披露宴~母へのサプライズ~
入場すると、フラッシュの嵐に迎えられる。カメラマンの他に、スマホやら一眼レフなどなど、カメラがこれでもかというくらいにシャッターを切る。怜羅の色打ち掛けの金色のアクセントが光る。髪飾りのジルコニアもフラッシュを受けていっそう引き立つ。
新郎新婦の紹介、来賓の挨拶が済み、鏡開きをする。
「お二人の初めての共同作業です。」
司会者の声とともに、2人で一つの木槌を振り下ろす。
パカン!小気味よい音がして、清酒の水面がのぞく。この清酒を升に注いで乾杯をするのだ。2人もそれぞれ升を持つ。
「乾杯!」
怜羅のかつての上司の乾杯の音頭で升に口をつけると、食事がスタートし、新郎新婦はお色直しで中座する。
「あー!重かった!」
日本髪のカツラを外して思わず声が出た。さて、などとのんびりしている暇はない。美容師さんが髪型やらメイクを洋装バージョンに変える。髪飾りを付けて、ドレスを着せてもらう。
紺色のサテンがベースのシックなドレスだ。可愛らしいドレスにも惹かれたが、最初に目についたドレスに決めたのだ。
控え室を出ると、タキシードに着替えた智也が待っていた。
「和装も良かったけど、洋装もよくお似合いですね。」
美容師が笑顔で言う。
「当然です!」
智也がまたニカッと笑うと、また一同から笑い声が上がった。
「いよいよだね。」
怜羅が言うと、智也が頷く。そう。いよいよケーキカットなのだ。喜んでくれるだろうか?驚いてくれるだろうか?ドキドキである。
一旦、ひな壇の椅子に座り、スピーチや余興を楽しんでしばらくの後。
「では、ただいまからお二人にケーキカットをしていただきます。カットしたケーキは、お二人からお母様方に最初にプレゼントいたします。」
声とともに大きなケーキが運ばれてくる。スタッフからナイフを手渡され、またたくさんのカメラがぐいぐいと集まってきた。
怜羅がそっと母を見ると、驚いた表情をしていたが、目が合ったときふわっと笑みを返してくれた。
…お母さん、見ていてね。
気持ちを込めて入刀する。フラッシュの中、2枚の皿にカットしたばかりのケーキが乗せられた。そして、2人でその皿を運ぶ。智也は怜羅の母へ。怜羅は智也の母へ。2人の母がケーキを受け取ると拍手が起こった。
「智也くん、どうして?」
「僕たちからのサプライズです。やっぱりお義母さんにはケーキですから。」
「まあ…!」
怜羅の母が微笑むと目の奥で涙が光っていた。ピエールで初めて智也に会った時のことを思い出したのだろう。
ほどなくして二人は、最後のお色直しをして会場に再び現れた。最後は、挙式の時のウエディングドレスとタキシードだ。




