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プレゼントするね。

「ボーナスが入ったら、指輪をプレゼントするね。」

初夏から夏になりたてのある日のこと。シーツにくるまってウトウトしている怜羅の頬に智也がキスして言った。

「ホント?」

「いつも右手の薬指に着けていって。俺の気持ちだから。」

智也は怜羅の右手を大事そうに両手で包み込む。

「おかしなヤツに怜羅のまわりをウロウロされたくないからな。」

実際、怜羅のまわりには“破局報道”以来、そのような男性が常にウロウロしていた。智也は平静を装ってはいるものの、離れている時間が長い分、それなりに嫉妬も心配もしているのだ。


「俺の怜羅。」

そう言って抱きしめる智也の胸は、心地よく、また眠ってしまいそうだった。


ボーナスが入ってすぐの週末。あるジュエリーショップに2人の姿があった。

「俺、よくわかんないから…。」

と言いながらも智也は熱心に見入っている。

「きれーい!」

と連発して怜羅は目を輝かせている。…と、その時。

「こちらは今月の新作です。ご試着だけでもいかがですか?」

「あ!」

その指輪を見ると、2人同時に声を発した。

それは、プラチナ製で、大きめのブルートパーズの指輪。宝石ストーンはハート形のカボションカットなのが、また斬新で、ブルートパーズの上にプラチナのリボンがあしらわれている。何とも気の利いたデザインだ。

「これ、すごく綺麗!」

怜羅は試着をさせてもらうたびに、そっと値札をチェックしていた。無理は言いたくないが、プライドを傷つけたくないからだ。この指輪もそっと値札を見てみる。

…あ。これにしようかな。

見せてもらった指輪の値段の中では、平均くらいだった。そして何より、この宝石ストーンのブルーが気に入った。


「これ、かわいい。智也は気に入るの、あった?」

「イチオシは、これ。これにしようか。」

「うん!これがいいな。」

2人同時に指を指したこの指輪に決めた。

「かしこまりました。サイズのお直しですね。」

店員とサイズの確認をして、店を後にする。

「智也、ありがと。楽しみだね。」

「早く怜羅が着けているところ、見たいな。」

店を出ると、怜羅が智也に腕を絡ませ、2人はこの上なく幸せそうに、街を闊歩していった。


数日後、サイズ直しが済んだ指輪を智也が受け取ってきた。智也は、怜羅の右手に指輪をはめて、そっと唇を重ねる。まるで誓いのキスのようだった。

「左の薬指の分は、もう少し待っててね。」

「はい。」

まだできたての夏の日差しが、ブルートパーズをいっそう輝かせていた。


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