ライブへ
「ねー、緑川さん。加治さんとケンカでもしたの?」
所長が外回りに出た後、話をしたくて仕方ない様子で、うずうずしていた安西が葉菜に聞いた。その顔にはいやらしい笑顔が隠しきれず、葉菜は気持ちが悪かった。
「? いえ。どうしてですか?」
葉菜は心当たりのない質問に困った顔を見せた。安西はピンクベージュのグロスをたっぷりつけた唇を尖らせていた。
「えー。だって、あんなに“葉菜さん。葉菜さん”って言ってた加治さんが、突然パタリと声をかけなくなったのは、ケンカでもしたんじゃないのかなーって。加治さん、分かりやすい性格だから」
まるで、加治の家族か恋人かのように加治をコンプリートしている安西からそう言われ、葉菜は失笑していた。
「私は、何もしてないですけど。もし、加治さんの中で私のブームみたいなものがあったとしたら、単にそれが終ったんじゃないでしょうか? 例えば、他にいい方が出来たとか」
「ふーん。そーかなぁ……」
安西は腑に落ちない様子で、葉菜の話を聞いていた。
実際、安西が言うように葉菜の自宅に来て依頼、加治の態度は180度変わっていた。ケンカと言うよりは避けられているそんな気がしていた。心当たりと言えば、家に来たときの出来事なのだろうかと葉菜も気にかけたが、加治に対しての非は何一つ見当たらないと思い、下手に声をかけて火に油を注ぐようなら大変と、葉菜は加治に業務連絡以外は関わり合わないでいたのだった。
分かりやすいと言えば、もう1人。高幡の態度も少し変わった様子だった。加治個人が標的にされている様子だが、その飛び火が女性社員にもかかり、いつになく棘のある態度だった。安西曰く「加治さんへの、ヤキモチもしくは、せーり前なんじゃない?」と、女の勘と言う物を働かせていた。
どちらにしても、コミュニケーションがギクシャクしては仕事がし辛い。そんな思いを誰しもが抱えながら、当たり障りないよう仕事をしていた。
「緑川さん、労働局に提出する書類、所長から確認もらえたからこれ出してきて下さい」
高幡は葉菜のデスクへ来ると、茶色の角型の封筒に入った書類を差し出した。元々凛とした顔立ちをしていたが、表情はやはり硬かった。
「はい」
葉菜は、パソコンで書類作成をしていた手を止め、それを受け取った。そうしてパソコンに保存をかけて出かける用意をした。
「労働局、場所分かります?」
高幡は自分の席に戻ると、葉菜に声をかけた。
「はい。交番のある交差点の角ですよね?」
「そう。外、暑くて申し訳ないけど。もしかしたら、混んでるかもしれないですが、お願いします」
労をねぎらう言葉は出るが、高幡の顔からは笑みが見られなかった。葉菜は書類を入れた鞄と日傘を手にして事務所を出た。そのとたん、ムンとした暑さが身体にまとわり付いた。風はなく、日傘を差した日陰が、ほんの少しだけ暑さを解消してくれた。会社から出た広い通りを遠く見ると蜃気楼ができ、アスファルトの上の景色がゆらゆらと揺れて見えた。
歩いて15分ほどの所に、労働局はあった。多少書類を窓口に出すまで待たされたが、無事に労働局に書類を提出しさらに、その書類は無事に係りの窓口を通った。何か分からないことを聞かれてしまったらと少しドキドキしていたが、すんなり通ったことで葉菜はほっと胸を撫で下ろした。
再び、熱気ある街の中を歩き出した。
「葉菜さん?」
後ろから、葉菜を呼ぶ声が聞こえ振り向いた。葉菜の後ろに、加治が立っていた。半袖の爽やかなライトブルーのシャツに深い紺碧色のネクタイを締めていた。笑うでもなく、怒った様子もない顔をして加治は葉菜を見ていた。
「おつかいですか?」
葉菜は加治の言った“おつかい”の表現がなんだか可愛らしく思えた。
「えぇ。労働局に。加治さんは? これからまたお客さんの所ですか?」
