表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/43

披露宴そして出発《たびだち》~感謝をこめて~

「キレーイ!さすが怜羅!」

「やっぱりウエディングドレスって良いよね~。」

新婦の友人席で声が上がる。

「綺麗な嫁さんだな。」

「あんな綺麗な嫁さんなら、俺も結婚したい。」

新郎の友人席でも声が上がる。

「黙っていれば美男美女ですな。」

会社関係の席では毒舌が上がる。

披露宴もいよいよ終盤。余興もスピーチも堪能して、最後は急遽、手紙を読むことにした。手紙を読むのだけは止めてくれと、父から言われていたが、きちんとお礼を言うタイミングを逃したままなので。後悔したくないから。こういう時のために用意してあった手紙を読むことにした。


「それでは、新婦からのお手紙をお願いします。」

会場がシーンとする中、怜羅が立ち上がり、マイクを持つ。


『本当は手紙は読まない約束だったのに、破ってごめんなさい。きちんと挨拶ができないまま、今日も式場へ出発してしまったので、用意しておいた手紙を読むことにしました。小さなときから、病気やケガばかりで、たくさん心配をかけてすみませんでした。気の休まる暇もなかったよね?私が高い熱を出した日や、大きなケガで手術をした日に、徹夜で付き添ってくれたことは、今でも忘れていません。反抗期で口をきかなくなった頃も、黙って見守ってくれましたね。学校から呼び出しを受けた時も、私に代わって頭を下げてくれたこと。あの時はわからなかったけど、誰かのために頭を下げる大変さを知ってから、思い出すたびに反省するばかりでした。あの時はすみませんでした。お父さんとたくさん散歩したことは、今でも楽しい思い出です。お母さんが陰となり日なたとなり、支えてくれたこと、ずっと感謝しています。たくさんケンカしたけど、いつも私の味方をしてくれるお兄ちゃん。ありがとう。私、この家に生まれてきて良かったと、心から感謝しています。25年間お世話になりました。』

涙声になりながらもなんとか読み終えると、両家の両親も智也も泣いていた。ほとんどの招待客が泣いていた。慣れているはずの司会者やスタッフも涙ぐんでいた。

「怜羅さん、ありがとうございました。では、続きまして、新郎新婦からご両親に花束贈呈です。」

花束を抱えて、それぞれの両親の前に進む。智也の両親は笑顔だが、怜羅の両親は、二人で怜羅を抱きしめるようにして泣いた。新居は近いから、これからもすぐに会えるのになぜかさみしい。これが家を出るということなのだろう。


新郎新婦と両親の6人が並んでお辞儀をすると、拍手が上がった。


翌日の午後、空港に両家の面々が勢ぞろいした。ハネムーンの見送りに来たのだ。行き先はオーストラリア。ペンギンが見たいという怜羅のリクエストで決めた。

昨日とは打ってかわって、みんな笑顔だ。チェックインを済ませ、スーツケースを預けてからしばらくおしゃべりを楽しむ。

「気をつけて行ってきてね。」

「暴飲暴食するなよ。」

「写真、見せてね。」

「ペンギン、連れて来ちゃダメだよ?」

みんなが言いたいことを言ううちに時間が過ぎていった。


いよいよ出発。旅慣れた智也に連れられるようにして手荷物検査の列に並ぶ。列の最後尾から振り返ると、みんな手を振っていた。

嬉しいようなちょっとさみしいような出発たびだちだ。怜羅は涙が出そうになって、ごまかすように大きく手を振って出発口へ消えていった。

「行ってきます!」


            〔完〕

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