熊と芋、時々苺
それは1つ上の兄・ルガと祖父・アーノルドの畑仕事を手伝っていた時に、表れた。
子熊と視線が有って、子熊は森へ逃げた。
「…あ」
「ビアンカ、どうした?」
問い掛けられ、素直に答えた。
「熊か…ハニーベアか。運の良い」
後で詳しく話してやるからと、種芋を渡された。
2歩間隔で、耕された土において、軽く土を被せた。
日本における何月くらいかと考えて、止めた。
国が違えば、気候風土も違って当たり前だ。
種芋を埋め終え、ルガと一緒にじい様とばあ様の話を聞いていた。
「ハニーベアは賢い熊で、時折人里に表れる
その一方で、繁殖期には近付いたらイカンぞ」
「何でよ?」
「繁殖期や子供を育てている時のハニーベアは凶暴でな…その時期は、キラーベアと呼ばれることもあるからの」
わーお、そんな動物聞いたことないや…
ところで、ここ地球よね?
祖母・レイチェルが用意してくれた昼御飯は、自家製チーズを使ったチーズトーストだ。
パンはそのままだと、固いので顎は鍛えられるよ。
食べ終えたら、ジャムが切れそうと言われた。
ジャムも、自家製のが多いかな
ジャムに使われる果物を採りに、ルガと一緒に森に入った。
奥には行かないように、注意された。
取り敢えず食べられそうな木の実をもいで、かごに並べていく。
オレンジ色の、赤いの紫色の…どれかしらに毒が有ってもおかしくない程度に無知だ。
あとは苺があった。
白くて、やや大振りの苺が目に入った。
無毒、有毒の確認をしてもらうために一旦戻った。
木の実の殆んどは無毒で、いくつかは湯がくことで無毒化する…らしい
「あら珍しい」
そう楽しそうな声で評されたのは、白苺…
「これ食べれるの?」
「食べれるけど、食べたこと無いからねえ…」
その言葉にルガと顔を見合せた。
半分にカットされた苺を食べると、口一杯に甘さと程好い酸味が広がった。
一言で言えば、美味しい
「じいちゃん、これ育てられる?」
ルガは1つ食べるとそう聞いていた。
じい様は、どうかなと言わんばかりに、首を傾げた。
苺を見付けたとこに戻ってきた。
念のため、番犬シリウスと兄ファラオンも道連れだ。
「これがなぁ…」
白苺の熟れた実は無く、まだ青く小さい実が幾つか成っている。
根元から掘り起こした数本の木を、陽当たりの良い場所に植え替えた。
無事に育つかは、一種の賭けとなった。
ハニーベアの生態
メスは、首輪のように首回りのみが白い毛である。
オスは、腹部に大きな円が金茶の毛で表れる。
子熊は雌雄ともに金茶だが、成長と共に黒みを増す。