加治を見上げた葉菜は、少し笑みを見せて話した。
「そうなんだけど、アポの時間まで少し間開いちゃって……そうだ! 葉菜さん、俺に付き合って」
「え?」
加治はそう言って葉菜を置いて歩き出した。
「加治さんっ?」
「時間、30分だけ。それくらいなら恵ちゃんも目くじら立てないでしょう?」
加治の口から、高幡の名前がちゃん付けで出た事に葉菜は引っ掛かりを感じた。
「あの……加治さん?」
加治はさっさと歩き、近くのカフェに入った。話を聞こうとしないのか、熱くて涼みたいのか分からなかったが、葉菜は小走りで加治の入ったカフェへ行った。店の中は程よく混んでいたが、席はぽつぽつ空いていた。
「葉菜さん、何がいい?」
「え、いいですよ」
「いいから。俺が強引に誘ったんだし。好きなのどーぞ」
カウンターの前に広げられたメニューを覗き込み、アイスソイラテを選んだ。加治は薄っぺらい鞄の中からヴィトンの財布を出すと、葉菜の分まで支払った。
「あそこにしよう」
店の奥のソファー掛けが丁度空き、加治は2人の飲み物の乗ったトレイを運びながらスタスタと席を取った。
「ふー。ひとやすみだ。あー涼しいねー」
腰掛けた加治にソファーは少し低すぎなのか、加治の背丈があるせいか足があまっているのが少し居心地悪そうに見えた。
「あの……加治さん」
「はい。これ、葉菜さんの。どーぞ」
加治は葉菜の言葉を聞き入れず、透明の容器に入ったソイラテを差し出した。
「ありがとうございます」
葉菜がそれを受け取ると、加治はぎこちない顔をして葉菜を見た。
「葉菜さん。俺、葉菜さんのこと好きで、いろいろ知りたいなぁって思う気持ちはあったんだ。あったんだけどさ。好きな人の過去とかって、俺、気にしちゃうタイプだからそういうの聞いちゃうのが怖くてさ。なんつーか。どうしようもないんだけど。そう言うのは理解しているつもりでも、なんていうか、それは葉菜さんの経験した出来事だし、それがあっての今の葉菜さんなんだって、分かってても、こないだお家にお邪魔したときの話聞いて、まだ未消化なんだよね……器ちっさいかなー俺」
加治は顔をくしゃりとして目じりに皺を作り、力なく笑った。
「……私、加治さんの様子が変なのは、てっきり高幡さんと何かあったのではって、さっき恵ちゃんって言ってたでしょう?」
「恵ちゃんって、呼ぶのは葉菜さんも含め女子職員全員名前呼びと、ちゃん付け呼びですよ。所長がいるとね、あの堅物オヤジうるさいから。自分なりにTPOわきまえてるだけです」
加治はまっすぐ葉菜を見ていた。いつものニコニコした態度とは違い、少し真面目に向き合っているその雰囲気が葉菜には落ち着かず、視線を慌てて逸らした。
「けど、何かあったんじゃ。なんていうか、高幡さんいつもと様子違うみたいだから」
「? ……。もしかして、こないだのかな? 俺も、他に心当たりないんだけどさ」
加治は少し考え、思い出しながら話し出した。
「俺が、葉菜さんの家にお邪魔した時。デートって言ったからかな? 恵ちゃんも俺に似て、態度でるし、嫉妬しちゃうんだ。似てるから良く分かる」
葉菜は、楽しそうに高幡の話をしていた。それを見て、どこか胸の中がひんやりと冷たく、淋しさを感じていた。
「じゃぁ、高幡さんは、加治さんの事を……」
「うーん。どーかなぁ……。俺達、付き合ってたけど、随分前に別れたし。その後、俺は彼女いたし。なんだろうね? あー。葉菜さんと一緒だったりして?」
加治は意地悪そうな笑みを浮かべていた。キャラメルフラペチーノを啜るグリーンのストローをギッと白い歯で噛んでいた。
「私と?」
「そう。葉菜さん、傷に塩ぬらせて、痛い思いさせたくないけど。ほら、“死んじゃったキミ”だよ。いつまでも、想ってるって。恵ちゃんももしかして、そーだったりして?」
