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相談したいことがあるの。

「おはようございます。」

二人は何食わぬ顔で挨拶を交わす。怜羅は照れくさいので目を合わせないようにしているが。

昨日も一日中、智也と過ごして、唇が荒れるほど、たくさんキスをした。だからこそ会社では目を合わせられないのだ。


好きだからこそ、お互いに心配なことが出てきた。

智也の心配ごとは、LINE攻勢の相手。プライドが邪魔して、追求できないのだ。怜羅の心配ごとは、智也がクリスチャンだということ。昨日、智也から聞いたばかりなのだが、昨夜、母親から智也について色々と聞かれて、最初は予想どおり上機嫌だったのだが、クリスチャンだということを話した途端、顔色が変わったのだ。怜羅の両親は“書類に書いて立派な人”が好きなのだが、仏教以外の宗教に偏見を持っている。まだ結婚の口約束をしたことは話してないが、社内恋愛なら結婚の確率は高いので、気がかりなようだ。


昼休み、意を決して、智也にLINEを入れる。

『相談したいことがあるの。夜、電話でもいいから話せる?』

智也が忙しくしているのは知っているし、まだ結婚の段階ではない。だが、早いうちに相談したかったのだ。と同時に、話したらどう反応するのか、とても不安だった。


…相談しても、何もリアクションしなかったら、そこまでの相手だったってこと。そんな程度の相手だった、ってことになる。けど、智也がそうだったら?考えたくない!今また自分は、岐路に立っているのだろうか?


また同じ思いをしたくないという気持ちと、その程度の相手だったんだと、智也に対して見切りをつけられないという気持ちが、怜羅の胸を締め付ける。


お弁当を食べていてもうわの空。返信が来なかったら?ということまで気になりだした。珍しくお弁当を残した上に、デザートのアイスを食べるわけでもなく席を立つ。

「怜羅?どうしたの?」

同期の友人が声をかける。

「ごめん。早めに席に戻るね。」

“放送局”に気づかれて色々と聞かれる前に立ち去りたかった。


ため息混じりにメイクを直していたら返信が入ってきた。

『仕事が終わったら電話するよ。何かあった?』

『じゃあ、電話、待ってるね。』

返信する。


…とにかく、話さなきゃ!


と、気持ちを固めていたところにLINEが入る。

「誰?」

『今日、イタリアンのコースをご馳走したいんだけど、どう?』

懲りない男、田所だった。しばらく既読スルーしていたら、LINE攻勢が治まってホッとしていたが、田所なりに間をおいていただけだったようだ。

『悪いけど、用事があるから。』

『いつも用事あるね。いつならいいの?』

『ずっとダメ。』

『イタリアン嫌い?ベトナム料理は?』

怜羅としては、同期の集まり以外で田所に会うつもりはないのだ。断られても、何も気づかない田所へのイライラが募る。

「ふざけんな!」

思わず、スマホに向かって悪態をつく。どうやら田所には、悪気もなく相手をイライラさせる才能があるようだ。

よりによって、このタイミング。田所の相手をしている余裕なんてないのに。


と、電話の呼び出し音が鳴る。田所だ。やはり、“会う気はない”と、はっきり言うべきのようだ。同期なので、気まずくなるのがイヤで、知らん顔してきたが、この場合、はっきり言った方が良さそうだ。

「…もしもし?」

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