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ご対面 其の2。

「今日はありがとうございました。」

智也が怜羅の母親に頭を下げる。

「こちらこそ。ケーキ美味しかったわ。ありがとう。じゃあ、気をつけてね。」

ピエールの前で二人は母と別れた。

「さてと…。うちのお袋にも会ってもらおうかな。」

上機嫌で車を走らせながら智也が言う。

「いつ?」

「突然だけど、今日はどう?ランチでも。」

「ホントに突然ね。そんなに急に大丈夫なの?」

「お袋のリクエストなんだよ。怜羅さえ良かったら、どう?って言ってるんだ。」

…なんか、急なことだけど、この流れ、乗ってもいいかも!

「じゃあ、喜んで。」

「そうこなくっちゃ!」


少しウロウロしてから、待ち合わせの店に向かう。パスタの有名なカフェ“ベルーガ”に着いた。

「あ。もう来てる。」

カフェに入って、智也が軽く手を上げ、奥に向かって歩いていく。後ろをついて歩き、あるテーブルの前で立ち止まる。

「お待たせ。もう来てたんだね。…岡田怜羅さんです。」

智也の声で、緊張してお辞儀をする。言葉が出ないので、お辞儀で精一杯なのだ。

「こんにちは。智也の母です。」

笑顔で先に言葉をかけてくれた。智也を少しふっくらさせた感じの、優しそうな女性ひとだった。

「はじめまして。岡田怜羅です。」

やっと言葉が出た。怜羅は印象が悪かったらどうしよう、ということで頭がいっぱいだ。

「さあ、座りましょうよ。」

椅子をすすめられて、慌てて座る。緊張したままの怜羅は、座ることすら忘れていたのだ。

「智也から聞きました。クリスチャンだということでご不便をおかけすることはないから大丈夫ですよ。」

「はい。」

「ところで、怜羅さんのお母さんとは、お話しできたの?」

「うん。大丈夫だよ。この俺だもん。」

智也がニヤリとすると、智也の母も笑う。

「まったく。調子いいんだから。この子は!」

怜羅もつられて笑う。やっと緊張がほぐれてきたようだ。

パスタのセットが運ばれてきた。美味しそうな香りが鼻をくすぐる。

「ところで怜羅さん、ご趣味は?」

「はい…?」

うろたえる怜羅を見て、笑う智也。

「お袋、初対面からそういう冗談やめろよ。」

「ドラマみたいに、一回言ってみたかったのよ。ごめんなさいね。ウフフ。」

「ハハハ…。」

慌てて作り笑いをしてみたが、本気で焦った。


「じゃあ、あまり遅くならないうちに送ってあげなさいね。」

ベルーガの前で、智也の母との別れ際。

「怜羅さん、今度は、うちにも来てね。」

「ありがとうございます。」


「なんか、一気に会っちゃったね。」

智也と二人、車を見送り、ホッとして智也の顔を見上げる。

「だな。ウチが、そんな堅い家じゃないってわかってくれた?」

「アハハ。ご趣味をきかれたときは、どうしようかと思ったわ。」

「あれは俺もビックリした。お袋が豹変したのかと…。」

思い出したら、二人とも笑えてきてしまった。

「さ。行こうか。」

笑い涙を拭きながら、智也が車に促す。

車を発進させても、二人でしばらく笑っていた。


「智也、ありがと。」

信号待ちの時。怜羅が手を握ると、智也がそのまま怜羅を引き寄せて頬にキスをした。

「怜羅を俺のものにしたい。」

「いいよ…。」

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