加治の言い方と雰囲気が、どこか一葉と重なって見えた。葉菜は、チクリと刺さった加治の嫌味をできるだけ、直に受け止めないよう誤魔化した。
「私の事は、別に……。高幡さん……そうなのかしら……」
葉菜は、自分の胸の中が落ち着かなかった。高幡の事を気にかけようと意識を働かせているが、ひっかかっているのは、高幡の様子や、それに伴った会社の雰囲気とかではなく、自分自身の正直な気持ちだった。
加治から視線を外し、目の前にある氷の溶けかけたソイラテをぼんやり見つめながら、葉菜は考えていた。
「動揺している葉菜さん見るのも、いいですね」
加治は、さっきまでの態度とは打って変わって、ニコニコした顔をしていた。
「やめてください。私は、スナオと生きてるんです。それが私だから……」
葉菜は大人しい声を少しだけ勢いつけて言ったが、最後は少し自信なさそうに声が弱くなっていた。加治は力なく笑っていた。小さく頷いていたのは、自分自身に何かを納得させていたようにも見えた。
「その葉菜さんを、俺は好きになった。まだ、未消化ですけどねー。あ、そうだ!」
加治のストレートな言葉に、葉菜は返事の仕様がなかった。気持ちが落ち着かず、困った笑みを見せた。
「葉菜さん、今週の日曜空いてますか? 俺達のバンドライブやるんです。良かったら、見に来て欲しいな! 一葉くんも一緒に!」
「ライブ……? 私、そういうの観にいったことない」
「なら、是非ですよ! ね。イベントのライブだから、何組かバンドが出る中の俺達だから、ちょっと顔出してくれるだけでもいいです」
「……はい。じゃぁ、一葉にも話しておきますね」
少し重い腰の様子にみえた葉菜の言葉を聞き、加治は「よかったー」と、ガッツポーズをとって喜んでいた。
「葉菜さんに、俺の友達紹介しますね」
葉菜は、先日家に来たときに話してくれた加治の幼馴染の話を思い出した。楽しそうに彼らの話をしていたが、顔はイメージがつかなかったので、会えることに少し楽しみを抱いていた。
「お話の方たちに会えるの、私も楽しみにしてます」
葉菜はふわりと笑って見せた。テーブルのソイラテの氷が半分溶け、水がソイラテの上に数センチ分離していた。それをゆっくりとストローでかき混ぜると、緑色のストローを口に運んだ。
「葉菜さんも」
加治は、葉菜の一連の動きをじっと見たまま言葉をかけた。
「?」
ソイラテを一口啜り飲み込んだ後、葉菜は加治の顔を見上げた。加治は穏やかな笑みを浮かべまっすぐ葉菜をみていた。葉菜は、重なった視線をとっさに逸らした。
「葉菜さんも、俺の事はちゃんと葵くんって呼んでくださいね」
にこりと笑った目じりが下がり皺ができた。葉菜は少し呆れてしまったが、加治の度重なる押しに負けてしまいそうだった。
「……職場では、どうかと思います。加治さんは、一葉の友達みたいですし、プライベートなら。何とか、努力してみます」
葉菜は小さく笑んだ。それを聞いて加治は「よかったー」と、嬉しそうに明るい顔を見せていた。
繁華街の路地の一角は酷くゴミゴミしていた。ねっとりとした気温に、飲食店の換気扇から漂う油や料理の匂いや、辺りを流れる下水の臭いが入り混じりあまりいい空気とはいえない感じがした。
用事でもなければ絶対訪れないであろう場所に来た葉菜は、加治の誘いを受けて、小さなライブハウスへ足を踏み入れた。
中は薄暗く、奥には小さなステージが見えた。バーカウンターの青白いライトが目立つ中、葉菜は一人心細い思いで壁際に立っていた。
一葉をライブへ誘ったが、生憎仕事が入っていた為、葉菜は一人、意を決する思いで恐る恐るやってきた。バンドのライブ自体、大学の学園祭に来たメジャーしたてのバンドが演奏したのを見たくらいだった。
