は少し虚をつかれたように驚きはぁ、と溜息をついて


「分かった、颯斗の願いを尊重する。」


「あぁ、ありがとう。」


「・・ところで、明日はどうする?」


「あ、風魔法を教えてくれないか?異世界なんだし魔法の一つ位使ってみたい。」


「了解。言っておくけど私の指導は厳しいからね?」


意地悪な笑みを浮かべて言う七海。


「お、お手柔らかにお願いします、師匠〜・・・」


なんて大袈裟におどけてみせる俺。


「――くすっ」「――くっ」


「「あっはははははははっ!」」


その後も続いた久しぶりに異世界で会えた幼馴染みとの会話はとても幸せな時間だった。

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