召還当日
次の日
「ふああぁぁ………お母さん、奏太 おはよう」
ボサボサの寝起き顔でリビングに向かう。リビングは既に活気ついていて味噌汁のいい匂いが漂う。
「あ、姉ちゃん……その頭、なんとかしろよ」
「ム。なんでアイツみたいな事を奏太に言われなきゃいけないのよ」
私の弟の奏太はしっかり者。愛想もないし、まるで陸斗みたいだ。あ、しっかり者って意味じゃないよ!
……それにしても昨日の陸斗、大丈夫かな。大丈夫には見えなかったけど。
朝食を終わった頃、インターホンが鳴った。これは毎朝の事だから慣れてる。
「音、ちょっと出てくれる?」
「はーい」
返事をして玄関へ向かう。鍵を開けてドアを開けるとツンツンとした茶髪の髪の幼馴染み、制服姿の陸斗が立っていた。手には紙袋が握られている。
「………」
「………」
ど、どうしよう! 昨日の事があって気まずい。だって陸斗だって私から目を反らしてるし。
でもずっとこのままの訳にも行かないし、言わなきゃ。
「おはよう……上がって」
「…あ、あぁ」
ぎこちない挨拶を交わして陸斗は家へ入る。
ちょっと暗い気もするけどでも普通の陸斗だ。良かった。
「おはようございます。よぅ、奏太」
「あら、おはよう りっくん!朝御飯、食べて行かない?」
「おはよう、陸斗兄」
陸斗が入って来ても家族のように接する。それはもう慣れてるから。小さい頃から毎朝私を迎えに来てくれたから慣れだ。
「お構いなく。あ、これ豆大福のお礼です」
そう言ってガサゴソと紙袋からキッチリ洗ってあるタッパーとクッキーの缶が入っていた。
こういう所は意外にしっかりしてるのよね。意外にも。
「まぁ、ありがとう」
◇◇◇
私達は学校に向かう為に歩いている。いつもなら五月蝿いくらいに騒ぐ陸斗が静かで暗い雰囲気。私は昨日と逆で陸斗の後ろを歩いている。
「ねぇ……クッキー、ありがとね。奏太も喜んでたしタッパーも洗ってあったし」
「タッパーは洗って返すのが普通だろ。 ま、常識を知らないバカだから仕方ないよな」
なんかバカにされたけどいつもの陸斗に戻ったみたいだ。それにしても常識を知らないって何よ!
タッパー洗って返すのは私だって知ってるし。陸斗が常識人って方がビックリよ!
「じゃなくて、その…」
「……?」
陸斗は立ち止まって振り返る。言いにくいのか頭を掻きながらも必死に何か言おうとしていた。
「…や、やっぱ何でもねぇ!」
顔を赤くさせてそう叫ぶ。何かを期待してた私、恥ずかしい。
でもこの終わりかたは納得しない。何言おうとしたのか白状させてやる!
「ちょ、待ちなさ―――きゃっ」
足が絡まって車道へ。そこに運悪く一台のトラックが来た。まずい!すぐに立ち上がれない。そんな時、私の腕を掴んで引っ張り上げる陸斗。間一髪、トラックはそのまま通り過ぎた。
それよりも今の状況がヤバイ。助けられたは良いけど今、私は陸斗の胸に収まっている。顔が赤くなる。心臓がドキドキする。
「あ、陸斗。ありが」
「…あぶねぇだろ……バカ野郎」
…昔からそうだ。私の嫌がる事をする陸斗が嫌いだったけど何だかんだでいつも守ってくれた。
「それで草壁君とどうなったの?」
教室の席に座る私と弥生。弥生は少し興奮しながら私に聞く。どうなったの?って質問の意味が分からないんだけど。
「…それ、どういう意味?」
「えっ? そんな甘い展開になって、その後はどうなったの」
その後…
「…!! いつまで抱いてるのよ変態っ!」
恥ずかしさで陸斗を突き飛ばし、そのまま走って学校に来たんだ。ちょっと悪い事したかも。
「忘れちゃった」
「えー、ホンマに?」
何かと目立つ方言に、私と弥生は声がした方を向く。そこには突き飛ばした陸斗と、確か隣のクラスの不知火さんと緒形さんがいた。