観客もそれなりにロックな服装をしているのかと思いきや、ごく普通の服装で中にはカップルがデートで観に来たのか楽しそうに、何やら話していた。その近くには、親子だろうか少し若い品のある母親と小学生くらいのポニーテールをした女の子や、ロックのイメージをした黒い服とスタッグの付いた刺々しい服を着こなした小さな男の子と、その母親も見に来ていた。それらを見て、葉菜は少し安心した。
ステージでは、機材や楽器をセットするスタッフらしき人達が準備を始めていた。青い照明が涼しげに思えたが、室内自体にもミストがかかっているのに気が付いた。少し、肌寒いくらいの室内の温度に葉菜はノースリーブのワンピースから出た腕を手で摩っていた。
楽器の音やマイクをチェックする音自体が、既に葉菜の耳には爆音に聞こえて胸がドキドキしていた。しばらくすると、準備が終ったのか照明が一気に暗くなり音楽が流れステージにトップを飾るバンドマンが現れた。
現れたバンドマンに向けて、パラパラと拍手があった。葉菜もそれに合わせて小さく拍手をした。すると、現れたバンドマンは、先程ステージで機材をセットしていた彼らだった。なかなか地道な所までをやりこなすのかと、葉菜は感心してしまった。
ライブが始まり、大きなスピーカーからはベースやドラムの重厚感ある音がリズミカルに耳の奥まで振動させていた。あまりの大きな爆音に葉菜はさらに、ドキドキしながら彼らの曲を聴いていた。メッセージ性が強い歌を感情込めて歌っているのが、伝わっていた。言葉は単純でだけどストレートな想いが強く、印象に残った。
あっという間にステージが終わり、会場に居た客が皆拍手をして彼らを称えた。機材を撤収に再度現れるバンドマンたち。そこに、客の若い女の子が声をかけ何やら一枚の紙を受け取っていた。バンドのファンの子なのだろうか、紙には先程演奏したセットリストが手書きの油性マジックで書かれていた。とても身近で和やかな雰囲気に、葉菜は目を細め笑みを浮かべた。
撤収を終えたステージに現れたバンドマンの中に、葉菜は加治を見つけた。普段のサラリーマンの服装しか見たことが無かったため、とてもカジュアルな服装が新鮮に見えた。黒の少し大きめの生地で作られたタンクトップからは以外にも華奢な細い腕が伸びていたのに驚いた。がっちりとして見えた身体は、着膨れしていたのだろうと葉菜は思った。
「とーちゃん! がんばってー」
ステージの最前で見ていたロックな格好をした小さい男の子が、ステージに現れたメンバーの一人に声をかけていた。
「おう!」
ステージを準備しながら、ベーシストの男が笑顔で息子であろう男の子に手を振っていた。
ステージ上に居る彼らを葉菜は嬉しそうに見ていた。先程声をかけられたのは、青果店を営んでいるシゲだろう。その息子の蓮と言う男の子。彼らが作った歌もあるということまで教えてもらった。ギターをかき鳴らしているのは、ジンと言う男だろうか。少し大人しい印象で、角刈りの髪がスッキリとしていて爽やかに見えた。マイクチェックをしている男はハヤトと言う人だろう。少し緊張している様子が、マイクチェックをしている声の張り具合でなんとなく伝わった。表情が硬くなっている。ステージの近くで見ている品のある母親と女の子をチラチラ気にしながら、落ち着きない様子だった。茶色くさらさらした髪をしていたハヤトが同級生と言われる彼らの中で、一番若い印象に見えた。
加治はドラムを手際よく組み立ててると、8ビートのリズムでそれぞれの音を確認していた。バスドラムの重低音が葉菜の身体を振動させていた。次第にリズムが早くなり、激しく叩く加治の顔はいつになく真剣だった。
チェックが終ると、メンバーはステージを去って行った。葉菜は、前に居た女性よりさらに前のほうに行き、髪の長い女の子と短髪の男性のカップルの傍で、ステージを見ることにした。
先程と同じように、会場が暗くなると音楽が流れステージにライトが点いた。彼らが現れると葉菜は反射的に拍手をしていた。自然と顔が笑顔になり、温かい目で加治を見ていた。
「こんばんは。グラスホッパーです。よろしくお願いします」
ヴォーカルのハヤトが一声挨拶をすると、すぐに曲が始まった。身体中に響くバスドラムの音が、葉菜の胸の緊張を促進させていた。ハヤトは、緊張が解けたのか、先程とは打って変わった張りのある声で歌っていた。歌詞がなにやら言葉を遊んで組み立てたようなそんな歌で、楽しい感じがあった。最前列で見ていた小さな男の子がとても元気よく、一緒になって歌いながら踊っていたのを見て、その子が父親と作った歌なのだろうと察し、微笑ましくなった。
加治の華奢な腕から激しいドラムを叩く表情は瞬時に様変わりしていく。真剣にリズムを叩いたと思いきや子供のように無邪気な笑顔を見せる一面もあった。彼ら全員が楽しんでいるのが、葉菜には感じ取られていた。そうして、終始葉菜は加治に見入ってしまっていた。
ステージが終る頃には、全員が汗をかき、満面の笑顔でステージを去って行った。観客からは拍手が送られ、葉菜の周りでは笑顔も一緒に添えられていた。
ライブが終わり、しばらくすると葉菜の元にメンバーが現れた。全員着替えをしさっぱりとした顔をして見えた。黒いシャツにデニム姿の加治が、一人ひとり紹介してくれると葉菜は挨拶をした。シゲに綺麗な人と言われ、気恥ずかしくなり微笑んでしまった。そうして「葵くんのお話に出てくる方たちに会えて、嬉しいです。元気いっぱいで皆さんがとても楽しそうで、私も観ていて楽しかったです。ありがとうございます」と感想を言ってその場を後にした。
会場を出てすぐ、加治が後を追いかけるようにやってきた。
「葉菜さーん」
葉菜はライブハウスから少し歩いた所で、加治に呼び止められた。
「今日は、来てくれて、ありがとう!」
「楽しかったです。すごい、か……あ、葵くんの普段見られない光景が印象深かったです」
葉菜は加治を見上げ、顔を見合わせて答えた。
「名前呼び、さっきも挨拶の時言ってくれてそれも、すげー嬉しい! 葉菜さん、良ければこの後皆で打ち上げあるんだけど、葉菜さんも来ませんか?」
加治の誘いに葉菜は遠慮をし、丁重に断った。残念そうな加治だったが、仕方なく諦めた様子だった。
「葉菜さん、帰り道気をつけてくださいね。ナンパされないように。この界隈ちょっと如何わしいお店とかもあるから」
加治は心配げに葉菜に言った。葉菜は忠告を素直に受け止めると、加治とその場で別れた。
帰りの電車の中、葉菜はしばらくライブの余韻に浸っていた。彼らの一体感ととても楽しそうな雰囲気と、彼らの奏でた曲が頭の中でうる覚えではあったが、リピートされていた。高揚した感覚が、葉菜にとっては、とても久しぶりの事だった。楽しかった気持ちを胸いっぱいにしていた葉菜は、車窓から見えた琥珀色の月がビルとビルの合間から見えていた事に気が付いた。
なぜだか、葉菜は月を見て気持ちがそわそわした。スナオを思い出しかけたが、葉菜はできるだけそうせずに、月から視線を外して、たった今感じていた余韻と高揚した気持ちに戻って行った。
サブタイトルを付けるのは、キャラクターの名前を考えるくらい悩みます。
今回は、ちょうど昨日、作者が好きなバンド、ストレイテナーのライブに参戦したので、そう付けました。
作者自身がライブ観て来たばかりなので、その思いを乗せてみました。
今回は、作者の作品『カラーリバーサル』の一部とリンクしてます。今回は、葉菜目線で書いてますが、カラーリバーサルは主人公目線なので双方の光景がリンクするのも面白そうと思い、書いてみました。
ここまで読んでくださいまして、ありがとうございました。m(__)m
まだお話続きます。よろしければ、お付き合い下さい。:)